２０２０年、日本。少子化対策のため「独身税」が導入されて３年、しかし出生率はついに１．０を切った。離婚歴のある３５歳のシングルマザー・雪乃を中心に、少子化社会を生きる人々の「幸福のかたち」を描く。◆契約職員として介護の仕事をしている秋月雪乃（永作博美）は、友人に誘われてしぶしぶ出かけた政府主催のお見合いパーティで高杉隆太（高橋克実）と出会う。４０歳の隆太は小学校の非常勤講師として理科を教えており、両親・祖父母と同居している。隆太は雪乃に交際を申し込むが、雪乃には再婚の意思がない。隆太も自分の仕事や家族のことを考えると積極的にはなれない。二人の間に細いつながりはできたが、この先の展望も希望も見えない社会のなか、間柄は遅々として進展しない。

熊本県の調査では、国の規制値を下回ったとして安全宣言が出された水俣湾の魚。しかし、国立水俣病研究センターの調査では、まだ規制値を越える魚が多くいるとしている。二つの調査結果の差の理由と、その背景を探る。◆チッソの排水による水銀で汚染された水俣湾では、ヘドロの処理作業が終わった後も魚の水銀濃度を調査している。安全宣言は３０年以上前の公定法で測定された値で出された。しかし、元国立水俣病研究センターの赤木氏が開発した赤木法で測定すると、水銀濃度は規制を超えている。水銀値はなぜ２種類存在するのだろうか。

息子を立派な軍人に育て上げた父。父に喜ばれることを信じて特攻していった息子。人々はなぜ戦争に熱狂し、巻き込まれていったのか。ひとりの父親の無念と家族の姿を通して過去を描き、今を考える。◆国家が、地域社会が一体となって動き出したとき、人はそれに逆らえるのか。むしろ自分から進んで巨大な熱狂の渦に加わってしまうのではないか。息子をお国のために役立てることを願った父と、父の願いを叶えた息子。夢はたしかに叶ったが、熱狂がさめて残ったのは悔いと悲しみだけだった。

東海３県を中心に、昭和３０年代から平成初期の世相を振り返るミニ番組シリーズ◆三重・二見浦、夫婦岩で写真撮影／定番コース、伊勢志摩／皇居見学／京都、各々夜を過ごす生徒たち

海賊に襲われた船の乗員が救命ボートに乗せられて海上に遺棄される。男たちの、小さなボートに命を託す共同生活が始まった。実話に想を得たドラマ。◆東南アジアのマラッカ海峡は最小幅６００メートル、資源輸入国である日本の生命線を握る海運の要所である。ここに出没する海賊は、近年国際問題としてクローズアップされている。日本の貨物船、ブルーアイランド号が海賊に襲撃された。海賊のメンバーに日本人の顔を見つけた俊介はその男・今井にとびかかり、もみ合ううちに今井も俊介とともに海に落ちたが、海賊たちは今井を助けることなく行ってしまった。

２００４年に旧ソ連邦から永住帰国した兄弟姉妹４人の１年を追い、「祖国」日本への様々な思いと日本の戦後処理の遅れを描く。◆平成に入ってから、旧ソ連邦からの日本人の永住帰国が増加している。戦後、日本人は全員引き揚げるという国際協定があったにもかかわらず、政府が彼らの帰国に積極的ではなかったことと、帰国事業の情報が正確に伝わっていなかったことなどで、本格的な帰国が遅れたことが原因だ。２００４年に帰国した大段家の人々がこれまで暮らしていたサハリン、南ロシアを訪ねると、そこには永住帰国を切望する残留者たちがまだ存在していた。

説教好きで、おせっかいで、ウソもつくけど憎めない、超マイペースなおじいちゃん、“ジイジ”こと片岡英吉。同居する片岡家の家族たちは勝手気ままなジイジに振り回されながらも、英吉の体当たりの行動や実直なやさしさに教わり、様々な困難を乗り越えていく。（第２シリーズ／２００５年７月４日～８月１日放送、全５回）◆第１回「またまた面倒かけます」。英吉（西田敏行）の胃ガンの手術は無事に終わった。嫁の夏子（古手川祐子）は、ジイジのために部屋を増築しようと考えていた。しかし、英吉は勝手にその話を断る。そのことで夏子はジイジと口論になり、過労もあって倒れてしまう。英吉は、昔世話になった沢田（織本順吉）が妻を失い孤独な暮らしをしているのを目の当たりにし、自分は恵まれていると自覚する。その晩、孫の翔（小杉彩人）がジイジのところに拾った犬を連れてくる。

２００４年９月２９日、台風２１号による土石流で仕事も家も一瞬にして失った男性。復興に向けた戦いが始まった。◆ワサビ栽培とアマゴの養殖を営んでいた西要司さん（当時６４歳）は、１５あった養殖池とワサビ田のすべてを土砂に飲み込まれた。鉄筋２階建ての作業場の１階も土砂に埋まり、ようやく戻った集落では自宅も土砂に押し流されていた。半壊で済んだ父の家に夫婦で身を寄せ、周りの人たちと力を合わせて生活再建に取り組み始める。