幕末に国禁を犯して単身ロシアに渡り、世界初の本格的和露辞典の編さんに加わった掛川藩士、橘耕斉。彼の波乱に満ちた生涯の軌跡を追ってレニングラードに取材、その実像にせまる歴史ドキュメント。

日本三景の一つとしてたたえられてきた宮島の、様々な秋の行事や、そこに生きる動植物を紹介する。◆宮島の秋は「たのも船」から始まる。厳島神社の聖域である宮島では、明治時代になるまで農耕が禁じられていた。そのため農作物は他の土地から取り寄せるしかなく、島の人たちの農耕に寄せる感謝と尊敬の気持ちはどこよりも強かった。その感謝と尊敬の念を表し、あわせて今年の豊作を祈願するのが、この「たのも船」の行事である。家々で作られた飾り船に家族の人数分だけの人形を乗せて旧暦８月１日の夜、ろうそくを灯して海に流す。

砂漠と岩山の国イランは、古くから東と西を結ぶシルクロードの陸の架け橋だった。さまざまな民族と文明がこの地で入り交じり興亡を繰り返してきた。アフガニスタン国境からイラン北路を西へ向かい、ペルシャ栄華の都イスファハンに至る。◆イスラム教最大の聖地メシェド、トルクメン（トルコ系住民）の生活。エルブルス山脈のふもとの村カズルハーンから、謎に包まれたアムラートの砦、美しいモスクの建つイスファハンではコーランが響く。◆アムラート砦、イマーム・モスク

あらゆる動物や人間、植物の姿を借りて、人生の様々な教訓を分かり易く描いた物としてイソップ物語は世界の童話寓話の原点とされている。毎回３人の異なった性格の猿、シグナルモンキーが登場、本篇に対する意見を述べる。原作：イソップ「イソップ寓話集」。（１９８３年１０月１０日〜１２月２３日放送、全５２回）

愛知県北設楽郡東栄町は天竜川の上流、佐久間ダムを間近に控えた山里。畑といえば急しゅんな山ひだを開いた段々畑。猫の額のようなわずかな土地にすがって生き、山仕事によって支えられてきた。湯立て神事の『花祭』で有名となり、奥三河を世に知らせた。一切の動力を使わず木を山から運び出す技もここだけに残る。正月飾りの風習も他で滅んだ原形がここにある。奥三河には今も確かな山村の暮らしが生きている。◆【重要無形民俗文化財】花祭〔愛知県〕

四万十川にテレビカメラを持ち込み、そこに棲む魚の生態のほか、豪快なアユの火振り漁や痛快なウグイ漁など、流域のほのぼのとした川の暮らしを紹介。清流・四万十川の魅力を描く。四国山地に源を発する四万十川は、高知県の７つの町や村を流れて土佐湾に注ぐ、全長およそ２００キロの大河である。ダムがひとつもなく、流域に大きな工場がないために、昔と変わらない豊かで清らかな流れを保っている。

１９８１年１０月１６日、ガス突出事故で９３人の犠牲者を出した北炭夕張炭鉱は、翌年１０月２日に閉山し、最後の儀式である労働組合の解散式を行った。“ヤマ”の人たちは事故、閉山、そして操業再開の断念という苦渋に満ちた２年間にそれぞれの思いを馳せるしかなかった。◆本番組は、１９８２年５月３日に放送された「ドキュメンタリー　地底の葬列」と１９８２年１１月２３日に放送された「続・地底の葬列」の内容に新たな取材を加えて再構成したものである。

日高山系の峰々を背にして、太平洋の潮風の中に牧場地帯が広がる。日高地方はサラブレッドやアラブなどの競争馬のふるさと。人が作り出す最高の芸術品といわれるサラブレッドを育てる牧場の営みの１日を追う。また太平洋に面した南端の襟裳岬までの浜は、江戸以来の伝統のコンブ漁で忙しい。人と馬が暮らす日高の秋。それはほかでは見られない、独特の広がりを持った風景である。◆日高地方〔北海道〕