中部地区民放五局の共同制作で、中部地方で働く青年らが健康で明るく仕事に打ち込む姿を映すドキュメンタリー。放送番組センター協賛番組。◆長野県の安曇野は北アルプスの麓に位置し、登山を目的に多くの人々が訪れる。多くは有明山から中房温泉を抜けて行くが、そこがかつて養蚕業で栄えた山蚕（やまこ）の里であることを知る人はもういない。一般的によく知られている白い繭をつくる蚕が家蚕（かさん）と呼ばれるのに対して、野生の蚕である山蚕は、野蚕（やさん）と呼ばれる。その繭はまるで染めたようなうぐいす色をしている。山蚕から採れる糸は、通常の蚕の糸に比べ、３～４倍もの値段がつくこともあった。番組では、かつて山蚕の糸を使った織物で生計を立てようと京都に技術を学びに行った女性や、数の少なくなった山蚕の飼育研究の様子などを伝える。

東北の風土や生活の中から生まれた民芸品を紹介するシリーズ。放送番組センター協賛番組。（１９７０年４月～７月放送）◆雪に覆われた山形市切畑。古くから臼（うす）の産地として知られている。うす職人による制作過程を取材し、うすを用いる季節行事（うす休め、うす占い）なども紹介する。

オリンピック候補選手だったのに、交通事故にあい無気力になってしまった恋人同士。この二人が、ひとりの青年の出現によって昔の情熱と恋を回復する過程を、ドライなタッチで描いた現代風の寓話ドラマ。

今もその姿を残すアウシュビッツ収容所を紹介しながら、そこでの凄惨な収容所生活を体験した人たちにインタビューし、平和の尊さと今も根深く残る戦争の悲劇を描く。◆夫と父親をドイツの親衛隊に銃殺された母親。収容所の苛酷な体験で子供が産めなくなった女性。その女性が「敵は一つでした。それはファシズムだった。」とつぶやく。

世界各地を訪ね、衣食住、産業、文化など毎回ひとつのテーマを取り上げ、社会的風土や風俗を織り込みながら“本物”に迫る、海外取材ドキュメンタリー。放送番組センター協賛番組。（１９６９年１０月５日～１９７０年３月２９日放送、全２６回）◆今回は、アメリカの「消費」がテーマ。ニューヨークの郊外ある巨大なショッピングセンターは、１万２０００台収容可能な駐車場を持つ。カタログで商品を選び注文する通信販売も発達し、大量生産、大量消費という豊かな社会が出来あがった。しかし、その陰には大量廃棄というゴミ問題も潜んでいることを忘れてはならない。

世界各地を訪ね、衣食住、産業、文化など毎回ひとつのテーマを取り上げ、社会的風土や風俗を織り込みながら“本物”に迫る、海外取材ドキュメンタリー。放送番組センター協賛番組。（１９６９年１０月５日～１９７０年３月２９日放送、全２６回）◆今回は、香港の市民生活を紹介する。イギリスの植民地であり中国系住民が多く住む香港。洋服の仕立ては日本の半値、しかも一日で仕上がるという早さ。理髪店も早くて安い。結婚式は楽しく、葬式は盛大にという、おおらかで楽天的な香港の人たちの生き方を探る。（香港は１９９７年７月１日、中国に返還された。）

５か年の長期計画のもとに開始された番組で、その初年度として、アフリカのジャングルと並ぶ動物の宝庫東南アジアの熱帯降雨林を舞台に、近年急速に滅びつつある東洋区の貴重な動物の生態および現状を紹介した。１／１０「ボルネオのオランウータン」１／１７「台湾の蝶」１／２４「マラヤの海亀」１／３１「マレーシアの密林」（１９７０年１月３１日終了）

阿波の伝統芸能である「人形浄瑠璃」の語りを現代語に変え、映画的手法も取り入れて分かりやすく構成した「木偶シリーズ」。放送番組センター協賛番組。◆近松はその生涯で、浄瑠璃のいわゆる時代物と称される作品をおよそ７０編書き残しており、この「傾城反魂香」もその一つ、宝暦５年５６歳当時のものである。もともと狩野元信と傾城遠山の恋愛を中心に描いたものだが、個々にとり上げた「吃の又平」は將監閑居の段として知られ、町絵師の又平とその妻の情愛の描写は特に優れ、現在もよく上演される作品のひとつである。絵師・浮世又平は女房お徳とともに土佐の名を受けたいと師・土佐光信に願い出るが許されない。絶望した又平は自害を決意し、石塔に見立てた手水鉢の石に自分の姿を描くとそれが裏面に抜け出る。その気迫と技量に感じた光信は又平に土佐光起の名を与える。吃音で愚直な又平、能弁で情のある妻を配し、貧しい絵師夫婦の哀歓を盛り上げて人気があり、今日ではこの場だけが独立して上演される。