戦後の日本文学を代表する作品といわれる「死霊」の作者、埴谷雄高さんの創作と思想形成の内面を描き、１０日間、５０時間におよぶインタビューを通して、その独白をじっくりと聞く５回シリーズ。◆「死霊」第８章の発表からまる９年。埴谷雄高はいまその第９章で行き詰まっている。ここは未だこの世に生まれ出てない「人類にとっての最高宇宙」のイメージを死霊のひとりに語らせる章である。最終回では、この第９章に埴谷雄高が描こうとしている「理想の宇宙」についてと、未完に終わるかもしれない小説「死霊」に込められた「未来へのメッセージ」を語る。

シルクロード西域南路で砂漠の中のオアシスとして栄えたホータン、現在は中国新彊ウイグル自治区のホータン県。ここは百歳以上のお年よりたちが元気で暮らす“長寿郷”でもある。厳しい環境の中での長寿の秘訣を探り、人間らしい生活とは、幸せとは何かを問い直す。◆地区の人口１４５万人のうち百歳以上の人は２４１人。最高齢者は１８７２年生まれの男性、１２３歳だが毎日家畜の餌やりに精を出し、得意の歌を披露するなど健康そのもの。１１０歳の男性は７３歳年下の女性と結婚して村人たちの祝福を受けていた。

明治６年、いわゆる「お雇い外国人」として日本にやってきたオランダ人技師と恋をし、さまざまな困難を乗り越えて自立して生きた女性を描く。原作：三宅雅子。◆明治の末、京都山科を訪ねた楢林（風間杜夫）は一人の尼に会う。墨染めの衣のお絹（有森也実）を見て楢林は驚いた。かつて彼が通訳をつとめたオランダ人技師・デレーケ（ダフ・マルコム）と、旅館の仲居だったお絹は恋に落ちた。デレーケの仕事は木曽三川の改修工事であったが、視察のたびに計画を変更する彼と日本人技師とは対立し、工事の主導権は日本の官僚に移ってデレーケは排斥されていく。そのころお絹は子供を身篭っていた。

「広島の若者をもっと元気にしたい！」と街へ飛び出し、そこで出会う人々とのふれあいを描く。（１９９１年１０月４日～１９９５年１２月３０日、全１９５回）◆この回は、子供の頃だれもが遊んだことのある「おにごっこ」を大人になった今やってみよう、というのがテーマ。大人がやるからには範囲を広げ、広島市南区という広範囲で行う。追いつ追われつのスリルと共に、街の人々とのふれあいによって番組は進行する。

南茅部町は昔から続く昆布の町で水揚げ日本一を誇っている。自然を大事にし限られた資源を守りながら、最高の品質の昆布漁を続けている。◆昆布は山が作ると町の人は言う。ブナやナラの落葉の栄養が海へ流れて昆布の森を作ると。１００年先を目指して植樹が続く。江戸時代からマッカと呼ぶ道具を手作りして昆布をいたわる。３人一組の作業にも決まりがある。２カ月の漁期に人々は規律と知恵と腕で勝負をする。◆南茅部の昆布漁〔北海道〕

人口三千人の岐阜県加茂郡東白川村。５０年前、この村から９０９人が戦場に送り込まれ、２０３人が戦死した。戦争の記憶を持つ人が生きているうちにと始まった平和祈念館建設を追いながら、村と戦争のかかわりを描く。◆戦友を思い追善供養をするために戦時中の品々を集める人。戦死した兄を敬慕しつづける弟。国策だった満州（減殺の中国東北部）開拓に参加し、国に裏切られた思いで帰国した人、そして中国に残留した婦人。エピソードを重ねて戦争と戦後を描き出す。

偉人、有名人、人知れずに大事を成し遂げた人など、福島にゆかりある人物の足跡をたどり、その人の業績と人柄を描くシリーズ。◆画家・詩人として数多くの作品を残した竹久夢二は、しばしば福島を訪れている。県内各地で絵画や詩を残し、何人かの女性と噂になり、話題となった。夢二の福島での足跡をたどる。有名な「宵待草」は夢二が会津若松を訪れた時につくったものといわれ、文学碑も建っている。夢二の描く美人画のなかには、福島の女性のイメージで描かれたものもあったのではないかと探ってゆく。

冷戦後の激動する国際情勢の中で、防衛庁は「防衛計画大綱」を１９年ぶりに見直そうとしている。日本の新たな安全保障政策の進路を２回シリーズで探る。◆第１回のテーマは「日米安保」。北朝鮮（朝鮮民主主義人民共和国）の核開発疑惑をめぐる米朝交渉が暗礁に乗り上げたとき、米国は日本に重大な政治決断を迫っていた。日米の事前協議により、在日米軍が直接日本から出撃し、燃料補給も受けられるというもの。米国はアジアの安定のために「日米安保」がますます重要になっていると日本に告げている。