芥川賞作家の高樹のぶ子が青木龍山を訪れる。◆青木さん（当時７１歳）は佐賀県有田町に窯をすえ、陶芸家で僅か２人の芸術院会員である。黒の釉薬である天目釉を磁器に使い、磁器は白いという先入観を覆す。◆初期は赤青金と伝統的な色づかいだったが、途中で絵や色を捨て、黒への挑戦一筋となる。弟子をとらない青木さんは、家族だけで仕事をしてきた。妻の綾子さんも一緒にやれるのを喜んでいる。◆窯をあけるときは、宝物が運び出される、子供が生まれるような印象だという。

天下統一の野望に燃える豊臣秀吉。その前に立ちふさがった徳川・北条・伊達の同盟。秀吉は策略でその同盟を崩し、小田原の北条を討つ。勝因は徹底した補給作戦と物量だった。周到な秀吉の戦略の実態をリポートし、作家・堺屋太一の解説で、勝利の過程を明らかにする。シリーズ秀吉（２）。キャスターは上田早苗。

四国各地のさまざまな祭りを紹介するシリーズ。（１９９６年４月２７日放送開始）◆約３００年の伝統を誇るといわれるが、最盛期は幕末から明治初期と思われる。主として秋祭りの奉納芝居として行われ島全体で２０余あったといわれている。番組では、衣装合わせ、メーキャップ、リハーサルなどの準備段階や一体化した舞台と客席などを取材。中山、肥土山、内海など、併せて百名程の芝居のできる人達は香川県の無形民俗文化財に指定されている。

赦免に漏れて悲しむ俊寛に救い主が現われて喜んだのもつかの間、結局俊寛独りが島に残って去っていく船をぼう然と見送る。◆俊寛と同じく乗船かなわぬと言われた千鳥が嘆き悲しむ場面の浄瑠璃は近松の名文で、女形芸の見せ場になっている。幕切れの俊寛の心理の描写には演者ごとに解釈と演じる芸に工夫があり、この番組の最後にそれぞれの俊寛を見ることができる。◆「平家女護島」二段目鬼界ヶ島の場（俊寛）、嵐橘三郎、五世中村富十郎（重要無形文化財保持者）、中村時蔵、澤村藤十郎、中村歌昇。◆副音声は英語

日本最高のサクセスストーリーを生きた男、豊臣秀吉の生涯を明るくエネルギッシュに描く。ＮＨＫ大河ドラマ第３５作の総集編。原作：堺屋太一。（全４回）◆第１回「太陽の子」。よき主人を求めて流浪の旅を続ける日吉（竹中直人）は、やはり士官探しの明智光秀（村上弘明）と出会う。２人は、織田信長が美濃の斎藤道三に会いに行く行列の後をついて行くことにした。美濃勢の度肝をぬく信長（渡哲也）の振る舞い。すっかりほれこんだ日吉は、織田家に小者として奉公することになった。ある日、日吉は、信長の妹・お市に仕える美しいおね（沢口靖子）に出会う。

日本に現在生息する約５５０種の野鳥のうち、大空を飛翔する姿の美しい鳥たち、澄んださえずりを谷間に響かせる鳥たち１００種の、特色豊かな生態を四季折々の美しい日本の原風景の中につづる。◆この回は、北海道・釧路でタンチョウの生態を紹介する。

血液製剤でエイズに感染し死亡した血友病の少年とその家族に焦点をあて、全国的な取材を通して「薬害エイズ」が日本で広がった背景を伝え、行政によるエイズ患者への差別や製薬会社の責任を多角的にとらえる。◆薬害エイズの感染者は全国で２０００人に上る。長野県の少年もその一人。血友病だった彼は保育園に通っていたときにエイズ感染を告げられ、１９９３年に死亡した。彼の父はあえて実名公表に踏み切り、行政の責任を追求する。

少しぼんやりした甚兵衛さん、貧乏で食う米もない。しっかり者の女房おみつの入れ知恵で、知人から五十銭借りて魚屋から鮑を買ってくる。おみつは、婚礼のある地主さんの家にこの鮑を祝いに届けると、お返しだと言って一円くらいくれるから行ってきな、と言う。甚兵衛さん、地主の家に行きお祝いの鮑を差し出したが、お返しを当てにする内緒話までしゃべってしまう。その上、鮑の片思いと言って、縁起でもないとつっ返される。