広島県は日本の縮図とも言われる。北の山地部は多雪地帯、中部から沿岸にかけては盆地、台地、平野がつづき、これを縫って流れる川が注ぐ所は、多くの島を抱く内海。こうした自然と風土の中に、中国自動車道、瀬戸内の大橋、鉄鋼団地、造船ドック、住宅団地などが近代的な装いを見せる。

死期を覚った時、生涯を船づくりに生きて来た老船大工・吉兵衛さんは、石灰運搬船“五平太舟”の復元に命をかけた。この平凡な老人が、いかにして力強く、自らの人生を完結しようとしたか、カメラは、病床でガンと闘う吉平衛さんの姿を追いつづける。

エネルギー資源、食糧、人口、海洋など、一国では扱いきれない問題が国際的に議論され始めた“地球時代”に、それぞれの問題に日本がどのように対処しているかを探り、その課題について考えるシリーズ。（１９７７年１月１０日～４月４日放送、全１３回）◆第４回は、農業技術の革新について。日本の農家では機械導入による省力化・大型化が進み、品種改良された作物の生産が増加している。寒冷地での稲作、砂丘でのスプリンクラー農業など、より大量に、より高品質の作物を生産するための技術や手法も開発された。その一方で、機械の導入によって借金を抱える農家が増えたなど、新たな問題も生じている。そしてどれほど技術が進歩しても、農作物の生産量は天候に左右され、価格暴落の危険性は常につきまとう。番組では、我が国の農業の新しい形と奮闘する人々の姿を描く。

昆虫が幼虫から成虫に成長する過程で、ホルモンがどういう働きをしているかを蚕を例にして様々な実験を積み重ねる。主として２種類の変態ホルモンがお互いに協力しあいながら、成長のプロセスにかかわっていることをわかりやすく映像化し、理解させる。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズの総集編。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆ナイルはアフリカの“母なる河”である。全長５７６０キロ、世界第二の淡水湖ヴィクトリア湖を源に持つ「白ナイル」、エチオピアのアビシニア高原から流れ出す「青ナイル」の二大支流を束ね、地中海に注ぎ込む。取材班は白ナイルを遡行、スーダン南部をエチオピア国境近くまで踏み入った。ナイル河の流域に住むヌバ族は、容赦ない大自然の試練を生き抜くため、いろいろな生活の知恵を働かせている。モロコシの収穫が終わると行われる、木刀による実践さながらの激しい大合戦もその一つである。負傷者の続出する大合戦は一種の模擬戦争であるが、この大合戦で日頃の鬱積したエネルギーを発散させるため、ヌバ族の村と村との争いごとは防止され、また村自体の力と結束力が鍛え上げられることになるのである。

野崎信一（愛川欽也）は永年勤めた商社を辞め、小学生の娘と二人で京都へ向う。少年の頃から憧れていたアラカンの鞍馬天狗の映画を作るために。嵐寛寿郎を説得し、撮影が始まった。スタッフは彼ひとりである。妻にはこの夫の奇妙な行動が分からない。白馬でさっそうと駆けていた鞍馬天狗が落馬、骨折、入院。信一は自ら鞍馬天狗の扮装で撮影を続ける。

美しい阿蘇山麓の農村を舞台にホンドギツネの生態を探る。◆３月、ホンドギツネのこどもが巣穴で誕生、母ギツネは昼間１、２度授乳のためにこの巣穴を訪れる。キツネにとっては人間が最大の敵、緊張している様子が伝わる。子ギツネたちは５月末になると、巣穴を棄て放浪生活に入るが、人間と犬のためにこの時期の死亡率は８０％以上という。

信念を貫く人々の姿や、人間の可能性と限界を探る異色のドキュメントシリーズ。（１９７２年１０月７日～１９７５年３月２９日放送）◆日本の刺青は、生きている浮世絵と言われ、世界に誇る優秀な技術を持っている。だがその一方でヤクザの連想から、日本人一般から毛嫌いされている。しかし刺青は、世間から思われているほど特殊なものではない。一生に一度、ひとつしかない自分の体をキャンバスとし、浮世絵、武者絵といった日本の美を描く伝統芸術のひとつである。刺青に対する不当な扱いに挑んだ現代の若い刺青師の物語を描く。