東大寺に対して奈良時代に創建された西大寺と、西大寺ゆかりの僧・叡尊の業績を紹介する。◆西大寺の本堂に安置されている本尊・釈迦如来立像は、京都の清凉寺のものを鎌倉時代の僧・叡尊が発願して模刻したことで知られている。当時、仏教界は腐敗し、ひ護者である貴族勢力は衰退していた。そんな中で叡尊は仏に帰依する者が守るべき戒律の復興を目指し、仏教本来の釈迦の精神に立ち戻ろうとした。その原点に据えられたのが、この釈迦如来立像だったといわれている。

古代、出雲には巨大な王国が存在した。分立していた小国が統合され出雲王朝ができ、壮大なスケールの出雲大社が出現した。だが、その王国も実像をはっきり刻むことなく歴史の舞台からこつ然と消える。◆数々の神話と、千数百年の時空を超えた昔さながらの神聖な儀式が残る神々の国、出雲。大国主命の国びき伝説や、他に類を見ない大社の豪壮な構え。古代に思いをはせ、現実と幻想を交えて歴史散歩をする。【国宝】出雲大社本殿、神魂神社本殿◆【重要文化財】佐太神社正中殿、美保神社本殿、八重垣神社本殿壁画、銅鐸、銅矛〔荒神谷遺跡〕

フランス革命が起こってから２００周年に当たる１９８９年。フランスで行われている様々な行事を中心に、革命当時と今日のパリを篠沢秀夫教授が紹介する。またフランス革命がなぜ起こったかを当時の庶民の生活、華やかな貴族の生活などの再現を通して解説する。

さまざまな産業から出る廃棄物。とりわけ有害性の強い廃棄物の処理については先進国の全てが頭を悩ませつつ対応に動き出そうとしている。その中で日本の有害廃棄物の基準や処理の実情とその問題点、将来への対応策を考えるシリーズ。（１９８９年２月８日開始、全２回）◆国連環境計画をはじめ、世界は有害廃棄物の新たな規制に動き始め、厚生省も国内基準の再検討を始めた。日本の大手商社はアメリカの巨大処理会社と提携して有害廃棄物処理の分野に進出しようとしている。望ましい処理はどうあるべきか、その実現性はどうかを考えていく。

第２次世界大戦勃発から５０年、繁栄の道をたどる西ドイツで、人がいかに戦争の罪や傷と向かい合っているかをとらえる。◆ナチス・ドイツの戦争犯罪の象徴ともなっているアウシュビッツ強制収容所で、青年たちが労働奉仕しながら歴史に対する理解を深める。３０年前に設立された「ナチス犯罪追及センター」は今も活動し、責任を追及している。右翼政党が勢力をのばす一方で、戦争の責任から目をそらさないドイツの国家としての生き方を掘り下げる。

“学校不適応”になった娘とその母親の物語を通して、義務教育の現状を追求する。（１９８９年１０月５日〜１０月７日放送、全３回）◆第二回。母親・史子が学校拒否児について取材に応じた新聞記者が学校で大きな問題となった。娘の夏美は母親との関係を一切拒否、家を抜け出してディスコなどに出入りする。夏美は学校にも家庭にも自分のための場所を見つけることができず、孤独を忘れるために街をさまよう。

建設会社営業部長の和夫が定年退職し最後の勤めから帰宅した。和夫は妻の千恵に、退職金２０００万円の小切手を手渡す。長男の武夫と妻の優子、長女の容子と夫の順一が和夫の慰労にやって来た。子どもらから、２人分のスペイン旅行のチケットを贈られて千恵は大喜びする。だが、武夫たちから、両親が住む時価１億円の実家を処分して、まとまったお金を貸してほしいと申し込まれ、千恵は今度は怒り出す。子どもらには腹を立てたが、旅行チケットは使いたい。和夫と千恵はツアーに参加する。マドリードから始まったスペインの旅で夫婦は青春気分をとりもどす。

東西ドイツを隔ててきたベルリンの壁が１９８９年１１月９日、全面開放された。開放の１ヶ月前の西ベルリンの抱える問題や人々の生活を取材する。◆“壁”が消滅したからといって、東西対立の縮図ともいうべきベルリン市が抱える諸矛盾が解決されるわけではない。かつてのナチを思わせるトルコ人迫害など、知られざる素顔をリポートする。