さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、歌手の小室等さん。

「水俣病」。土地の名を背負ったこの公害病に対する市民たちの複雑な思いを描く。◆水俣病を発生・拡大させたのは、結果的に水俣の地域社会が深くかかわっていると指摘する声がある。昭和３４年（１９５９）の工場排水停止に対する反対陳情。４３年の工場再建のための水俣市発展市民協議会など、チッソの危機は、水俣市全体の危機として受け止められた。チッソの責任を追及する動きが出てくると、チッソを擁護しようという住民意識が台頭。被害者の運動への反感が公然と表明される場面もあった。営業不振に直面した旅館主や商店主や水俣市出身という偏見や差別を受けた市民の屈辱感が、患者に向けられることもあった。繰り返し起こった病名変更運動もそのような住民感情の表われだ。

時は安永、１０代将軍・家治のころ。剣の達人・鶴見源次郎（中井貴一）は御家人の跡取りだったが、妻を離縁し家督を弟に譲り、現在は浪人の身。ある晩、公儀隠密と八嶽党との戦いに出くわし、公儀隠密を助太刀したことから命をねらわれる。老中首座の松平右近将監は、源次郎に八嶽党の陰謀を探って欲しいと依頼する。原作：藤沢周平「闇の傀儡師」。

栃木県の各地で、太陽や月を御神体として祀る全国でも珍しい「天祭」が行われている。戦前までは、お天祭、天然仏、天道念仏などと呼ばれ県内各地で行われていた「天祭」も、今ではおよそ２０カ所になった。農村が豊かになるにつれて、「天祭」のシンボルとなる天棚に豪華な彫刻を施したり、郷土芸能を含んだりと、芸能色の濃い行事となってきたが、自然を信仰する祈りは変わることがない。◆天祭

奈良ゆかりの芸術家や職人をジェフ・バーグランドが訪ねインタビューするドキュメンタリー。◆奈良の赤膚焼（あかはだやき）は、約４００年前に郡山城主の豊臣秀長によって始められたと伝えられる。明治４３年（１９１０）生まれの尾西楽斎（おにしらくさい）さんは赤膚焼の陶工で、日展をはじめ数々の陶芸展で入選を果たし、有名社寺に納めた作品も数多い。江戸時代の名工・奥田木白の流れを受け継ぎ、赤膚焼の土味を生かしながら温かな味わい深い作品を創り続けている。奈良県内の工房を訪れたジェフは、「焼物は土を見てその生まれを知り、形や文様を見てその時代とそこで育まれた文化を知ることができる。焼物はまさにその土地の風土から生まれ育った」と教えられる。

全国各地の商店街をはじめ、温泉街、学生街、神社参道など身近な町並みや通りの素顔を紹介する。◆大阪の東、生駒山麓にある石切神社、正しくは石切剣箭（いしきりつるぎや）神社は腫れ物を治す神様として信仰を集めている。その参道、近鉄石切駅前から約８００メートルの通りに、お参りの年配客をターゲットにした１１０の店が軒をつらねている。衣装、おもちゃ、食べ物からお地蔵さんのよだれかけや縁起もののカエルの置物を売る店まで、おばちゃん好みの何でもありの商店街。ふれあいを大切にする笑顔の町を案内する。

ＮＨＫ連続テレビ小説第５５作「ふたりっ子」（１９９６年１０月７日～１９９７年４月５日放送）の総集編。大阪の下町・天下茶屋の豆腐屋に生まれた双子の姉妹・野田麗子と香子の成長を描く。作：大石静。（全４回）◆総集編・第２話「青春編」。麗子と香子の母・千有希（手塚理美）は夫・光一（段田安則）と不仲になり、２０年ぶりに芦屋の実家に戻る。京都大学に入学した麗子（菊池麻衣子）は、同じ京大生で海東財閥の御曹司・壮平（山本太郎）と恋に落ちるが、豆腐屋の娘であることを隠していたのが発覚して破局を迎える。一方、奨励会に入会した香子（岩崎ひろみ）は天才棋士・森山史郎（内野聖陽）と出会う。また、ようやく戻った千有希と入れ替わるように、今度は光一が「夫婦みち」を歌う通天閣の歌姫・オーロラ輝子（河合美智子）と駆け落ちする。様々な波乱の中、香子と森山が結婚することになる。

イタリア北部の町フィレンツェは、英語名フローレンス、花の女神フローラにちなんでつけられた。古代ローマの植民地だったが、１２世紀に共和国として独立、１５世紀、メディチ家が支配者となって、芸術の都にすることに力を注ぎ、ルネッサンスの運動がここに起こった。今も人々を魅了してやまぬ、ボッティチェリ「春」、ダビンチ「受胎告知」、ミケランジェロ「ダビデ像」などの絵画や彫刻が紹介される。大理石の採掘の様子、アルノ川の最古の橋ポンテ・ベッキオも、見られる。