第二次世界大戦中、ナチスとソ連によるユダヤ人大虐殺・迫害のなかで、彼らを国外に脱出させるためのビザを発給し続けたリトアニア領事代理・杉原千畝。偉業を検証するとともに、迫害の跡をたどり、歴史が現在の人間に語るものを描く。◆１９３９年（昭和１４）１１月、リトアニア・カウナスの日本領事館に赴任した杉原千畝は、日本政府の反対を押し切って６千人分ものビザを発給する。やがて責任を問われ日本へ帰国するが、脱出に成功して生き延びたユダヤ人たちは杉原を命の恩人と思い、天使のような人だったと語る。

邦楽の音曲二題を鑑賞する。義太夫「日本振袖始」は、古事記伝説の素戔嗚尊の大蛇退治の段を太棹三味線の力強い演奏にのせて語る。一方「太棹のためのコンポジション」は、現代音楽の感覚で新たに作曲された、三味線のための独奏曲である。ゲストの上田紳爾氏は宝塚歌劇の劇作・演出家で、「ベルサイユのばら」などの作・演出で知られているが、上方の日本舞踊の大流派、山村流の家元、山村若さんの実父でもある。歌舞伎と宝塚など現代演劇との関わり合いについて聞く。◆義太夫「日本振袖始」大蛇退治の段、三絃独奏曲「太棹のためのコンポジション　狐（こ）」

１９９４年、中国の長江で世界一の三峡ダム建設が始まった。巨大プロジェクトがもたらす影響を功罪合わせて報告する。◆このダム建設で沈む町村は１５３、移住人口は１００万人を超える。水没被害が最も大きい万県市のミカン農家では、果樹栽培による高収入を奪われて途方に暮れている。だが６割が水没する都市部では、開発による恩恵で貧困から救われるとの期待が大きい。

元弘３年（１３３３）赤松氏が姫山の地にはじめて砦を築いて以来、１３氏族４８代が城主となったが、現在ある形の城郭を築いたのは池田輝政である。輝政は関ヶ原の戦いの功績で播磨五十二万石を与えられ、慶長５年（１６００）姫路城主となった。そしてその翌年から９年がかりでこの地の古城を廃して、新たに築城した。現在、姫路城には国宝や重要文化財に指定された建築が８２棟もある。

街頭で芸をしながら物を売る大道芸は室町時代に始まったというが、江戸の初期から中期に盛んとなり、街角にさまざまな大道芸人が出現するようになった。「文売り」は正月、木の枝に懸想文（恋文）を結びつけ、良縁のまじないとして売り歩いたもので、吉原の傾城大淀が朋輩の芸妓と恋文争いをしたという話を踊りに仕立てたもの。「団子売」も、団子売りの夫婦が大道で芸をしながら団子を売る様をユーモラスに描いている。ゲストのピーター・フランクルさんに大道芸の魅力を聞く。◆舞踊　清元「文売り」、舞踊　義太夫「団子売」◆（保存テープに起因するノイズがあります。ご了承ください。）

大川原地区は黒石温泉郷から八甲田山へ向かう途中の集落。８月１６日早朝から、カヤを積んだトラックが何台も村の道を走り廻る。午後８時、カヤを運び終えた村の人たち全員で盆行事「火流し」の打ち合わせ、続いて作業にとりかかる。「大川原の火流し」は南北朝時代に始まった精霊流しが起源と云われ、カヤで作った舟に火をつけて村を流れる中野川に流す。山に囲まれた大川原は、およそ６百年前の南北朝時代に戦いに敗れた信濃の豪族が落ち延びたかくれ里で、現在は３８戸の集落。遠い祖先を供養し、豊作と無病息災を祈る火流しこそ何よりも大切な盆行事と考えられてきた。

会社の創立３０周年記念行事に素人演芸会を開き、社員が得意の芸を披露することになった。その中で、社長の常磐津に合わせて、課長が天下を狙う悪人の関兵衛、中村君はこれを敵と狙う花魁に役が決まる。芝居が不得意の中村君、不安なまま当日を迎え、気を落ち着かせようと飲んだ酒が二杯、三杯と進み、酔っぱらったまま舞台に出てしまう。

９月はじめの日曜日、行楽客で賑わう観光梨園。二十世紀梨が四方に伸ばした枝にたわわに実をつけている。鳥取県東郷町、中国山地の山裾が東郷湖に迫る傾斜面に明治３０年代から梨畑が造られ、およそ６百戸が梨を栽培している。鳥取に梨が入ってきたのは１９世紀の末、次の時代への大きな期待をこめて、その名がつけられたという。鳥取名産の「二十世紀梨」は、「果物の王様」と地元では自慢している。後継者も続々、新品種も出番を待っている。◆湖底から温泉が湧き出る東郷湖、梨がとりもつ縁で造られた珍しい県営の中国庭園「燕趙園」を紹介、また梨博士・森田さんの貴重な話を聞く。