戦時中、芸術に心を注ぎながら業半ばにして戦陣に散った多くの画学生たちがいた。東京芸大出身の中村萬平さんもその一人で、２６歳の若さで戦死した。いま彼の１０冊のスケッチブックと１１点の油絵が残っている。また、両親や妻にあてたハガキも数多く残っているが、それは美術への夢を断ち切られた無念の思いを伝える遺書ともいえる。これらの遺作や手記をもとに、若い芸術家たちの軌跡を紹介する。

戦時中のニュースフィルムを一手に保管する日本映画新社のフィルム倉庫で、いくつかの未公開フィルムが発見された。中でも目をひいたのは、１９４４年（昭和１９）秋のフィリピン航空基地における陸軍特別攻撃隊の映像であった。番組では、未公開フィルムのほか、富嶽隊生き残りの一人、梨子田元曹長及び遺族の証言などにより特攻隊員のありのままの姿を紹介する。

　世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆オーストラリア、グレートバリアリーフの美しいサンゴ礁で繰り広げられる海底動物の闘争と死のドラマを描く。体の色を変え、墨を吹いて必死に生き延びるタコやイカ、テッポウエビとアナハゼに見られるような共生の知恵、ニジギンポの擬態、いずれも喰われまいとし、喰わんための努力である。浜辺に打ち上げられたクジラやイルカやジュゴンの死体も、やがて新しい生命を養う大切な栄養源となる。

野崎信一（愛川欽也）は永年勤めた商社を辞め、小学生の娘と二人で京都へ向う。少年の頃から憧れていたアラカンの鞍馬天狗の映画を作るために。嵐寛寿郎を説得し、撮影が始まった。スタッフは彼ひとりである。妻にはこの夫の奇妙な行動が分からない。白馬でさっそうと駆けていた鞍馬天狗が落馬、骨折、入院。信一は自ら鞍馬天狗の扮装で撮影を続ける。

アメリカ北部のウィスコンシン州で１９１０年代に少年期を過ごした動物文学者、スターリング・ノースの回想記のアニメ化。スターリング少年は、ある日、森で親のないアライグマの子を見つけ、ラスカルと名づけて育てる。このラスカルとの交流を軸に、母の死という大きな悲しみをのりこえて成長するスターリングの姿を描く。原作：スターリング・ノース「はるかなるわがラスカル」。カルピスこども劇場（世界名作劇場）。（１９７７年１月２日～１２月２５日放送、全５２回）◆第１話「黒いマスクの可愛いやつ」。

山田太一が初めて挑んだ小説を、みずからドラマ化。“衝撃の家庭ドラマ”として話題を呼んだ。多摩川の洪水による家の崩壊をクライマックスに、一見平凡で幸福な家庭のうちに潜むものを描く。（１９７７年６月２４日開始、全１５回）

明治末期から大正を中心に昭和初期に及び、軍国主義色濃い時代の中で、没落してゆく旧家の乳姉妹である文子とはつの半生を描く。（１９７８年３月３１日終了、全１２８回）◆幸せを夢見るだけの文子と、内になにかを秘めてたくましく生きるはつ。二人は友情で結ばれながら、女ゆえの哀しい闘いを経て、波乱多い人生を生き抜く。

日本画家・高山辰雄の代表作『日月星辰』５部作のうち３作品を、スタジオで高山に話を聞きながら紹介する。◆高山辰雄は１９１２年（明治４５）大分生まれ。東京美術学校卒業。松岡映丘に師事し、代表作に上記のほか『道』、『穹』などがある。『日月星辰』の制作にかかる前２年ほど、町の中をスケッチして歩いた。今の人間の気持ちを何か表現できたらと思い、５部の屏風画にまとめたと高山は語る。