１８９８年（明治３１）岡倉天心によって創設された美術院は、９０年の歴史の中で、現存する国宝・重文など古美術木像修理の道をひたすら歩み続け、そのほとんどを一手に引き受けている。仏像修理は、それ自体人々の信仰の対象であり、歴史の遺産でもあり、修理工房は神聖な場所でもある。◆小浜市谷田寺の十一面千手観音立像修理の現地調査と綿密な修理計画を中心に、仏像の姿を後世に伝える技巧のさえを見る。

江戸から明治へと大きく変化する時代に翻弄され続けた男の一生を描くドラマ。島崎藤村の原作を回想形式に脚色。◆明治１９年、木曾・馬篭本陣の当主・半蔵（財津一郎）は、維新以来の心労のため精神に変調をきたしていた。冬の夜、ついに錯乱して菩提寺の万福寺に火を放ち、住職らに取り押さえられる。以来、半蔵は座敷牢に幽閉される。新時代に学問を生かしたいと思っていた半蔵にとって、人生は束縛の連続だったのだ。

横浜港警察署捜査課の刑事、タカこと鷹山敏樹とユージこと大下勇次。捜査課でも問題児のこの二人が、時にはハードに、そして時にはクールに事件を追いかける。（１９８６年１０月５日～１９８７年９月２７日放送、全５１回）◆第５１回。山中一郎と名乗る男から「殺される、助けて欲しい」という通報が入る。鷹山（舘ひろし）と大下（柴田恭兵）はデパートで発生した人質事件の犯人を追跡中のため、代わりに吉井（山西道広）と田中（ベンガル）が通報された場所に向かったが、既に山中は殺されていた。その後、大下が狙撃され、現場には死んだ山中の手帳が落ちていた。その直後に港署に電話が入り、声紋分析の結果、山中と同一人物であることが判明。そして突然、男が港署に乱入し、ショットガンを乱射して逃走する。

明治維新に出発した近代日本は、アジアの大国になりながら、昭和で敗戦の破局に至った。作家・司馬遼太郎氏がその昭和へ至る歴史を、明治・幕末まで遡って語るシリーズ。（全１２回）◆第１１回は、江戸時代が３７０藩に分れ、それぞれが独自の文化・精神風土をもつ多様性に富んでいたこと、そしてそれが明治の隆盛への準備となっていた点を指摘する。さらに、現在の全国画一に「いい成績をとること」の風潮に警告をあたえる。

琵琶湖の水面を渡る風にのって奏でる三味線の音色。その音は繊細な繭糸（生糸）から生み出される。邦楽器の糸作りの二代目・橋本家は賤ケ岳の山懐に抱かれた滋賀県木之本町にある。昔から糸の里として知られ、生糸を育てる良質の水があった。◆細い生糸を束ね、撚り、原糸１５０本を合わせ、染め糊付けまで１０以上の工程を経て音楽性と耐久性のある糸を作る。長い経験と技、更に情熱が加わって日本の音の元が生まれる。

日本の地価は世界でも類をみない勢いで上がり続けている。この高騰が日本社会に与える影響を調査・分析し、提言を試みるシリーズ。（１９８７年９月６日開始、全３回）◆最終回は、前２回を受けて「土地税制」「土地の公共性と私権の制限」をメインテーマに討論を検討する。参加者は天野光晴氏、綿貫民輔氏、鈴木俊一氏、畑和氏、鈴木永二氏、坪井東氏、加藤源蔵氏、加藤寛氏、田中啓一氏、長谷川徳之輔氏、大前研一氏の１１人と市民４５０人。司会は松平定和アナウンサー、山本肇キャスター、斎藤記者で総合キャスターは磯村尚徳。

北村大通は、奈良で三代にわたる漆芸家の名家に生まれた。◆１９３８年（昭和１３）応召し、中国大陸に渡った最初の上陸地の名をとって大通を雅号とした。◆先代の後を継いで、正倉院宝物をはじめ国宝級の漆芸品２００点余りを１０年計画で修理するという偉業を達成した。引退後は、古代の逸品に学んだ学識と熟練を生かし、本来の漆芸作品に取り組んでいる。

平保年間、神田明神下に銭形平次の息子・銭無平次（三浦洋一）が住んでいた。女房のおしず（竹下景子）は、実は現代から江戸へタイムスリップしてきた女性。平次はおしずの知恵を借りて、またまた難事件を解決する。◆平次は、自殺しようとしていた老人・権助（小鹿番）を連れ帰ってきた。話によると、大金持ちの増田屋邸で、宮本武蔵の水墨画を目茶苦茶にしていまい、弁償として一人娘を差し出せと言われたとのこと。ところがこの絵、実は偽物…。◆昭和４１年に終了した「お笑い三人組」以来の公開生放送ドラマ。