野崎信一（愛川欽也）は永年勤めた商社を辞め、小学生の娘と二人で京都へ向う。少年の頃から憧れていたアラカンの鞍馬天狗の映画を作るために。嵐寛寿郎を説得し、撮影が始まった。スタッフは彼ひとりである。妻にはこの夫の奇妙な行動が分からない。白馬でさっそうと駆けていた鞍馬天狗が落馬、骨折、入院。信一は自ら鞍馬天狗の扮装で撮影を続ける。

約２２年続いた生放送の音楽番組。通称“夜ヒット”。（１９６８年１１月４日～１９９０年１０月３日放送）◆この回の司会は芳村真理と井上順。出演歌手はピンクレディー、太田裕美、新沼謙治、渡真介、内藤やす子、五木ひろし、矢野顕子。◆尺八演奏家の山本邦山がゲスト出演し、矢野顕子と協演。ジョイント・コンサートととして、矢野が編曲した「達者でナ」「五木の子守唄」を披露する。ほかに、麻丘めぐみの婚約発表の模様を録画で伝える。

太平洋戦争の最終戦地の一つ硫黄島。この小島で日米合わせておよそ３万人の生命が失われた。しかし、この事実も３３年を経た今（１９７７年＝昭５２）では、過去の“遠い島”の話でしかなくなっている。番組では、「硫黄島」にかかわった日米それぞれの庶民（兵士やその家族）の“その後”を追跡し、当時を語ってもらうことによって、戦争の原罪性と空しさを描いていく。

山野井昌子さんは生後間もなく脳性マヒにかかり、両手両足マヒのまま寝たきりの生活を続けている。１８歳の頃から短歌をはじめ、障害者としての心の内を、そして自らの生の証を３１文字に託してきた。六畳一間の借家に年老いた両親と３人暮らし。昌子さんの身の回りの世話は母が行っている。残された機能は首から上だけ、唇でページをめくりながら本を読む。

洞爺湖の有珠山爆発による農村地帯の被害状況と地域の人々が直面する深刻な問題をリポートする。◆有珠山は、１９７７（昭和５２）年８月７日以来、大小１８回の噴火を繰り返した。８月９日、温泉街の住民６０００人に避難命令が出され、８月１２日には、学者、気象庁観測班が続々と現地入りした。番組では、３人の記者が農村の被害状況（佐々木記者）、学者による地震予知研究の進捗状況（後藤記者）、洞爺湖温泉に住む人々の被害の状況（溝口記者）を現地からリポートした。

日本の第一線で活躍し、海外にも知られている若手を中心とした芸術家を取り上げ、その心と作品を鋭くえぐり出す人間ドキュメント・シリーズ。（１９７７年１月８日～４月２日放送、全１３回）◆第１２回は、建築家・黒川紀章氏にスポットを当てる。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズの総集編。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆マットグロッソ州でゴム採集人の一家が裸族に襲われた。知られているほかの裸族と異なり、巨大なペニスケースをつけていたという彼らとの接触を図り、ブラジル政府が現地へ派遣した保護官に同行する。３ヵ月の苦心の末、ついに未接触部族カリプナ族の猟小屋を発見。そこに鉄斧、ナイフなど贈り物をつるして、ようやく会うことができた。しかし、数多くのインディオ語を話す７人の通訳にも言葉が分からない。抱きつかれ、奇妙なダンスを踊らされ、酒を振る舞われ、贈り物のお返しに彼らの貴重な財産である石斧を贈られた。接触は成功したと思われたが、数日後に村を訪れると彼らは姿を消していた。いったい何が起こったのか。

戦時中、芸術に心を注ぎながら業半ばにして戦陣に散った多くの画学生たちがいた。東京芸大出身の中村萬平さんもその一人で、２６歳の若さで戦死した。いま彼の１０冊のスケッチブックと１１点の油絵が残っている。また、両親や妻にあてたハガキも数多く残っているが、それは美術への夢を断ち切られた無念の思いを伝える遺書ともいえる。これらの遺作や手記をもとに、若い芸術家たちの軌跡を紹介する。