広島には県立美術館をはじめ、多くの美術館があり、その環境、建物、収蔵品に特長をもち、多くの人に親しまれている。県内１３の美術館から、それぞれ２点の収蔵品（絵画、彫刻、書、陶磁器等）を推薦してもらい美術館の環境、建物を含めて、毎回１作品を取り上げる。今回は森谷南人子の「桃花処処」。

水俣病をめぐって、報道が社会に与えた影響は小さくなかった。水俣病報道に関わった新聞記者が、当時を振り返ってその功罪を再検証する。◆朝日新聞科学部の西村記者は、かつて水俣病の取材・報道に携わった反省から、水俣病の年表作りを続けている。病気に対する差別・偏見を生み出すことになった誤報、全国を水銀パニックに陥れ、水俣病に対する学術的研究までもストップさせてしまった過剰報道など、水俣病に対する報道は多くの禍根を残した。西村記者をはじめ、当時報道に携わった記者たちへのインタビューを通して、水俣病報道が持っていた光と影を浮かび上がらせる。

長年この分野で研究を続けてきた早稲田大学の吉村作治教授をメインパネラーとして、研究者たちの研究発表と討論を２回にわたって紹介する。（２０００年１月、東京・有楽町朝日ホールにて収録）今回は吉村教授の基調講演「エジプトにおける発掘調査の歴史」、早稲田大学の近藤二郎助教授の発表「新王国時代の遺跡と環境」とともに、パネルディスカッション「エジプトを掘る」の模様を伝える。

綾瀬川を渡り岩槻市に入ると、街道は東ルートと西ルートに分かれる。旅人はまず岩槻城址に向かう西ルートを進む。のどかな田園風景の中に、庚申塚や舗装されていない往時の道が残っている。飯塚の法華寺には、鎌倉幕府滅亡の混乱期に後醍醐天皇や足利尊氏から送られた文書が伝えられている。太田道灌が築城した岩槻城は、関東では小田原城に次ぐ規模を誇ったが、城下町造りのために街道の多くが消えてしまった。大手門跡に残る「時の鐘」は江戸まで響いたという。

司法改革について考えるシリーズの第２弾。戦前は日本にもあった陪審制度を考え、司法への関心と理解を呼び起こすために、実際にあった窃盗未遂事件を素材にした陪審裁判ドラマと、司法関係者ら識者による討論の２部で構成する。◆ドラマには、京都地裁から移築して立命館大学校内に現物保存されている陪審法廷を使用。陪審員は一般公募して１２人を選び、平行して番組視聴者にも陪審員になったつもりで評決に参加、意見を求める市民参加形式を取りいれる。

人間のルーツを探り、人類が霊長類から進化する過程でどのような社会を形成してきたかを考えるシリーズ。今回は、アフリカを舞台に人の化石と生活環境の研究が進んでいる古生態学について解説する。日本の霊長類学は、ニホンザルの研究から、その後、研究フィールドをアフリカの霊長類（ゴリラ・チンパンジー）に広げるとともに、化石人骨の調査や狩猟・採集民、牧畜農耕民社会の研究にも取り組んできた。人類進化の謎を解く鍵のひとつとして、マメ科植物の分布と人の遺跡の分布を比較する。講師は京都大学の伊谷純一郎名誉教授。

埼玉県の加須市（かぞし）は利根川沿いの水郷で、日本有数の米どころ。また、国内生産量５０％以上という日本一の鯉のぼりの産地である。錦鯉、金魚の養殖、特産の藍染め織りでも知られる。◆毎年、５月の連休には、ジャンボ鯉のぼりがあげられる。今年も市民参加で、全長１１１メートル、重さ７３０キロの鯉がつくられた。当日、河川敷には大勢の人が集まり、クレーンで吊られた鯉が徐々にあがっていく。巨大な鯉は、風をいっぱいにはらんで、初夏の空にひるがえった。◆ジャンボ鯉のぼり、武州鯉

東北各県の河川を辿りながら水とともに暮らす人々を訪ね、“みちのく”の命を守る水の姿をみつめるシリーズ。企画：東北民放テレビ六社会。（２０００年１月～３月放送）◆人は山を父に例え、川を母に例える。生命を生み出し、育む山と川。岩手県と宮城県にまたがる北上川は、東北最大の母なる川である。◆東北地方がまだ日高見と呼ばれていたその昔、川は日高見川と呼ばれていた。人々にその名が語り継がれて行く時間の中で、北上川と呼ばれるようになったのである。◆北上川は移り行く時間と時代の中を流れ続けてきた。時間とともに流れる川をそれぞれの季節が思い思いに色づけ、様々な川の表情を作り上げる。