２０００年、落ち込んだ景気回復の起爆剤にと、高速道路の建設ラッシュが始まった。ぜんそくの患者が増加しているという事実もあり、建設現場周辺の住民の不安はやはり騒音と大気汚染である。建設に異議を申し立てた住民の姿と現代の車社会について考える。

京都・祇園で、四代にわたって受け継がれてきた井上流の舞が継承される瞬間を、冬から春へと移り変わる祇園の季節の中に描く。◆祇園に脈々と受け継がれてきた京舞井上流。その稽古場を舞台に、人間国宝にも認定された名手・四世井上八千代から、三千子へと継承されていく。

毎週、勝手にひとつの街を選んで徹底取材。ドラマチックかつロマンチックにアドバタイズ（宣伝）するＣＭを作り、その街の魅力を広告しようという、自称「地域密着系都市型エンターテインメント」。（１９９５年４月１５日開始）◆１９８０年代後半のアメリカで起こったアウトレットブームは、９０年代に入ってから日本でもブレイク、その中心が相模原。ベッドタウンとしていまだに人口が増加しているが、ここを流れる相模川は富士山の雪解け水を貯えた山中湖に源を発し、河口まで総延長１１３ｋｍの神奈川県でもっとも長い川。市内の西側を１３．７ｋｍの流れ、川に沿って散策路がある。川には鮎が生息し、解禁日の６月１日から釣り客でにぎわう。

昭和３９年（１９６４）、神戸市灘区の山中から大小１４点の銅鐸が発掘され、芸術性に優れている処から、その全部が国宝に指定された。トンボ、クモ、カマキリ、鹿、水鳥などの動物や、脱穀をする人物、稲の精霊を表す渦巻き模様などが巧みに描かれ、２０００年のロマンを実感させる。銅鐸は、初めて稲の栽培を始めた弥生時代の人々が、収穫の祭りの道具として用いたものと考えられるが、その後も島根県や佐賀県で新発見が相次いだ。現代の復元作業を通じて、古代の人々の夢を探る。◆桜ヶ丘町出土銅鐸【国宝】（２号銅鐸、４号銅鐸、５号銅鐸、６号銅鐸）、加茂岩倉遺跡（島根県）、吉野ヶ里遺跡出土銅鐸（佐賀県教育委員会）

これまで紹介した九谷焼、加賀獅子頭、金沢表具、金箔、田鶴浜建具を振り返るとともに、珠洲の切り出し七輪を紹介し、さらに伝統工芸のこれからについて考える。◆珠洲の切出し七輪は、下の風口から空気が入るとすぐ真火になり、火力が強い。しかし、自然の珪藻土を切り出し刳り抜いて造るので、量産ができない。◆石川県伝統産業工業館は３６業種の製品、制作行程、道具など４００点を展示し、県が誇る職人の技を一堂に見ることができる。問題は後継者不足と新商品の開発である。

凄まじい怒りを現す十二神将像。８世紀の半ば、天平時代に粘土で作られた塑像である。江戸時代の地震で１体が失われたが、残り１１体が現存し、１２００年前の匠の技を今に伝える。本尊の薬師如来像も国宝で、榧（かや）の一木作りの仏像である。鎧と武器に身を固めた武将達の表情は迫力に充ち、怒りの典型とされる。制作時には、複雑な文様と極彩色の衣服を纏っていたという。Ｘ線写真や、胎内に入れたファイバースコープ・カメラによって、当時の優れた造形技術を、現代の眼で検証する。◆新薬師寺本堂【国宝】、十二神将像【国宝】、薬師如来像【国宝】（新薬師寺蔵）

奈良の東に広がる原始林、春日山。古来、神々の森だったが、三つの寺が大陸からの仏教を受け入れ、神仏習合のはしりとして今日に至る。◆７６８年、藤原一族のために創建された春日大社は、同じく藤原氏の氏寺の興福寺と共に、融合の歴史を作る。道場である春日山には、この世とあの世をわける地獄谷、素朴な浮彫りの仏たち、都の川となる水源がある。そして能の起源をはじめ、神事も多い。◆中国から渡来の僧鑑真の唐招提寺、戦国の世に焼け落ちて復興を目指してきた薬師寺も紹介する。◆古都奈良の文化財

高橋竹山の一番弟子だった西川洋子さんが、師の魂の音色を語り継ぐ。◆平成１０年（１９９８）２月、津軽三味線の名手・高橋竹山がこの世を去った。門付け芸を芸術の域まで高めた竹山の演奏には、風雪と社会の差別に耐えたたくましさと、津軽三味線を愛してやまなかった懐の深さがあった。◆西川洋子さんは、昭和３７年（１９６２）に竹山に弟子入りし、師の音色と魂を最も間近で感じてきた一番弟子。青森市で営む店で、西川さんは津軽三味線の魂の音色を消さぬよう、高橋竹山を語り継いでいる。