言葉や数を認識したチンパンジーとして知られる「アイ」が子どもを生んだ。研究所育ちのアイに、果たして子育てができるのか。「アユム」と名づけられた子どもを育てるアイの１年間を追う。◆研究者の松沢教授によると、アイは努力家タイプという。言葉や数の学習でも、間違えると自分で考え、正しい答えを探す。そんな性格は、育児にも発揮されている。出産後２週間で学習に復帰、アユムを片手で抱いて黙々と課題をこなし、休憩時間には高い高いをしてあやす。歩けるようになったアユムがまとわりついて邪魔をすると、研究者に当たってストレスを発散する。人間の母親と同じ苦労をアイも経験し、親として成長していく。

汚濁のひどい諏訪湖を昔の姿に戻そうと浄化に取り組む住民主体の運動を紹介するシリーズの第３弾。◆長野県・諏訪地方の住民が主体となって「泳げる諏訪湖を取り戻そう」という運動が始まったのは、ドイツから専門家を招いて環境まちづくりセミナーを開いた１９８９年のこと。以来、住民・行政・専門家が一体となって取り組んだ結果、諏訪湖の水質は水泳大会ができるまでに回復した。浄化のポイントとなったのは、人工渚の造成や水草帯の復活などの「再自然化」。下水道の整備も効果的だった。日独が手を携えて取り組んだ１２年を振り返り、今後の方策を探る。

氷河が作り上げた雄大な山岳地帯、カナディアンロッキーマウンテンにある４つの国立公園は、１９８４年に世界遺産に登録された。太古と変わらない手つかずの自然を残す国立公園の魅力を２回にわたって送る。◆第２回は、カナディアンロッキーが世界有数の観光地となるまでの開拓者たちの物語を紹介する。ブラックフット族などの先住民がわずかにいるだけだったカナディアンロッキー。急峻な山々が多くの開拓者を拒み、未開の地を多く残していた。しかし、１９世紀にその未開地の地を毛皮商人でもあり、地理学者でもあったイギリス人のデビッド・トンプソンがカヌーや犬ぞりを利用しながら、２８年掛けて踏破。長い間空白だった地図は埋められ、観光地化を一気に進めることになる大陸横断鉄道敷設の元になった。◆エンジェル氷河、ランドル山、タカカウ滝、モレーンレイク

京都、祇園の名刹、建仁寺に伝わる多くの芸術作品の中でも、俵屋宗達筆の「風神雷神図屏風」は、その大胆な構図、色使い、主題の全てに於いて空前絶後の傑作とされ、後々の画人たちにも大きな影響を残した。宗達は、京の扇絵工房の主だったこと以外、生没年も定かでないが、当時、茶道や書の達人として町方の有力者だった本阿弥光悦の知遇を得て、一介の職人から、寺院や大名の依頼をも受ける、一流の絵師への道を歩んでいった。光悦との合作の三十六歌仙和歌巻等もある。◆風神雷神図　俵屋宗達筆【国宝】（建仁寺蔵）、風神雷神図　尾形光琳筆【重文】（東京国立博物館蔵）、風神雷神図　酒井抱一筆（出光美術館蔵）、扇面散図屏風【重文】（醍醐寺蔵）、鶴図下絵和歌巻　俵屋宗達画・本阿弥光悦書【重文】（京都国立博物館蔵）

札幌の歴史や文化を地元局ならではの視点で捉える。◆人に優しい街づくりの一環として、ユニバーサルデザインで作られた札幌式トイレを再発見する。

宗教と民謡の結びつきを考える。◆先祖を迎える儀式、盆踊り。福光町の「ちょんがれ盆踊り」は浄瑠璃や歌舞伎の物語を歌い、浪花節の源流と考えられている。幕末の砺波で大流行し、口承ではなく台本で伝えられた。この歌は布教に有効と考えられ、浄土真宗の教えもこめられた。一方、僧や奴姿の男性が踊る「願念坊踊り」の起源は、一遍上人の「念仏踊り」である。また、神事と結びついた民謡では恵比須祭りの「吉原木遣り」があり、船が出港し、目的地に碇を下ろすまでを歌う。◆ちょんがれ盆踊り、願念坊踊り、跡部の踊り念仏【重要無形民俗文化財】、下村加茂神社の稚児舞【重要無形民俗文化財】、「吉原木遣り」

伊勢神宮は天照大御神を祀る内宮と、米作りをはじめ衣食住すべての産業の守り神である豊受大御神を祀る外宮の両正宮の総称で、参拝はまず外宮、次に内宮というのが順序である。豊受大御神は天照大御神の食事をつかさどる御饌都神（みけつかみ）として丹波の国から迎えられたといい、外宮では今も朝夕に天照大御神に食事をたてまつる祭りが一日も欠かさず行われている。

スペースシャトル搭載の宇宙観測カメラや、１００万分の１ミリを測定するナノ計測器など、大手企業もなしえない世界最先端の技術を実現する「三鷹光機」。注文殺到のナノ計測器が組みあがるまでを追い、世界最先端に挑む職人たちの姿を紹介する。◆「うちの職人に『できない』とは言わせない」と語る会長に率いられた、従業員３０人の小さなハイテク職人集団は、自ら製品を設計する高度な知識と、精密部品を一つずつ手作りする腕を兼ね備えている。