利休が秀吉の勘気に触れ、自刃してから約４００年。しかしその死の真の理由はいまだ謎に包まれている。利休が造った現存する茶室“待庵”（国宝）から推理を試み利休切腹の謎に迫る。◆待庵はそれまでの書院の茶室とは全く異なり、史上、突然の出現とされてきたが最近この名茶室が李朝期の建築に酷似していることがわかった。待庵を復元、その普請のプロセスを見ながら利休切腹の謎に一歩踏み込む。

１９８９年２月９日に死去した手塚治虫氏の人間像を描き、また氏の長男である映像作家・手塚真氏が、父・治虫の夢の世界を探り映像化を試みる。◆「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」など数多くの作品で、戦後の幅広い世代に夢を与え続けた手塚治虫氏が６０歳で世を去った。その青春時代の日記や、キャラクターの原型となったおばさん、友人などの証言をもとに、人間・手塚治虫を浮彫りにする。さらに、この番組の映像づくりにもかかわった手塚真氏が、父の青春時代を追体験しながら、父が追い求めたテーマである「人道主義」「平和」「生命賛歌」そして「アニメーション（＝命を吹き込むこと）」の源流にさかのぼって創作の秘密を探る。

米国アリゾナの実験都市、揺らぎの研究など、今日の科学技術を人間的地平から検証する。「ザ・２１世紀」第５回。

江戸元禄期に王朝美を再現し、日本の雅を完成させた絵師・尾形光琳（１６５８〜１７１６）。京都の高級呉服商の家に生まれ、美に囲まれた幼少期。遊興にふけり没落し、弟の陶芸家・乾山の絵付けをする。俵屋宗達の『風神雷神図』との運命的な出合いは有名。◆やみ夜から金地の世界に照らし出された梅と水流−最晩年の傑作『紅白梅図屏風』など多くの作品の中から、光琳の作風、現代に通ずる写実とデザインを追う。◆【国宝】紅白梅図〔ＭＯＡ美術館〕、八橋蒔絵螺鈿硯箱〔東京国立博物館〕◆【重要文化財】風神雷神図屏風〔東京国立博物館〕◆【その他】竜田川図〔五島美術館〕

恋人に愛想をつかされ、大人になりきれない青年が目のあたりにした上流階級の家庭崩壊を描く。◆修は２７歳、大学卒業後も公認会計士試験の勉強を続けていて、夜はキャバレーで男性ストリップの仕事をしている。交際の長い和代との間に女の子ができたが、和代は修に失望、子供を母親に預けて別の男と平凡な結婚をするという。ある日、修は友人から家庭教師の口を紹介された。相手は大金持の下路の娘で小学校５年のマリ。若く美しいマリの継母・陽子は修にマリの話し相手になってくれるよう頼む。

神秘と謎に満ちた小宇宙ともいえる人体の仕組みについて、現代の科学がとらえた最先端を解説する。（１９８９年９月１９日〜９月２１日放送、全３回）◆第１回のテーマは、体の中の化学工場・肝臓。肝細胞は５００種類の働きをするといわれ、蛋白質の合成や解毒作用など大きな役割を果たしている。これらの役割を果たすための働きにはいろいろな酵素が中心になってる。中でもスーパー酵素Ｐ４５０と名付けられた酵素は、ただ１つの働きしかしない酵素群の中にあって、いくつもの働きをする不思議な酵素である。

日本人の戦後の歩みと思いを、戦後の廃墟の中から歌いはじめてついには女王とまで呼ばれた美空ひばりのヒット曲やエピソードに重ねあわせてふりかえるシリーズ。（１９８９年６月２９日〜７月１日放送、全３回）◆最終回は１９６６年（昭和４１）「悲しい酒」が世に出るまでのエピソードと、この曲に感慨を抱く人々の証言とで、高度成長の繁栄の陰に生まれたすき間を描く。

人と自然の原風景を求めて、ピレネー山麓の小さな村、ウスタロスに暮らした緒形拳と心優しいバスクの民との一年間に渡る生活の記録。