シンガー・ソングライター小椋佳のＮＨＫホールでのコンサートを中心に、私生活や銀行での仕事を織りまぜながら、多角的に彼の世界を描く。彼はこのコンサートにあたってまず体力づくりを始めた。早朝のマラソン、勤めから帰ると夜は遅くまで歌の練習をした。そしてステージのリハーサルへ。番組で紹介する曲は、コンサートの全１９曲のうち、「しおさいの詩」など１２曲。

形式にとらわれない自由で伸びやかな作風を生み出す染色家の人間国宝・芹沢?_介さんを訪問、その心と技を描いた。（当時８１歳、昭和５９年没）作品の原点は紅型だと語る芹沢さん。色が明るく、型が大きく、自由でのびのびとした絵柄が好きだという。「型紙は必ずしも下絵どおりの線にならない。臨機応変に切っていく」。芹沢さん独自の＜型絵染＞は、下絵描き、型紙切りにはじまって、染め付けまで全ての工程をひとりでおこなう。

代々唐津藩の御用窯を受け継いできた中里家の１２代目当主にあたる中里無庵さんは、唐津焼の人間国宝。カメラはその仕事場を訪ねた。（当時８１歳、昭和６０年没）土を練り、ひも状に伸ばしたものを積み重ね、内外両側から木片で打ちなじませて形を整えていく。中里さんが古い窯跡を調査、研究した技法＜たたき造り＞は、こうして生まれていく。「模造はいけない。作者独自のものをあみださなくては、よい作品はできない」と語る、１２代中里太郎右衛門の挑戦は続く。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆二艙の網船によってサフシを捕る巨大なキンチャク網漁は日本の代表的な漁法である。エビは引き網漁だ。瀬戸内海の沖や入江には、まだいくつかの伝統漁業が見られる。５メートルおきに吊されたツボに、タコが入り込む。また、有明海の干潟でムツゴロウを針でひっかける。素もぐりのような素朴な漁法や、沖縄独特の海亀とりなど、祖先のすばらしい知恵を伝える日本の伝統漁業を、四季の流れを追いながら紹介する。

天皇即位５０周年にあたり、右翼や皇室中心主義者に現在の天皇制についてインタビューを重ねて構成した番組。タブーとなっていた天皇制問題に、ある角度から取り組んだルポルタージュ。戦後、国体護持の論理を失った右翼の人たちに天皇制について問題を投げかけ、それによって右翼自身がかかえているさまざまな矛盾や迷いを浮き彫りにする。

人間国宝・荒川豊蔵さん。８０歳を越えてなお創作にいそしむ陶芸家を訪ねて、作品が出来上がっていく様子を取材した。（当時８１歳、昭和６０年没）昭和５年（１９３０）、荒川さんは岐阜県大萱の古い窯跡から志野焼の陶片を発見。以来、多治見に居を構え、江戸時代に衰退してしまった志野焼を現代に復興。桃山時代の技法を、独自のものとして確立した。「意識しないで自然にできたものがよい作品になる。作ろうと思うと、うまくいかないものだ」と語る。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズの総集編。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆ザイールのバンディブツ族（ピグミー）と並んでいまや地上最後の狩猟民となったサン族（ブッシュマン）の生活と文化を１０年間にわたって記録。狩人たちはカブトムシの幼虫から毒矢を作り、獲物を追う。キリンの胸に毒矢が命中するとキリンは一目散に逃げるがすぐには追わず、３日目に毒が回って倒れたところを捕らえる。蛇を捕らえた者は「ウサギや蛇などの小さな動物は年寄りや子どもが食べるんだ、若者は食べてはいけないんだ」とキャンプでの掟を語る。そんな彼らの狩猟に、馬が登場するようになった。馬の登場によって変化した彼らの狩猟、そして社会を記録した。

日本シルクロードの終着駅と言われた横浜は、発展の歴史の中でも生糸、絹織物の産業や貿易が果たした役割は大きい。生糸の集荷地・東京八王子から外国貿易への積出港・横浜まで、約４０キロの日本版シルクロードを歴史の中で検証する。