２００３年２月８日、アメリカのイラク攻撃に反対する集会が秋田市で開かれ、挨拶に立ったむのたけじさんは反戦を声高らかに訴えた。８８歳にして現役のジャーナリスト、反骨精神を輝かせているむのさんの、力強いメッセージを紹介する。◆秋田県六郷に生まれ、横手中学（現横手高校）に進学したむのさんは、そこで国語教師をしていた作家・石坂洋次郎と出会って、文章を書くことに興味を持った。その後朝日新聞社に入り、ジャワ支局などに勤務したが、終戦の日、大本営発表垂れ流しの戦争報道に責任を感じて退社。横手市に戻り、タブロイド版の地方紙「たいまつ」を発行、当時の若者や農民に影響を与えた。

聴覚障害を持つ女性の小学校から就職、結婚までの成長と、母との絆を描くドキュメンタリー。◆３歳で娘が重度の難聴と診断されたとき、母は全ての時間をこの子のために使おうと決心した。普通の子により近い生活を、と高校まで普通学校に通学。時には母娘でぶつかることもあったが、明るく積極的な娘は口の動きで言葉を読み取り、クラシックバレエにも挑戦し、障害を乗り越えていった。娘は親元を離れて短大に進学する。そこは日本で唯一聴覚障害者を対象とした大学で、彼女は得意のグラフィックデザインで健聴者と聴覚障害者の架け橋を作るという夢を持つ。

２００１年９月から２００３年５月までの約１年半のあいだに３度も県知事選挙を行った徳島県。汚職事件に始まった県政の混乱と新知事誕生までを映像と証言で検証する。◆任期満了に伴って２００１年９月１６日に行われた選挙では圓藤寿穂氏が３選を果たしたが、公共事業に絡む汚職が発覚、辞職となる。２００２年４月２８日に出直し選挙となり、吉野川可動堰の工事中止などを公約にした新人の大田正氏が当選した。しかしその政治手法を巡って議会と対立し、９カ月後に議会から不信任を受けた。５月１８日にまたも出直し選挙、そして飯泉嘉門氏が当選。県民はなにを思ったか。

作家の書下ろしによる一話完結の物語を、俳優の朗読とイメージ映像で綴る。ひとつの出会いが翌週に新たな出会いを生むスタイルで、一ヶ月にわたって展開していく。◆この回は橋口亮輔作・永作博美朗読の第４回「綺麗な女」。

幼いころは家庭の事情で通えなかった学校に通いたいと、学校に直談判した８７才の女性。島の子供達との２年間に及ぶ心温まるふれあいを通して、学ぶことの意味、学校とは何かを考える。◆瀬戸内の小さな島・倉橋島の小学校で子供達と机を並べる８７才の河野さん。「大好きな算数を勉強したい」「学校に行くことができなかったわが子の分も学びたい」と、聴講生として小学校に通う。先生の話が聞き取りにくければ補聴器をつけ、見えない文字は虫眼鏡を使う。助産婦の仕事を持ち、毎朝４時に起きて予習や復習をこなす河野さんに刺激され、子供達も変わってきた。そして迎えた卒業の日。

坂の町・長崎。ノスタルジーを求めて来る観光客にとっては魅力的な町も、そこに住む人にとっては様々な問題を抱えている。地元の人から「地獄坂」と呼ばれる長い階段の上に住む吉弘スミエさん（７８歳）は、毎日、買い物帰りに１７０段の階段を上る。４０年以上続いていたこの日常も、長崎市が設置した巨大な斜行エレベーターの開通で一変。買い物の帰り道はわずか１分の道のりになった。階段のせいで年に２、３度しか外出できないお年寄り、引っ越したいが斜面地の家は売れる見込みがなく、諦めざる得ない老夫婦など、坂に暮らす住民はそれぞれ問題を抱えている。一方で、介護サービスのスタッフ達は、毎日お年寄り達を車イスごと抱えて長い階段を上ったり下ったり。そうしないと病院にさえ通うことができない。老朽化する家々、高齢化、人口の減少、崩壊していくコミュニティー。そんな中、坂の町を生き返らそうとする取り組みも少しずつ進んでいる。坂の町の今を見つめた。

Ｒ．Ｐ．Ｇ．（ロール・プレイング・ゲーム）とは、役割を演じて物語を進めるゲーム。平和な一家の父親が殺害されたことをきっかけに、父が「役割」を演じていたことが浮かび上がるが、捜査が進むうちに、事態は意外な展開を見せる。原作：宮部みゆき。◆高校生・所田一美（後藤真希）の父・良介が刺殺された。父のＰＣのデータには「お母さん」「ミノル」「カズミ」というハンドルネームの人物たちと通信していた記録が残っていた。実の家庭を顧みなかった父は、なぜインターネット上の“家族ごっこ”に興じていたのだろうか。

ジミー大西はお笑いタレントから転身し、画家として創作活動を行っている。大西は専門的な絵の勉強をしたことはないが、原色を多用する色彩感覚から「色の魔術師」と称賛され、全国を巡る個展の入場者数は１０万人を突破した。しかし本人は、なぜ自分の絵がそれほど注目されるのか不思議に思っている。番組では、大西が「東京」をテーマに新作を書き上げるまで一部始終を取材する。大都会で繰り広げられるスケッチの珍道中から故郷・和歌山での交流まで、自由で破天荒な創作の現場を見つめ、何があっても自然体で飄々と生きるジミー大西の素顔に迫る。