熊本県ほぼ中央の東陽村は、旧名を種山村という。伝統的に石工が盛んで、全国にその名が知られ、県内だけでも３２０におよぶ石の橋を築いた。九州は台風が多いので、大変な苦労があり、知恵も必要だったという。◆中でも天才とうたわれたのが、１５０年前に現れた橋本勘五郎。その住家の大黒柱は石造りである。皇居の二重橋の造営にも参加し、通潤橋が代表作だ。山から水をひき、この橋の水路を通して、田畑に配った。◆東陽村の名物は生姜。今日も山の水が、勢いよく橋から流れ落ちる。◆通潤橋【重文】、種山石工

心筋炎で娘を亡くした母を通じて、小児医療が直面している様々な問題点を考える。◆「心筋炎」。聞きなれないこの病で命を落とす子どもは少なくない。ウイルスが原因で心臓の筋肉が炎症を起こす病気で、風邪と症状が似ているため誤診を招きやすい。その裏では、母の「いつもと様子が違うんです」というＳＯＳが無視されていた。さらに、「赤字」、「少子化」等の諸事情で小児病棟のリストラが進む。“医療”を“医業”と履き違えた小児医療の現状に、「母」の立場から警鐘を鳴らすドキュメンタリー。

街道は横浜の荏田から川崎に入り、大山街道をなぞるように進む。剣神社には、陸奥の国から鎌倉の刀鍛治に炭を運んだ商人の伝説が残り、この街道が奥州と鎌倉とを結んでいたことをうかがわせる。また、住宅地になってしまった地域にも、頼朝ゆかりの「茶筌の松」や「鞍掛の松」の伝承が残る。街道は梶ヶ谷から二子に向かう。二子神社の裏は多摩川の土手につながる。二子の渡しは鎌倉からの旅人にとって最初の難所だったと思われるが、その場所は今となってははっきりしない。

ＣＳ・京都チャンネルで放送された『本上まなみの極私的京都』を再構成したミニ番組。本上が学生時代を過ごした京都を散策する。◆本上まなみが古本屋の店内で、書棚の本を眺めて歩く。

障害者もスタッフとして働くデイサービスセンターを取材し、介護福祉のあり方を考える。民教協関東・中部・関西地区研究協議会記念番組。◆富山市にある民営デイケアハウス「このゆびとーまれ」は、看護士をしていた女性ら３人によって１９９３年に設立された。ボランティアの２０才の男性は、養護学校時代にここで世話を受けたが、２年前の卒業と同時に自ら望んでスタッフの一員になった。彼は赤ちゃんの世話をしたり、食事の準備をする。同じ養護学校卒業生のスタッフたちもいて、皆から頼りにされている。人と人とのコミュニケーションが求められる介護福祉の現場で、彼らは自らの力を発揮して介護を支える。ゆったりと流れる「このゆびとーまれ」の日常生活の様子を描く。

中国放送が保有する開局以来の貴重なライブラリー資料と、視聴者の手元に眠る映像から、２０世紀の広島県を振り返って、さまざまな顔やイメージからとらえた広島を２１世紀に伝える。◆この回は「東京オリンピック」。

インドネシア、ジャワ島中央のプランバナンは、９～１０世紀に建てられた、ヒンドゥー教寺院の遺跡である。主神、シヴァ神を中心に、大小２００余りの神殿を配した建築様式は、ジャワ建築の傑作とされ、神々の石像や廻廊の細密なレリーフが、見る者を圧倒する。◆近くのメラビ火山の噴火により、長く灰の下に埋もれていたが、１０００年の時を経て甦った。◆後に、ヒンドゥー教徒はイスラム教徒に追われ、バリ島に逃げのび、その文化と信仰を守り続けている。◆プランバナン寺院遺跡群

ロシアの女性ジャーナリスト・ドキュメンタリー作家のスベトラーナ・アレクシエービッチ氏が、作家の徐京植氏を聞き手として、国家の歴史から消されてしまっていた「小さき人々」が語り始めた２０世紀という時代について２回にわたって語る。◆前編では、ソ連崩壊を体験し、今はベラルーシ人であるアレクシエービッチ氏が、「小さき人々」の取材体験を踏まえて自らの体験を語り、祖国韓国と日本の間に身を置く徐氏も、自らの体験を踏まえて「小さき人々」の記憶を語る。