奥能登の海で体を張って生きる海女たちの暮らしや心情を１年にわたって追ったドキュメンタリー。◆石川県輪島市海士町（あままち）には、１０代から８０代まで２２０人の海女がいる。自然を敬い、夏は輪島から５０キロの孤島・舳倉島に移住してアワビや海草を採り、海の民としての歴史と伝統を受け継ぐ。祖母から潜り方を学んで海女になる孫娘も少なくない。ある高校生は成績優秀で進学を勧められるが、海女となる道を選ぶ。働き盛りの６０代の海女は富山湾まで出かける。また、７０代の海女は、大きな手術の後も潜ることを諦めない。

ＩＢＣ岩手放送は１９５３年に開局し、１９５９年からテレビ放送を始めた。ＩＢＣがふるさとのメディアとして伝えてきた、三陸フェーン火災、十勝沖地震、雫石事故、岩手国体、世界アルペンなどの事件やイベント、人々を振り返る、開局５０周年記念番組。第１部は１９５３年から１９７３年までのニュースやＣＭを紹介。集団就職、ＳＬ、国体、デパート屋上の遊園地など懐かしい映像が甦る。

“平成の大合併”にあわせて政令指定都市入りを目指す金沢市と、単独町制を守る野々市町の攻防を追うドキュメンタリー。◆大河ドラマ「利家とまつ」に沸いた石川県金沢市。しかし、百万石の城下町は合併問題に揺れている。政令市への昇格めざして隣接する町村へ合併を要請したが、いずれも拒否されたのだ。新潟市と富山市も政令市へと動いているため、古都・金沢の焦燥感は募る。都市化による行政の効率化か、それとも顔の見える住民自治か。合併を拒否し続ける野々市町長を通して、平成の大合併がはらむ問題点を探る。

元ハンセン病患者の村越化石さんは、ハンセン病を発病して故郷を離れ、施設で療養することを余儀なくされた。俳句を通じて生涯の師と出会い、絶望の淵から這い上がる。１７文字の俳句が、彼に何を与えたのか。俳句とともに歩んだ８０年を追う。◆村越さんは大正１１年（１９２２）、長野県志太郡岡部町生まれ。旧制中学在学中の１５歳で発病し、戦中戦後を群馬県草津の施設で過ごした。故郷に帰ることのできなかった彼だが、ハンセン病に対する認識が改まり、岡部町に句碑が建つこととなって、その除幕式でようやく故郷の土を踏んだ。

日本有数の多雨地帯・大台ケ原を水源とする紀ノ川には、１２０種にのぼる多様な淡水魚が棲んでいる。厳しい生存競争に勝ち抜くために“託卵”をするようになった魚・ムギツク。淡水魚では世界数例しかない習性である託卵の撮影に成功、ドンコの巣にちゃっかり卵を産みつけるムギツクの姿を紹介する。

父を失って傷ついていた中学生が、ある日東京から長野の田舎に山村留学することになり、同級生が３人しかいない学校で奮闘する姿を描く。原作：笹生陽子、脚本：中園健司。◆東京の私立中学生・優（落合モトキ）は、国語、数学、英語のテストで満点を取るエリート中学生だった。しかし、１年前に事故死した父・博史（光石研）の死を受け止めることができず、父とのメール交換を自作自演し、父が生きているように振舞っていた。そんな優を心配した母・涼子（天海祐希）は、博史の故郷・長野の山村に移り住むことを決意する。新しい生活になじめず嫌っていた優だが、やがて豊かな自然の山村で心癒され、祖父・高志（田村高廣）や同級生たちと触れ合ううちに父の死を受け入れ、自分を取り戻していく。

世界遺産に登録された屋久島。世界最高齢の木、縄文杉は樹齢６３００年とも言われる。今でこそ島の９割が森に覆われているが、１４００万年前に海底が隆起して海面に島が現れたときには、表面は岩だらけでひとにぎりの土もなかった。土と森を生み出した生き物たちの営みを追う。

「親切」や「優しさ」などをテーマにしたショートストーリー。日常のささいな出来事のなかに隠された、心打たれる瞬間をつづる。◆この回は「青空の向こう」。