歌舞伎十八番のうち「鳴神」を例に、女方の演技がどのように練り上げられていくかを紹介する。◆「鳴神」で“雲の絶間姫”の役を演じている五代目中村時蔵さんは、人気若女方の一人。四代目時蔵を父に生まれ、４歳で初舞台。１６〜１７歳の頃から本格的に女方を演ずるようになったという。◆「女性を真似しても（女方の）色気は出ない。女性はなぜやさしいのか、なぜ美しいのかということの根本にあるものを考え、それを誇張して表現しないと色気のある女性を演じることはできない」と時蔵さんは語る。

興福寺の阿修羅像は、その美しい顔と６本の手のしなやかな姿で古来から人気のある仏像である。この阿修羅像に魅せられた演出家の野田秀樹さんが、興福寺を訪ねる。◆阿修羅はもともと人々に釈迦の説法を聞かせないように邪魔をする悪だった。ところが説法を聞いているうちに感化され、仏門に帰依する。それから釈迦を守る守護神として活躍することになった。その若々しい顔は、仏門に帰依した最高の喜びを表している。

１９８５年５月４日、東京聖母病院で鈴木茂子さんが１０年間のがんとの闘いに終止符を打ち、息をひきとった。はじめから自分の病名を知り、末期がんの激しい痛みと闘いながらもなお周囲の人々を気遣った鈴木さんの死は人々に感銘を残した。鈴木さんの死にいたるまでの姿を追いながら命の尊さを描く。

毎週日曜の朝に、岡山・香川県下の町おこし、村おこしにつながる新しい動きを、産業や観光の面から捉えて伝える。また、その週のホットニュースにもスポットを当てる。

瀬戸大橋の完成によって市街の様相を大きく変えた岡山県倉敷市の児島。さまざまな思惑が入り乱れ、混乱する街の様子を描く。◆児島は全国の学生服の９０パーセントを生産する街であるが、瀬戸大橋の完成に伴う新駅の建設によって大きくゆさぶられることになった。駅前広場はかつて塩田であったところで、５０ヘクタールの空き地が新しい児島の中心街に変わる。地元の住民にはいろいろと注文があるが、肝心の地主は耳を貸そうとしない。

日本は第一次世界大戦後のベルサイユ講和会議で列強のひとつとして国際社会に登場、その後、国連を脱退、孤立化の道を歩んで戦争に突入した。日本の昭和の歴史を世界史の中でどうとらえるか。日本の世界史へのかかわり方にはどんな特徴があるか。東大教授伊藤隆、作家安岡章太郎ほかが語り合う。昭和を体験した学識経験者の鋭い、しかし肩のこらない文明論が続く。

さまざまな実験や映像技術を駆使して、動物の生態を紹介する番組。この回は優美なツル・タンチョウが主役。タンチョウの特徴は頭が赤いことだが、この赤い部分は羽ではなく皮膚で、怒ると大きくふくれる。また音に敏感で、慣れた人は鳴くように声をかけると、ツルをさそうことができる。ツルのひと声といわれる鳴き声のいろいろや民謡に合わせて踊る姿などを、釧路丹頂鶴自然公園ほかで取材。

中国残留孤児の帰国が進められている中、この問題を振り返り、現在とこれからの問題を総合的に考えるシリーズ。（１９８６年９月１６日終了、全２回）◆第１回は、孤児と肉親との再会について、具体列を紹介する。