世界各地を訪ね、衣食住、産業、文化など毎回ひとつのテーマを取り上げ、社会的風土や風俗を織り込みながら“本物”に迫る、海外取材ドキュメンタリー。放送番組センター協賛番組。（１９６９年１０月５日～１９７０年３月２９日放送、全２６回）◆今回のテーマは、タイのキックボクシング（ムエタイ）。タイの国技であるムエタイは、試合前の祈りから始まる。これは自分の師と両親に感謝を捧げ、神に勝利を願う意味があるといわれ、闘争心を高める効果があるとされている。ムエタイは、手はもちろん足を使うことも許されている格闘技である。カメラは、上の階級の試合に挑戦する一人のムエタイ選手を追う。

「西の日光」とも呼ばれる広島県の瀬戸田（生口島）の耕三寺。この寺を開山、創建した初代住職・耕三寺耕三（コウサンジコウゾウ）師の功績を描く。耕三師は大阪で鋼管製造会社を経営していたが、昭和１０年（１９３５）、亡き母の報恩のために得度し、僧侶の道に入った。その後、３０年以上をかけて故郷の瀬戸田に耕三寺を創建した。番組では、耕三寺耕三師がこの寺に込めた想いや、収集した多くの文化財、美術品のほか、多く観光客が訪れる様子などを紹介する。◆放送番組センター協賛番組。

第二次大戦末期、北大西洋上のドイツ潜水艦Ｕ・２３４上で自決した２人の旧日本海軍将校の数奇な運命を、遺族や国内およびヨーロッパ関係者の証言をもとに描き、戦争と平和、世代の断絶、人間と科学などの問題を問いかける異色のドキュメンタリー。

沖縄の離島に今も伝わる藍染めの織物宮古上布、その伝統技術を守る人々を紹介する。農家の次男に生まれた砂川玄恒さんが織物の道に入ったのは１７歳のときであった。家が倒産し、生業を得るために独立して上布を織り始めた。以来、戦火で失われかけたこの伝統技術を絶やすまいと５０年以上も守りつづけてきた砂川さん、そして繊細な手先と強じんな体力が何よりも必要とされる機を黙々と織りつづける女たちの姿を追う。

中部地区民放五局の共同制作で、中部地方で働く青年らが健康で明るく仕事に打ち込む姿を映すドキュメンタリー。放送番組センター協賛番組。◆バスガイド生活１０年の今川千栄子さんは、休日にこまめに歩きまわった資料をもとに「知られざる北陸路」を自費出版した。“なにかやりたかった”と観光開発の一翼をになって歩き続けたことの集大成であった。北陸路を歩く今川さんの青春を追う。

大名の権力のシンボルであった城と、そこで生活した歴史上の人物に、その土地の風土や環境を重ねて描く歴史ドキュメンタリー。（１９７０年７月１０日～１９７１年１月１日放送、全２６回）◆第１３回は、和歌山を訪ねる。【番組内に登場する地名、人名、役職名、引用資料等は制作当時のものです。現在とは異なっている場合があります】

戦後の最も大きな公害問題・水俣病を、不知火海の漁業で生きる漁民たちの姿を通じて描いたもの。北林谷栄が扮する琵琶御前を狂言回しに、水俣病患者の女性などを訪ね、その海への愛、生活のことばを聴きながら、水俣病が奪ったものの貴重さを訴える。作：石牟礼道子。

東京葛飾の下町で江戸小紋の伝統技術を受け継いでいる小宮康孝さんを紹介する。小宮さんの父・康助氏は化学染料による江戸小紋を研究開発し、小紋染の近代化に尽くした人間国宝。その遺志を継ぐ康孝さんは、粋な江戸の気品と風格ある小紋を、新しい時代感覚の着物に育てあげようと精進をつづける。また先人の遺した貴重な小紋型をすぐれた技術によって再現し、現代の染織工芸界に大きく寄与している。