全国から中退者や登校拒否者などを受け入れてきた、北海道の北星学園余市高校。集まってくる生徒たちのための学生寮のひとつ、愛星寮の寮母さんを中心に、日ごろの交流を追う。◆愛星寮では２５人の生徒を預かっている。寮母の清水さんは、朝は車で三往復して生徒を学校まで送る。親代わりとなって子供たちの面倒を見続ける清水さんは、いわばもう１人の恩師。卒業式には生徒達と涙で抱き合う。

老いてなお舞台に情熱を注ぎ続ける俳優・島田正吾の姿を追うドキュメンタリー。◆島田は１９０５年（明治３８）生まれ。９２歳の放送当時も元気に舞台を務めている。かつて男の芝居で人気を博した新国劇のリーダーだったが、劇団は１９８７年に解散。新國劇の心を残したいという島田の願いで、１９８９年から１年に２日間だけの「ひとり芝居」を始めた。この年の作品は「沓掛時次郎」。１年をかけて脚本と演出に取り組み、９２歳とは思えないパワーで上演時間の２時間、台詞を言い続け、刀を振り回し、舞台を走る。彼の夢は「９９歳のひとり芝居」である。

ビルの屋上から転落して死んだ女は妊娠していた。定年間近のベテラン刑事が、まさに世に羽ばたこうとする若手指揮者を追う。壮麗なオペラの世界を背景にしたサスペンスドラマ。（１月７日～２月４日、全５回）◆冬美子の転落事件の真相を追う青野は、彼女の男友達で事件以来行方不明だった岬正夫を参考人として取り調べる。何かを知っていて竜頭亮をゆすっているのではと問い詰めるが、岬は口を割らない。岬の脅しと青野の追求に耐えられなくなった亮は、姉の和代に自分が犯人だと告白する。和代は彼の自首を押し止め、青野の捜査の敵に回る。

宮城県仙台市郊外にある特別養護老人ホームの高齢化社会に向けたさまざまな試みと問題点を探る。ＴＢＣ開局４５周年記念特別番組。◆さまざまに年老いていく人びと。それぞれの人に最適な環境を作って、それぞれの幸せな老後を実現させようとしている「せんだんの杜」の活動と、静かでゆったりとした時間の流れの中に身を置くお年寄りたちの姿は、誰もが死ぬまで幸せな人生を過ごす権利があるのだということを語りかけてくる。

後半の山場、松王丸再登場のくだりと、わが子を失った松王夫婦の悲しみをつづる「いろは送り」の由来を学び鑑賞する。義太夫節は大まかに分けると三つの要素からできている。「詞（コトバ）」＝セリフと節まわしをつけて語る「地合」、そして多くは文章が一段落する場面に使われる「節」である。本来は詞のところを地合で語ることで、劇を高揚させるときもある。しかし客を感動させるには語り手の情が一番大切であることは言うまでもない。◆『菅原伝授手習鑑』寺子屋の段・北嵯峨の段／吉田簑助（人間国宝）、吉田玉男（人間国宝）、吉田文吾、吉田文昇、浄瑠璃：豊竹十九大夫、三味線：豊澤富助。◆副音声は英語

ひょんな事からにわか独身になった中年男性トリオが繰り広げる浮気騒動を軽妙なタッチで描く、１話完結のコメディードラマ。（６月２１日終了、全１１回）◆グラフィックデザイナーの望月五郎は、妻のエリ子が出産を控えた一人娘のもとへ渡英したため、３ヶ月の一人暮らしを余儀なくされる。高校時代からの悪友・神戸と森川はこの機会に羽を伸ばせとたきつける。そんな時、五郎の家に娘の友人でタレントの真理が訪ねてくる。ヌード撮影を強要され、仕事場から逃げ出してきたのだ。五郎は娘に代わってあれこれ世話を焼くが、そこへ妻に追い出された神戸と、妻に逃げられた森川がやって来て、勝手に居候を決め込む。五郎は「娘の友達」と説明しながらも、せっかくのいい雰囲気を邪魔されてがっかり。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、ミュージシャンのヤドランカさん。

現在の長崎平和公園の地には、戦前、旧長崎刑務所浦上刑務支所があり、そこで爆死した朝鮮人収容者たちの遺骨はいまだ返還されていない。遺族の思いに迫る。シリーズ５３年目の夏に（２）。◆爆心地から至近距離にあった浦上刑務支所は、原爆の熱線を浴びて全壊し、収容者８１人を含む１３４人が爆死した。１９９２年、平和公園は地下駐車場整備工事のため掘り起こされ、そこから支所跡が発掘された。絞首台に向かう階段などが当時のまま残っており、貴重な被爆遺構として市民グループが保存を求めたが、ふたたび埋め戻されてしまった。