京浜工業地帯の一角、神奈川県横浜市金沢区の大道小学校では、裏庭に小さなトンボ池をつくり「エコアップ」を始めた。エコアップとは、人間の手で自然環境を復元し生き物を呼び戻すこと。自然が失われつつある今、河川の護岸や公園などさまざまな場所でエコアップが試みられている。大道小学校のトンボ池では、４年間で１５種のトンボのほかホタルやカワセミまで姿を現すようになった。さらにこの試みに地域の人々も参加、地元を流れる侍従川を掃除してアシや水草を植えたところ、多くの魚や生き物たちが川に戻ってきた。

金沢でただ一軒の三味線職人、福嶋三絃店の四代目主人福島十一さんを取材する。ゲストは琴古尺八晴教会を主宰する鈴木透さん。◆三味線は中国原産で日本に渡来し、長唄から津軽まで、音の広がりとともに発達した。金沢では三弦と呼ばれる。原木はインドの紅木。水に沈む重い木で、５年寝かせてサオにする。一本のサオもあるが、四つに折れるサオが多い。皮は猫だが、犬も使う。◆店には体験コーナーもあり、三弦を弾いた栄永さんは、日本人にはなじみのある音だという。

マラウィ湖はアフリカ大陸の東南にあり、九州ほどの大きさ。２００万年前にでき、今も拡大を続けるこの湖に、独特の進化を遂げた魚たちを見る。危険が迫ると親の口の中に逃げ込む魚や、シクリッドトナマズの母親が互いに利用しあって一緒に子育てする様子など、珍しいものが見られる。夜行性の敵に教われる心配がないので、安心して眠っている姿もユーモラスだ。周辺の人々の生活も紹介されていて、湖の恵を享受しながら平穏に住み分けた姿が印象深い。出演は三浦洋一。

「集団の一員になるために、本当の自分を崩してはいないか」。中学生の抱くナイーブな悩みをいじめ問題を通して描く。時間枠を拡大しての「中学生日記」３５周年記念番組。◆中学３年生・工藤浩乃のクラスでは、東京からの転校生、小津敏之がいじめられている。周囲に迎合せず、わが道を行く敏之。担任に将来の希望を聞かれ「人間になりたい」と答える。クラスメートから変人扱いされ、付いたあだ名が「宇宙人」。浩乃も冷たく当たっていた。浩乃はある日、親友に誘われて出掛けた東京で偶然、敏之と出会う。行動を共にするうち、敏之の自分に素直な生き方に引かれ始める。そして、思わぬことを聞かされる。敏之は前の学校で周囲に流されていじめに加わっていた。その反省から、自分の生き方を変えようと懸命だったのだ。◆「特集・いま１５歳は」

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、ジャーナリストの下村満子さん。

俊寛は自分だけが帰郷を許されなかった悲しみを語り、断腸の思いで船を見送る。◆歌舞伎では男泣きする俊寛を、能では感情を抑えた動きで表現する。これこそが能の本質で、能では俊寛を外から客観的に描き、片方で心の動きをじっと体にためて、それを観客に伝える工夫をしている。故観世寿夫の「心より心に伝ふる花」の言葉がそれを物語っている。◆「俊寛」観世寿夫、宝生弥一（重要無形文化財保持者）、浅井文義、永島忠侈。◆副音声は英語

国産石鹸は、フランス人から製法を教わった磯子村出身の堤磯右衛門が、１８７３年（明治６）に製造に成功したのが始まりとされる。磯右衛門のひととなりと、半生を賭けた苦心の石鹸づくりを紹介する。

第九段から第十二段まで。主題の「石橋」になる。獅子頭を手にした弥生の踊りは全編のヤマ場である。◆手獅子を持った弥生の踊り、蝶に魂を奪われた獅子が本性を現し、弥生に乗り移っていく怖さが圧巻である。この踊りは、フランス映画「美女と野獣」制作のヒントになったといわれる。また「大薩摩」の後、獅子の登場までの「露」という囃子の間は、緊迫感がみなぎった劇的な時間である。◆「鏡獅子」中村勘九郎、遠山幸子、羽鳥友加里。◆副音声は英語