国宝「鳥獣人物戯画」。鳥羽僧正覚猷作とされるこの絵巻物の傑作は、流出した断簡も多く、場面の配列など、謎の多い作品でもある。伝承する京都・栂尾の高山寺は、鎌倉時代初期の高僧、明恵上人の開基であるが、３００年後の戦国の争乱で火を放たれ、焼け跡から書画を拾い集めたという記録が、同寺の「華厳宗祖師絵伝」の裏書きにある。修復の跡や江戸時代の模写との対比から、「鳥獣人物戯画」もこの時の戦火に遭い、長い間に断簡が流出したものと考えられる。その元の姿を探求する。◆鳥獣人物戯画【国宝】、明恵上人像【国宝】、華厳宗祖師絵伝【国宝】（高山寺蔵）

広島には県立美術館をはじめ、多くの美術館があり、その環境、建物、収蔵品に特徴をもち、多くの人に親しまれている。番組では県内１３の美術館から、それぞれ２点の収蔵品（絵画、彫刻、書、陶磁器等）を推薦してもらい、美術館の環境、建物も含めて、毎回１作品を取り上げる。今回は伊万里焼の陶器「伊万里色絵花卉文輪花鉢」。

岐阜県の北部、白川村。合掌造りの家々が密集して建つ。この急勾配の屋根で豪雪の冬を越すのだろう。ここは、世界遺産にも登録された。◆江戸中期建造の和田家。釘を使わない、縄だけによる建築が新鮮に映る。そして大谷家の葺き替え。数十年に一度の大仕事では、「結」という、村人の無償の助け合いがものをいう。◆１０月１日は、白川八幡神社の祭り。鐘と太鼓の連打に、神輿が社を出る。五色の吹き流しがそよぎ、獅子舞いが踊り、どぶろくがふるまわれる。冬はもうそこである。◆白川村荻町【重要伝統的建造物群保存地区】、和田家住宅【重文】、民家（白川の合掌造り）【重要有形民俗文化財】

黒人男性を愛し、アメリカに渡った聴覚障がい者の女性。彼女の波乱の半生を再現映像を交えて描くドキュメンタリー。◆武田麻弓さんは猩紅熱の後遺症で、補聴器なしでは音を聞き取れない。しかし努力を重ね、普通学校に通学した。激しいいじめを乗り越え、デザイン学校を最優秀で卒業。デザインの勉強を通じて、黒人の身体の美しさと差別を跳ね返す強く明るい精神にひかれた麻弓さんは、やがて黒人男性と結婚してアメリカの大学へ行き、聴覚障がい児を教える、という夢を持つ。そのため大手企業を辞め、風俗店で資金を稼いで渡米。しかし再会した恋人と破局、次に知り合って結婚した相手は、実はギャングだった。

世の中のさまざまな物事のルーツを、「アート」というキーワードで読み解き、大胆な解釈とイメージ映像とともに紹介する。◆第１回は、ゲーム界のビッグタイトル「ドラゴンクエスト」のルーツを千利休にもとめ、二つの謎を分析する。

激動の時代とも言われた２０世紀を振り返り、瀬戸内寂聴、五木寛之の両氏に語り合ってもらう。対談の舞台は日本文化発祥の地・奈良。両氏はまた、奈良に寄せる思いを述べる。

広島には県立美術館をはじめ、多くの美術館があり、その環境、建物、収蔵品に特徴をもち、多くの人に親しまれている。番組では県内１３の美術館から、それぞれ２点の収蔵品（絵画、彫刻、書、陶磁器等）を推薦してもらい、美術館の環境、建物も含めて、毎回１作品を取り上げる。今回はマイセンの色絵置物「山羊に乗った仕立屋」。

鹿児島市から南へ１３０キロ、世界遺産にも登録された屋久島は、約１２０００人が暮らす山岳島である。中央には２０００メートル近い山々が並び、原生林が覆いつくす。江戸時代には薩摩藩に属し、年貢として杉を伐採して納めた。◆ヤクスギの自然の曲がりなりを利用して箸をつくる中島さん、東京から移住して２３年になる詩人の山尾さん。島の上部にそびえる、樹齢７２００年の縄文杉を、山尾さんは「聖老人」と呼ぶ。この杉は、いや、すべての森が、自然が、生き続けているのだ。◆屋久島スギ原始林【特別天然記念物】、縄文杉、紀元杉