日本国内に患者はわずか数人の“高ＩｇＤ症候群”という希少難病を患う菴連也くん（当時１２歳）。全身の痛みや炎症がひどく、幼いころから入退院を繰り返してきた。そんな連也くんの願いは「いっぱい走りたい！」。得意の絵の中には、どんなときも連也くんを励ましてくれる楽しいキャラクターたちが描かれる。国の難病指定がない中、家族で支えあいながら前向きに生きる菴一家の奮闘ドキュメンタリー。

山形市で２０１１年１１月、体調を崩して１１９番通報した大学生が遺体で見つかった。山形市消防本部はなぜ大学生のもとに救急車を出動させなかったのか。関係者への取材で、背景の一端に救急要請が増大している救急現場の切迫した状況が浮かび上がった。◆救急出動件数の右肩上がりの増加という、山形だけでなく全国の消防の救急を取り巻く状況に、救急現場はどのように向き合い、対応しようとしているのか。現場の苦悩や努力など、市民の命を守るために模索する現場の取り組みについて、山形県内外の取材を通し、消防の救急体制が直面する課題を探る。

１９７９年２月、雪に閉ざされた秋田県羽後町から、フォークバンド「かど石」がレコードを出した。４人のメンバーは全員が農家の長男。冬のあいだは都会へ出稼ぎに行く。デビュー曲のタイトルは「若き百姓よ」。「都会の流行なんて、くそくらえ！」「若き百姓よ、居直れ、立ち上がれ！」。土に生きるプライドと、都会に対する反骨心を込めた強烈なメッセージソングだった。活動開始から３５年、いまも地元で農業を続けているのは、リーダーでボーカルの阿部養助さん、ただひとり。番組では、メンバー４人のその後を追跡。百姓の誇りを胸に生きようと誓った若者たちの夢と挫折、希望と葛藤を描く。

「はだしのゲン」の作者、漫画家・中沢啓治さんの生涯を追ったドキュメンタリー。約４０年間に蓄積した中沢さんの取材映像、妻・ミサヨさんや元担当編集者らゆかりの人々の証言をもとに、中沢さんの知られざる素顔を描く。

北海道芦別市出身の田中千草さんは、カンボジアで奮闘する小学校教員。それまで現地になかった音楽の授業を、６年前からボランティアで行っている。子供たちに学校の楽しさや大切さを伝えて登校者の数を増やし、今も日常的に横行している人身売買や虐待から子供たちを守るためだ。彼女の活動は着実に成果を上げ、５千人もの児童が通う地元小学校の名物授業にもなった。しかし一方で親たちの意識はほとんど変わらない。靴も与えないまま、自分の子供を深夜の労働に向かわせるという実態に、田中さんは苦悩する。子供たちが「なりたい自分になれる」未来のために、異国の地で奔走する“チィ先生”のドキュメンタリー。

広島の原爆爆心地近くにある基町商店街で、３０年間にわたって清掃員を続けてきたガタロさん（６３歳）は、画家というもう一つの顔がある。描くのは、モップや雑巾など、ふだん使う掃除道具。「汚れたトイレを文句一つ言わずに磨く道具たちほど、美しいものはない」と言う。被爆二世のガタロさん。朽ちた原爆ドームや商店街で見かけたホームレスなど、人々が顧みないものも絵にしてきた。清掃員、そして画家としてのガタロさんの人生を見つめる。

「ぞうさん」と親しまれ、今も昔も変わらずに子どもたちを夢中にさせる「アジアゾウ」。動物園の集客には欠かせない看板動物だ。これまでの動物園は、来園者に見やすく、飼育員が管理しやすい展示をしてきた。ごく一部を除いて、動物園内での繁殖は考えられず、ゾウが死ぬと代わりのゾウを輸入してきた。◆そんな歴史を大きく塗り替えようとしているのが、愛知県の２つの動物園だ。戦争中もゾウを守り抜いた唯一の動物園として有名な名古屋市の東山動物園。４０年間看板スターの座を守ってきたメスのワルダーが４１歳と高齢になるなどし、これまでの「展示型」の飼育から「繁殖」を重視する方向への転換を迫られた。◆２００７年にスリランカから繁殖目的に２頭の像を招き、２０１２年、期待通りに子ゾウが誕生する。グループで行動し、助け合いながら子育てをするゾウの習性に合わせて、動物園は「群れ飼い」を目指したゾウ舎の大改修に乗り出した。一方、豊橋市総合動植物公園では、アジアゾウが国内４例目となる子ゾウを出産した。しかし、母親が育児放棄。人口哺育を余儀なくされている。◆番組では、２頭の子ゾウの誕生をきっかけに「展示型」から「群れ飼育」に転換した動物園の取り組みを追う。両足を骨折してリハビリを続ける豊橋の子ゾウや、新しいゾウ舎への引越しを拒むワルダーの姿は、新しい取り組みが容易ではないことを示す…。

高知市の高知商業高校が東南アジアの国・ラオスで学校建設活動を始めて２０年目を迎えた。生徒会が中心となって校内に模擬会社を設立し、ラオスで仕入れた民芸品などを販売した売上げをもとにして、これまでに６校を建設した。また毎年８月には現地を訪問し、子どもたちとの交流を続けてきた。２０１３年には住民からの要望を受けて保育園を建設し、生徒たちも参加して落成式が開かれた。番組では、国際協力に力を注ぎながら自分自身と向き合い、成長する高校生たちの姿を描く。４ちゃんスペシャル。ＲＫＣ高知放送開局６０周年記念特別番組。