日本の民族文化が生まれてから二千年あまり。この長い年月、日本の女性たちは生活を豊かにするためにさまざまな知恵を育て、残してきた。この番組は、そうした生活の知恵を文化史の面からふり返り、現在の生活に役立てたいと企画された、婦人向け生活百科事典。家庭生活の歴史的な意味、幅広い知識など、海外との対比もあわせて紹介する。（１９７０年１０月３日～１９７１年３月２７日放送、全２６回）◆第７回のテーマは、市場。毎日の暮らしの中で、買い物は欠かせない大切な営みのひとつ。買い物は昔、物資の交換、つまり市（いち）から始まった。そして現代も、安く新鮮な魚や野菜を、生産者と消費者が直接取引できる市は、生命力を保ちながら、庶民の台所として各地に生きている。市はまた、品物の交換のために集まった人々にとって、楽しい交流、情報交換の場でもある。市が文化の発展に果たした役割は大きい。日ごろ目にする市や珍しい市、外国の市などを紹介するほか、市の歴史から市の仕組みをたどり、素朴な朝市として名高い佐賀市呼子の朝市を例に、現代の消費生活に必要な知恵を探る。

母への愛惜の念と義兄への復讐を胸に少年院での生活を送る宇野行助の厳しい人生を描く。木下恵介・人間の歌シリーズ。原作：立原正秋（１９７０年４月１６日～１９７０年７月９日放送）◆行助（あおい輝彦）は実母の澄江（久我美子）に乱暴しようとする義兄・修一郎（田村正和）の姿を見て、止めに入る。逆上し出刃包丁を持ち出した修一郎は、争いのはずみに自らの太腿を刺してしまうが、「女中と女中の子に刺された」と警察に訴える。夫・宇野理一（二谷英明）の苦しみを思った澄江は沈黙し、元女中である母が受けた侮辱を誰にも知られたくない行助は罪をかぶって、少年院送りとなる。

大名の権力のシンボルであった城と、そこで生活した歴史上の人物に、その土地の風土や環境を重ねて描く歴史ドキュメンタリー。（１９７０年７月１０日～１９７１年１月１日放送、全２６回）◆第１３回は、和歌山を訪ねる。【番組内に登場する地名、人名、役職名、引用資料等は制作当時のものです。現在とは異なっている場合があります】

世は競馬ブーム。売り上げは年間２５００億円、競馬ファンは全国で２千万人を超す。このブームに全国の競走馬の７０％を生産している日高ではより速い馬を産みだそうと加熱状態を呈している。サラブレット系２才馬のセリでは、史上最高の８００万円の馬も出た。しかし登録馬のほとんどはセリ市を通らないいわゆる“庭先買い”をされ、最高１５００万円にもなると言われている。今年のダービー優勝馬ダイシンボルガードも浦河町の秋葉ひさしさんの産馬で庭先売りの馬だった。その弟馬も１０００万円で売れている。ダイシボルガードは一流の血統ではなく、ダービー優勝はまさしく奇跡だった。浦河町では秋葉さんに続けと馬づくりに熱がこもっていた。一方、浦河町の牧場主の一人、本須まことさんは速い馬をつくるため、川を泳ぐヤマベの速さの研究や牧場に立木や木の切り株を残したり、馬づくりに心血を注いでいた。馬づくりに熱を帯びる浦河町の一年を追った。◆放送番組センター協賛番組。

長崎県壱岐・勝本港の一本釣り漁師、篠崎哲治さんは３５歳。海に出てイカやブリの一本釣りに励む。勝本港は豊かな漁場に恵まれ、５６０隻余りの一本釣り漁船を擁する。篠崎さんは島では先進的な漁師である。常に新たな漁法を研究し、後輩に指導して人望を集める。お盆になると島を離れ、都会で働く若者も島に帰り、盆踊りやペーロン大会に熱中する。◆放送番組センター協賛番組。

旧制広島高等学校の教授で、アララギ派の歌人でもあった中島光風（てるかぜ）さんは、爆心地近くの自宅で被爆、８月３１日に亡くなった。妻も行方不明。二人の遺児は光風氏の遺言により、中学生の男の子は親戚に、小学生の女の子は友人に引き取られた。彼と光風氏は五高・東大を通じての親友で、二人が交わした百数十通の手紙には、戦争という時代に生きた人間の姿がさまざま浮彫りにされている。

熊本大学の環地中海遺跡調査団に同行して、モロッコからエジプトまでの陸路を５か月間にわたり取材。多くの謎を秘める遺跡や散在する絵画や文字など、学術的内容を織り込みながら、アルジェリア、モロッコ、チュニジア、エジプトなどの遺跡をわかりやすく解説する。加えて現地の風土、風俗、習慣、行事など、現在の姿も紹介する。放送番組センターの制作番組第一号。（１９７０年７月５日～１２月２７日放送、全２６回）◆第４回のテーマは、生きている古代都市。

インドから西域を経て、シルクロードの東の涯に渡米した仏教の道すじを、海外取材の資料フィルムによって描く。また、壮大な仏教寺院・東大寺大仏建立にかけた当時の為政者たちの意図や民衆の貧しさ、苦しさを、伽藍や住居の模型、万葉集などによって描き、日本が統一国家として歩きはじめた時代の姿を伝えた。