広島県安芸高田市美土里町にある広森神楽団は１００年以上の歴史を持つ。一時は団員不足から活動を中断したが、「神楽の伝統を絶やしてはいけない」との思いから１９８１年、有志の呼びかけで再結成され、“こども神楽団”も同時に結成した。そこで神楽を始めたのが団長の金井さん、聖川さん、八重尾さんの３人。しかし、コロナ禍が始まって約２年、たび重なる緊急事態宣言で伝統芸能は相変わらず不要不急とされ、公演は延期・中止になった。さらに一緒に神楽団に入った聖川さんがステージ４の大腸がんを患っていることが判明する。抗がん剤治療を続けているため、舞うことはできなくなったが、和太鼓を叩き神楽団を支えている。昨年の秋祭りでの神楽は中止となったが、今年は舞うことができるのか。伝統芸能「神楽」と生きる人たちの絆を取材し、「コロナ禍」から地域の伝統芸能・文化をどう守るか考える。

播州の屋台職人親子に１年間密着し、屋台作りに人生をかける親子に迫る。◆兵庫県姫路市にある河野建設屋台製作所の二代目・河野敏信さん（７０歳）は職人歴４７年、３５０台以上の屋台を手掛けてきたカリスマだ。その息子で、三代目の河野玄太朗さん（３３歳）は父に憧れこの道に入って１０年となり、今回初めて棟梁を務めることになる。その重圧と情熱、そして父・敏信さんの思いを取材した。

今に伝わるアイヌ料理や文化をもっと知りたい。北海道平取町二風谷の出身で、アイヌにもルーツを持つ大学生、関根摩耶が北海道を旅し、モノローグでつづる。（２０２２年１月４日～３月２２日放送、全１２回）◆第１０回「トノト（ｔｏｎｏｔｏ）」。「トノト」はアイヌの伝統的な酒である。そんな「トノト」を、ヒエと米麹を使って商品化した酒蔵が小樽にあり、摩耶が訪ねた。杜氏が白老の旧アイヌ民族博物館の監修を受け、試作を繰り返した酒で、酸味と甘みに加え、とろっとした飲み口が特徴。トノトづくりを故郷・二風谷で見て育った摩耶は懐かしさを感じる。

色鮮やかな幡行列が初冬の空を彩る二本松市木幡地区の「木幡の幡祭り」。平安時代後期の「前九年の役」で源氏の軍勢が奥州の豪族・安倍氏と戦った故事にちなんだ祭りだ。この祭りにはもう一つ、大切な儀式がある。「権立（ごんだち）」と呼ばれる祭りに初めて参加する青年の成人儀礼だ。地区の若者が険しい山を登り、山中にそびえ立つ巨岩の隙間をくぐり抜ける「胎内くぐり」をすることで、ようやく地域の大人として認められる。番組では「権立」となった若者４人が大人になるその日を迎えるまでを追う。

今に伝わるアイヌ料理や文化をもっと知りたい。北海道平取町二風谷の出身で、アイヌにもルーツを持つ大学生、関根摩耶が北海道を旅し、モノローグでつづる。（２０２２年１月４日～３月２２日放送、全１２回）◆第１回「オハウ（ｏｈａｗ）」。「オハウ」は山菜や海藻、魚、肉などの具の入った汁物で、伝統的なアイヌの主食として知られる。地域によって、家庭によって、季節によって、さまざまなオハウがある。そんなオハウの一つに会うために、冬の知床を訪ねた。

山梨県韮崎市で農業を行う守屋紀洋さんは、南国のフルーツとして知られるマンゴーを栽培している。宮崎県産にも劣らない味に注目が集まっている。当初農業初心者であった守屋さんは、マンゴー栽培の難しさに失敗が続いた。それでも栽培３年目には収穫量も売り上げも大幅に増加した。そんな守屋さんの努力の背景には家族の存在があった。守屋さんの母親は、守屋さんが１２歳の時に亡くなり、それから厳格な父親に育てられてきた。守屋さんはそんな父親に認められたいと奮闘を続けている。そしてもう一人、大きな存在だったのが障害を抱える兄である。亡くなった母が心配しないようにと、守屋さんは兄をサポートできる鍼灸師の国家資格を取得し、妻と３人で暮らしていた。父親から農業の話を相談された時も兄と一緒に働けるかもしれないと、農家になることを決意する。しかし、その後兄は急死。守屋さんは亡くなった兄のためにもマンゴー栽培を成功させたいと考えていた。山梨県で奮闘する若手マンゴー農家を追いかけた。

南太平洋のバヌアツ・タンナ島で激しく活動を続けている活火山・ヤスール。島の言葉で「神」という意味を持ち、島民から崇められている。“世界で一番火口に近づける火山”として知られるこの山に、俳優の阿部進之介とディレクター兼カメラマンが訪れる。タンナ島の部族の人々は伝統の踊りとご馳走で２人を温かくもてなし、撮影成功を祈願する。プロのクライマーから火口内に降りる訓練を受け、マグマが噴出する極限まで近づき、最新の６Ｋシネマカメラとドローンで撮影を行った。ヤスールの状況は刻々と変わり、再訪時に同じ光景を見ることはできない。地球の息吹を感じられるような、ＣＧなしの大自然ドキュメンタリー。

美味し国三重で古より縁起の良い食材として重宝される「伊勢えび」。豊かな海を守り、美味しい食を支える人々の裏側とその気持ちを優しく描く人情ドラマ。◆主人公の篠塚悠馬（高杉真宙）は若手のカメラマン。食を中心に活動している。今回は「伊勢えび」をテーマに三重県伊勢志摩にやって来た。美味しい伊勢えびの撮影は順調に進む。居酒屋で偶然出会った浜口恵理（入山法子）が伊勢えびの研究者であったことから、伊勢えびの厳しい現状を知ることになる。１００年以上続いた養殖研究を中止し、将来へ向けて海の環境保護へ研究をシフトしなければならないのだ。