無縁仏として名古屋市の霊安殿に納骨されていた朝鮮半島出身者の遺骨が、本国の遺族に確認されることなく粉砕処理されていた。遺族の身元は判明していたのに、どうして連絡を取らなかったのか。この問題を追ってきたジャーナリスト・伊藤さんとともに遺族を訪ね、市当局の対応や、問題提起する在日団体の動きを記録した。

アメリカの占領統治下に置かれた沖縄で、逮捕・投獄などにさらされつつも、不屈の闘志で占領政策に立ち向かった政治家・瀬長亀次郎。２００５年、没収されて届かなかった家族からの手紙が、アメリカ公文書館から取り寄せた資料の中から見つかった。獄中の父を気遣う娘の手紙さえ没収された時代から長い年月が経ち、今もなお沖縄には広大な基地が残る。その意味と、沖縄の将来像を問う。◆１９５２年、初の立法院（のちの県議会）議員選挙で最高得票を得て議員になった亀次郎は、４月の琉球政府創立式典で起立・宣誓を拒否、アメリカへの不服従を示した。アメリカは当然亀次郎を監視下に置き、１９５４年の人民党事件で逮捕され、弁護人なしの裁判の後、投獄。妻・フミは自身も市議会議員として活動しつつ、雑貨屋を経営して家族の暮らしを支え、亀次郎を支え続けた。

２００３年に放送された、南海に浮かぶ小さな島を舞台に、青年医師と島の人々とのふれあいや命の輝きを、離島医療の現状を織り込んで描いた医療ヒューマンドラマの続編。原作：山田貴敏、脚本：吉田紀子（２００６年１０月１２日～１２月２１日放送、全１１回）◆第８回。ゆかり（桜井幸子）の抗がん剤治療が始まった。辛い治療に黙々と耐えるゆかりにずっと付き添い、様子を見ていたコトーは、しばらく自宅で療養することを勧める。自宅に戻ったゆかりは、家事をこなし、昌代（朝加真由美）のリハビリに付き合うなど、普段の生活を取り戻した。何度目かの抗がん剤治療を終え、血液検査を受けたゆかりをミナ（蒼井優）が励ますが、コトーは末期がんという現実を前に複雑な気持ちでいた。

広島市安佐南区の元診療所で見つかった原爆投下後のカルテを元に、被爆当時の医療がどのように行われたのか、医者はどんな状況で診療を続けたのかを探る。◆医師や看護婦は疎開を禁じられていたため、市内の医療体制は一瞬にして崩壊し、郊外の医師たちが被爆者たちの命を背負った。カルテに記載された名前を元に、診療を受けた被爆者のその後や、看病した遺族の話などを聞く。また、被爆当時の医療に軍医として携わり、いまも診療を続ける肥田医師の証言から、原爆とは知らされないまま原因不明の容態に狼狽する医師の姿、また戦後の言論統制の中苦悩する姿を浮き彫りにする。

四国が誇る人々が築き上げた文化、歴史、かけがえのない自然など、毎回１テーマで「四国の至宝」を伝えるシリーズ番組。（２００６年４月２日～２００７年３月２５日放送、全５０回）◆「瀬戸の玄関」として名を馳せた香川県高松市。その沖合いで一世紀以上も前から、海の銀座である備讃航路を見守り続けた灯台。それが男木島灯台である。明治２８年に建設された高さ１２．４メートル、総御影石作りの灯台。かつて映画「喜びも悲しみも幾年月」の舞台となったこの灯台は、備讃瀬戸航路を行きかう船の案内役だけでなく、男木島に暮らす人たちの誇りにもなっている。

がん患者自らが体験や悩み、不安を語り合い、情報交換して力づけあおうとする自助努力の会「金つなぎの会」の活動を、代表の広野さんを中心に紹介し、助け合い、希望を持って前向きに生きるがん患者たちの姿を追う。◆１３年前に乳がん・卵巣がんで余命告知を受けた広野さん。「金継ぎ」とはひび割れた陶器を金でつなぐ技術のことで、病んだ身体を割れた陶器になぞらえ、近代医学、医師や看護師、家族や友人たちを金にたとえて「金つなぎ」と命名した。会のホームページには患者自身や家族から毎日のように、悩みや状況、治療に関する情報がよせられている。

東海３県を中心に、昭和３０年代から平成初期の世相を振り返るミニ番組シリーズ◆富山市内の積雪の様子（前年末から２月初めにかけて、北陸を中心に東北・九州まで雪が続く）／３８豪雪（北陸では観測史上最高の積雪量を記録）／旧国鉄富山駅の積雪、雪かきの様子

７月に「食育基本法」が施行された“食育元年”とでもいうべき２００５年、食育の現場で遭遇した「食」と「現代の日本人」との関わりを描く。◆一宮市のある小学校、３年生が体験学習としてナスを育てている。栽培を通じて農と食とを考える試みだ。科目に「食育」が設定された文科省モデル校では、小６は朝食について考え、中２ではＢＳＥ問題に取り組んでいる。自給自足の農家が農業体験をさせてくれる「渥美どろんこ村」へボランティア研修に行く女子大学生の食の経験は、小学生と大差ない。食べることについてまで「学校で学ぶ」ことになった日本の現状が見えてくる。