若き政宗公の下僕だった真壁平四郎、ある冬の日に懐で温めていた履物を差し出すと、尻に敷いていたと誤解され、その履物で眉間を割られ血を流して倒れる。無念の平四郎、偉くなって見返そうと、やがて出家して京都や唐土（もろこし）の寺々で修行を積み、権僧正の雲居禅師（うんごぜんじ）となった。やがて政宗が瑞巌寺を建立した時、開山導師として招かれ政宗と対面した雲居禅師、私は昔、眉間を割られた平四郎です、と打ち明ける。

Ｃ・Ｗ・ニコル氏が釧路湿原の生命線、釧路川をカヌーで下ること１５４キロ。湿原に棲息する珍しい動植物を紹介しながら、自然と人間が共生することの大切さを訴える。◆日本最大の湿原・釧路湿原は、タンチョウヅルやエゾシカなど豊かな生態系をはぐくんできた。だがその生態系は今、森の乱伐や川の汚染で自然破壊が進んでいる。厳しい寒さが支配する季節、さまざまな野生動物が姿を現す。

会社の創立３０周年記念行事に素人演芸会を開き、社員が得意の芸を披露することになった。その中で、社長の常磐津に合わせて、課長が天下を狙う悪人の関兵衛、中村君はこれを敵と狙う花魁に役が決まる。芝居が不得意の中村君、不安なまま当日を迎え、気を落ち着かせようと飲んだ酒が二杯、三杯と進み、酔っぱらったまま舞台に出てしまう。

近世末期の琉球を、開国交渉をしたペリーと、アメリカの東アジア戦略や琉球占領政策の面から解明する。◆１８５３年７月８日、浦賀に現れた４隻の黒船は幕府を大混乱におとしいれた。黒船来襲として日本の近代史を揺るがしたこの事件は、実は琉球を拠点として展開していた。圧倒的な軍事力を背景につぎつぎと要求を突きつけるペリーに対し、小国琉球はどう対処したのか。１４５年前に沖縄から始まった日米関係をペリー、それに通訳を務めた板良敷朝忠の目を通してアメリカと琉球の外交交渉をドキュメントとドラマで再現する。

指揮者・外山雄三さんは名古屋フィルや愛知県立芸大などに籍を置きながら、十年来名古屋と姉妹都市関係にある南京の芸術学院との交流を続けてきた。「いつか大きな舞台で合同でやりたい」との氏の夢が叶い、１９９５年１月中国から音楽家１００人が来日、マーラーの「千人の交響曲」が名古屋で演奏された。マーラーのスケール感あふれる曲のような日中合同の大作業、そして国内での二つのオーケストラ、約八百名のコーラスの指導など「千人の交響曲」を創りあげていく過程を追う。◆中京テレビ開局２５周年記念番組

甲州から江戸に出稼ぎにきた伝吉という男、浅草の人混みで財布をすられて一文なし。空腹に耐えながら豆腐屋の前に来た伝吉、つい店先の卯の花をつまみ食いして見つかってしまう。事情を聞いた店の主人、気の毒に思い店で働かせてくれる。店に来る客の評判も良く、一生懸命働く伝吉を、主人夫婦は一人娘の婿養子に迎える。

１９９０年８月１５日、テレビ朝日が終戦特集として「水曜スーパーキャスト」枠で放送したドキュメンタリー。満州事変から６０年目にあたる１９９１年、日中戦争にかかわる真相を伝える。◆「第八次公心集読書開拓団」は１９４５年８月１５日、移民先の「洋犁片」「中和屯」の二つの村落で発生した中国人の暴動に巻きこまれ、襲撃されて多くの血が流れた。開拓民は日本の敗戦を知らされていなかったという。そこで何が、なぜ起きたのか。現地滞在２ヶ月をかけて証言を得、真相を探る。

１９９４年１１月に放送された、ガンを告知された医師の闘病生活を追ったドキュメンタリー「癌を生きる」。放送から４か月、彼は自宅で亡くなった。その後も続いていた取材部分を加え、「限られた生」を生きた彼の姿を再び伝える。◆布施徳馬さんは、医師として自分の患者に積極的なガン告知をしてきた。その彼が「悪性リンパ腫」で入院、手術後、担当医からガンを告知される。終末期医療に強い関心を持ち、患者の望む生き方、死に方が出来るようにするのがターミナルケアだと考え、告知をしてきた布施さん。治療を受けながらも少しずつ死に近づいている肉体とどのように折り合いをつけ、心の平安を見出していったのだろうか。