文明開化の地・横浜。開港とともにいち早く外国文化を導入して発展してきたために、横浜を発祥地とする事柄は数多い。様々なモノの事始めをテーマに、スタジオでのトークや解説、「はじめて劇場」のコントの他、関連の事跡や場所を訪ね、関係者へのインタビューなども含めて、紹介していくシリーズ番組。◆「電信・電話」の回では、幕末期にアメリカから幕府へ贈られた品々の中に含まれていた“電信器”での交信にまつわる話などを紹介。（企画：横浜市教育委員会文化財課）

広島型原爆の５００倍の放射能を放出したチェルノブイリ原子力発電所事故から１年余りを経た時点で、ヨーロッパ各国が直面している放射能汚染問題を取材する。◆最大の問題は土壌汚染から起こる食料の放射能汚染である。最大の汚染地帯、スウェーデン・ラップランドでは、トナカイの飼育で暮らす人々が深刻な影響を受けている。西ドイツ・バイエルンでは汚染された粉ミルクの処分をめぐって国内が揺れている。各国の住民が見えない汚染と戦う姿をとらえ、原子力発電の事故が多層的に長期にわたって人類に影響を与え続ける実態を明らかにする。

１９８６年１２月に起こった、国鉄山陰線余部鉄橋の脱線転落事故を、実験を通して分析し、原因を解明、今後の問題点をさぐる。◆事故にあった列車は、余部鉄橋手前の駅で乗客をおろし、回送で鉄橋へさしかかった。７車２１８トンの列車が、強風にあおられて高さ４１メートルの鉄橋から転落し、下の工場と民家を直撃して死傷者１２人をだした。◆当時の瞬間最大風速は３３メートルであった。流体力学的には下から吹き上げる風は、車両のような箱型構造物を下に押しつける力となるが、急速な風速の増大があった時、瞬間的に大きな上向きの力がはたらくという。風と車両の関係の落とし穴をとりあげる。

戦争体験を持つ女性が、子どもたちに戦争の悲惨さを直接語りかけるシリーズ。◆愛知県の鈴木三枝子さん（６２歳）は戦時中、東京の飛行機工場で動員学徒の教育係だった。空襲で逃げる時、生産記録のノートを落としてしまい、スパイとして憲兵隊に連行されたこともある。全国各地から動員された若い女子学徒たちは、一昼夜立ちっぱなし、飲まず食わずで働かされた。最低の人権さえも奪われた、軍需工場での苛烈な日々を語る。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日〜１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第３３回は乾汽船相談役・乾豊彦さん（８０歳）。

雪舟筆「山水長巻」は、四季の移り変わりを描いた日本の水墨画の名品である。画家の丸木さん夫妻が毛利博物館にこの絵巻を訪ねる。◆１１歳のころから京都の相国寺で禅の修業を積んだ雪舟（１４２０〜１５０６）は、４０歳を過ぎ一切を捨て旅に出る。そして１４６７年、応仁の乱の年、水墨画の源流である中国・明に渡り３年間研さんを積んだ。帰国の後、さらに旅を続けることおよそ２０年。雪舟６７歳の時、「山水長巻」は成った。ここには遠近自在の山水表現が四季の変化のうちに展開し、雪舟独自の個性が発揮されている。

東京・出光美術館所蔵の伴大納言絵巻を美術史家の佐野みどりさんが解説。物語の展開と絵巻の流転の旅を二つの軸として構成する。◆伴大納言絵巻は応天門炎上をめぐる大納言伴善男の陰謀と失脚の物語が全３巻、全長２６メートルにわたって展開するドラマティックな構成の絵巻物である。この絵巻は炎上事件から３００年後、後白河上皇の命により常盤光長によって描かれたものといわれている。登場人物約４００人、画家の人間に対するあくなき関心が随所に見られ、人間の表情・しぐさの百科全書の趣きがある。

円高をきっかけに大きな転換点に立たされた日本経済。暮らしは、企業は、そして国はどうなるのか。経済の問題を私たちの暮らしとの関係でメスを入れ、わかりやすい解析を試みたシリーズ。（１９８７年７月２１日〜２３日、全３回）◆第二夜は豊かさについて。今や日本の賃金水準は世界一だというが、家庭の台所をあずかる主婦の実態は、世界一とはほど遠いものがある。なぜ豊かに感じられないのだろう。円高で露呈した虚構の豊かさ。日本はなぜ円高に弱いのか。日本の“豊かさ”の実像を探る。