老人性痴呆になった母親の面倒を自分でみようと決心した娘の奮闘を描く。女優・高森和子の著書を原作にし、本人も母親役で出演している。（１９８９年１月９日〜１月２７日放送、全１５回）◆女優の和子（遥くらら）は、母のりう（高森和子）とふたり暮らし。和子の姉・君子（林美智子）が隣に住んでいる。突然母が「君子に金を盗まれた」と和子に財布を見せる。取りあわないでいると、戸締まりしろとうるさい。どうやらボケが始まったらしいと和子は老人病院に相談に行く。しかしそこにはボケた親の入院を喜ぶ夫婦の姿があった。和子は家で世話をしようと決心し、とうぶん女優の仕事を休むと宣言する。

直木賞受賞をきっかけに本格的な小説家としての道を歩みはじめた３人の作家が、自分史を織り交ぜながら愛着の深いその一冊を朗読する。（１月６日終了、全３回）◆第１日は永井路子さんが第５２回直木賞受賞作「炎環」を読む。この作品は鎌倉政権の内部で生きた４人の人物の姿を４部構成のオムニバス形式で描く。

近い将来、日本は世界有数の超高齢化国になる。いまだかつて経験したことのない社会になるとき、老人はどう生きるのが望ましいか。４５歳以下の人は一人もいない日本一高齢化した島、「志々島」にそのヒントを求める。◆瀬戸内海に浮かぶ小島、志々島は過疎の島。１３年前に小学校は廃校、若い世代は全て島外に出てしまった。島民１０２人のうち最年少者が４６歳、平均年令は６８歳。高齢者だけになってしまった島の人々の暮らしを見つめる。

作家・動物学者であるムツゴロウ（畑正憲）が自ら建国した動物王国を中心に、自然と動物と人間のふれあいを描くファミリードキュメント番組。◆子猫のマイケルは、柴犬ピコに育てられたため、自分は犬だと思っている。ほかに、新しく動物王国に仲間入りしたメキシカンヘアレスドッグのアダムとイブ、ニュージーランドの牧羊犬やアホウドリなどを紹介する。

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は激しく動き始めた。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える。（１９８８年５月７日～１９８９年９月３０日、全６９回）◆神戸牛、松阪牛、世に名高いブランド和牛は多い。その一角に食い込もうとする岡山ブランドの取り組みを紹介する。

秀吉が黄金の茶室を造り得意になっていたころ、茶人・千利休（１５２２〜１５９１）は畳２枚の草庵で茶を点てていた。京都大山崎にある利休作といわれる『待庵』と、武家茶人・織田有楽斎が残した『如庵』の構造や機能を考察。利休がたどりついた究極の密室空間での侘茶の心を探る。◆世俗と切り離された別世界で、日常の本体を隠して集う一期一会。亭主を含めて４人が入る狭い空間に、人と人が心を通じ合える茶の本質を見る。【国宝】妙喜庵茶室（待庵）、如庵〔有楽苑〕◆【重要文化財】建仁寺方丈、護国寺月光殿

援助大国といわれる日本だが、「物・金だけの援助」という批判も多い。そんな中で鹿児島の“カラモジア大学”は心と心が繋がった国際交流を目指している。タイの山岳地帯から研修にやってきた青年のさわやかな活動を通して、市民レベルの交流を描く。◆「カラモジア交流」とは、鹿屋市にあるボランティア団体南方圏交流センターが進めている草の根の国際交流事業。センターでは、１９８８年「カラモジア大学」というアジアの農業青年を鹿児島県内の農家に受け入れるというユニークな農業研修制度を作った。その第１期生がタイの少数山岳民族モン族の青年スリヤ・サエチャンさんであった。

江戸元禄期に王朝美を再現し、日本の雅を完成させた絵師・尾形光琳（１６５８〜１７１６）。京都の高級呉服商の家に生まれ、美に囲まれた幼少期。遊興にふけり没落し、弟の陶芸家・乾山の絵付けをする。俵屋宗達の『風神雷神図』との運命的な出合いは有名。◆やみ夜から金地の世界に照らし出された梅と水流−最晩年の傑作『紅白梅図屏風』など多くの作品の中から、光琳の作風、現代に通ずる写実とデザインを追う。◆【国宝】紅白梅図〔ＭＯＡ美術館〕、八橋蒔絵螺鈿硯箱〔東京国立博物館〕◆【重要文化財】風神雷神図屏風〔東京国立博物館〕◆【その他】竜田川図〔五島美術館〕