地球上のさまざまな景観を紹介し、その背後に秘められた４６億年という地球史のドラマを特殊映像によって再現。水や大気など、人間を支えるすべてのものがその中からつくられてきたことを伝えるシリーズ。（１９８７年１月２５日〜１２月２７日、全１２回）◆第４回は、前回につづき大気の謎、炭酸ガスの劇的な減少について。地球誕生当時、炭酸ガスは大気の９０％を占めていた。しかし現在はわずかに０．０３％、適度な温室効果をもたらす量になっている。地球に海が出現したときに、炭酸ガスは海に溶けて大気中から除かれた。そして海中の生物が二酸化炭素を固定し、やがては石灰岩となっていった。

函館の朝市に働く人々の舌を楽しませ胃袋を満たし続けてきた食堂を中心に、家族やお客の表情を捉える。◆夏の函館朝市の売り物は、生イカと掛け声。その中を走り回る朝飯の出前食堂「銭来屋食堂」の平塚ミツエさんと娘の美代さんは、この３５年間市場で働く人たちの朝食を作り続けている。朝３時から仕込む食堂の名物は、卵焼き、イカじゃがなどひとつ盛りの料理。舌の肥えた朝市の人たちから厚い信頼を得る銭来屋さんには、親子２代にわたるお客も多い。

ヒモか入婿で楽をしたい男が、富豪の娘の家に花ムコ見習いとして迎えられることになるラブロマンス。◆失業中の太一郎（明石家さんま）に、六本木で知りあった則子から実家に来てほしいという手紙がきた。なんと則子は５００億円の資産を持つ旧家の娘だった。小遣い稼ぎぐらいの軽い気持で乗り込んだ太一郎を待っていたのは“花ムコ見習い試験”。当主栄吉と５番目の妻をはじめ、財産をねらう姉たちのいびりと教育がはじまる。

文楽三味線の第一人者である鶴澤燕三は優れた作曲家でもある。後進に努力と辛抱を説く。◆三味線を持つ手の指先は湯船にはつけないというほど、演奏には厳しい鶴澤燕三は、古典の復活や新作の曲作りにも情熱を燃やす。若手の指導にも、生きた芸を分からせたいと辛抱を説く。

能ワキ方宝生流の森茂好は、美声と芸風で他を寄せつけない。ワキの心と技の真髄を聞く。◆能のワキは舞うことも面をつけることもなく座り続けることの多い辛抱役である。「シテは陰にうたえ。ワキは陽にうたえ」の先代の言葉通り、シテを超えず、こびず、和して競う境地こそ森茂好が求めるものである。

日本の代表的縦笛奏者で、都山流尺八の重鎮である島原帆山の、力強い尺八演奏を聞く。◆ひたすら尺八を好み、尺八の深みのある音色に心打たれ、寝る時以外は尺八を吹きつづけたという島原帆山。魂を持って吹く尺八は人の心を打つ。帆山の名人たるゆえんである。尺八を作る名工の技も見どころである。

「加賀蒔絵」をはじめ漆工芸で多くの工芸家を輩出してきた金沢の漆職人の家に生まれた大場松魚は、２３歳で上京し近代蒔絵の開拓者松田権六に師事。戦後の第１回日展に入賞以来、数々の作品を発表してきた。◆金銀の薄板をはる蒔絵装飾技法「平文」の第一人者。四季の風情を題材に、平文で花や鳥をちりばめ、太陽の光の輪を金銀貝の蒔絵で表す。

日本の馬術の第一人者で、この年６３歳になる井上喜久子さんのソウル五輪を目指す戦いのドキュメント。◆井上さんは１１歳の時に全日本馬場馬術で初優勝して天才少女と騒がれた。以後、全日本で７回優勝、オリンピックに２度出場している。いまは１９８８年のソウル五輪を目指して準備と練習を重ねているが、馬術は馬の購入を含めて大変な費用がかかる。話を伝え聞いた女優の吉永小百合さんやローマ五輪の競泳メダリスト竹宇治（旧姓・田中）聡子さんらが後援会を結成、そのバックアップで井上さんはヨーロッパに出向いて馬を購入する。