タレントの見栄晴が静岡県内の鉄道に乗ってのんびり旅する番組シリーズ。途中下車しながら各地の観光スポットや面白い店を紹介していく。◆この回は日本の大動脈、ＪＲ東海道本線の静岡―掛川間、約５０キロの旅。長距離客は新幹線に役目を譲ったものの、逆に地方利用の足となっている。新幹線で走ればわずか１０数分で通りすぎてしまうこの区間を、見栄晴が途中下車しながらのんびり巡る。

和歌山県新宮市の熊野速玉大社に、古神宝類（こしんぽうるい）とよばれる総数１２０４点に及ぶ国宝がある。神々の日用の品々として奉納された装束、手箱、冠などの類である。王朝時代には熊野詣でが盛んに行われ、天皇や貴族達が度々、熊野三山に参詣した。現存のこれらの宝物は１３９０年、足利義満と皇室が奉納したものであるが、南北朝の争いの真只中、政治的な狙いが極めて濃厚で、事実、二年後に両朝は統一された。６００年前、王朝の文化を彩った匠の高度な技を子細に検証する。◆熊野速玉大社、古神宝類【国宝】　彩絵檜扇、衵、玉佩、梛蒔絵手箱と化粧道具（鏡、解櫛、蒔絵櫛、毛抜、眉作、耳かき、歯黒箱、歯黒筆、白粉箱など）

毎年文化の日に放送してきたスペシャル番組「ルネサンス未来への扉」のあとを受け、さらにルネサンスの奥深さを伝える。◆第１回の舞台は水の都ベネチア。フィレンツェで始まったルネサンスは、ベネチアでより感覚的・情緒的な開花を見せたという。ことにその色彩と光の描き方は、印象派の原点とも云われている。人物や天使の絵が普通だった時代に豊かな自然や田園の風景を描き、近代風景画を確立したジョルジョーネと、絵画を通じてベネチアの名誉と威信を取り戻そうとしたティツィアーノ、二人の天才画家の人生とルネサンスの潮流をたどる。

滋賀県、向源寺の十一面観音は、日本の十一面観音像の最高傑作とされる。流れるような法衣に身を包み、瞑想に耽る仏の表情からは深い慈悲の心がうかがわれ、頭部からは、１１体の化仏が四方八方を睨み、人々の悩み、苦しみを追い払う構えを見せる。豊かな穀倉地帯の湖北は、古来、奈良・京都など畿内と日本海側とを結ぶ交通の要衝であり、度々、戦乱の場ともなって人々を苦しめた。救いを求める人々の信仰心は厚く、仏を土中に埋めて戦火を逃れるなど、里人が大切に守り継いできた。◆十一面観音【国宝】（向源寺蔵）、十一面観音（医王寺蔵）、十一面観音（石道寺蔵）

凄まじい怒りを現す十二神将像。８世紀の半ば、天平時代に粘土で作られた塑像である。江戸時代の地震で１体が失われたが、残り１１体が現存し、１２００年前の匠の技を今に伝える。本尊の薬師如来像も国宝で、榧（かや）の一木作りの仏像である。鎧と武器に身を固めた武将達の表情は迫力に充ち、怒りの典型とされる。制作時には、複雑な文様と極彩色の衣服を纏っていたという。Ｘ線写真や、胎内に入れたファイバースコープ・カメラによって、当時の優れた造形技術を、現代の眼で検証する。◆新薬師寺本堂【国宝】、十二神将像【国宝】、薬師如来像【国宝】（新薬師寺蔵）

金谷は茶どころ。広重も浮世絵に描いた宿場で、敷石道の旧東海道が残る。大井川鉄道が開通したのは大正期だ。昭和になって電化され蒸気機関車は絶えたが、昭和５１年（１９７６）に復活した。５両が千頭駅までの４０キロを走っている。◆かかわる人たちはマニアだ。整備の岡本さんは７６歳、虎の巻のノートを持ち油にまみれる。いちばん若い榊原さんは２５歳、電車の運転手を経て、念願の機関士になった。◆黒々とした鉄の塊が走る。その猛烈さに胸をうたれる。◆蒸気機関車

２０００年４月、２１世紀の世界の核軍縮の行方を決定づける核拡散防止条約（ＮＰＴ）の再検討会議が、ニューヨークの国連本部で開かれた。最終文書に盛り込まれた「核廃絶への明確な約束」をいかにして勝ち取ったか、ニューヨークでの４週間を密着取材し、密室の攻防を再現する。◆１９７０年に発効したＮＰＴは、核保有国を５カ国に限定してその他の国には開発も保有も禁じる代わりに、保有国には核軍縮への誠実な努力を義務づける条約。しかしインド・パキスタンの２カ国が核保有を宣言し、この体制に挑戦している。「核のない世界」を目指す新アジェンダ連合７カ国（スウェーデン、アイルランド、ブラジル、メキシコ、ニュージーランド、エジプト、南アフリカ）は、この会議で核廃絶を迫り、核保有国と激しく対立した。

中国放送が保有する開局以来の貴重なライブラリー資料と、視聴者の手元に眠る映像から、２０世紀の広島県を振り返って、さまざまな顔やイメージからとらえた広島を２１世紀に伝える。◆この回は「戦前の広島？」。