こどもの日、東京と神奈川の新聞少年１２００名が横須賀の海上自衛隊を訪れ、３隻の自衛艦に分乗して東京湾を一周した。これは日ごろ勉強のかたわら、新聞配達をしている少年たちを慰安するため毎日新聞が招待したもの。新聞休刊日のこの日、少年たちはのんびりと楽しい海の１日を過ごした。（週間話題）

授業料値上げに反対して１９６６年１月２０日全学ストに入った都の西北、早稲田の森。学期末試験を目の前に試験をボイコットして気勢を上げる。学生の本分を忘れるなと説得する大学側、しかし学生は教室の入口にバリケードを築き、学内は騒然としてきた。大学側はついに試験を延期、去年慶応、今年は早稲田と私立大学の経営もラクではないようだ。

１２月１日、政界の粛正を旗印に立候補した藤山愛一郎さんが、絶対優勢を誇る佐藤栄作さんにどの程度迫るか。注目の自民党総裁選が１９６６年１２月１日行なわれた。佐藤さんの再選は確実とあって、興味は批判票が３分の１の壁を破るかどうかに集まった。投票の結果、佐藤さんが２８９票を獲得して再選した。藤山さんはさっさと退場したが１７０票の批判票が出たことに気をよくしてか会心の笑み。苦い勝利の佐藤さんは万歳の声にも緊張の面持ち、こうして国民注目の黒い霧に答える第３次佐藤改造内閣がスタートした。政治は実行第１でと佐藤さん。しかし「期待できぬ」「興味無し」「信頼感がない」と町の声は意外に冷たい。

海抜２７００メートル、ハイカーたちで賑わう乗鞍岳山頂。山腹では残雪をけたてて夏スキーを楽しむ若者たち。ハイカーたちも思わぬ雪に大喜び、下界の暑さを忘れる。あちこちにテントが立ち並び、楽しいキャンプ生活が始まる。一夜明ければ周りは空き缶とゴミクズの山。後片付けをするのは地元の中学生、山を汚さないでと訴えている。美しい高山植物が咲き乱れるお花畑。その花園を荒すもの、今や高山植物は絶滅寸前といわれる。たまりかねた営林署では、柵を作って天然記念物の保護に一生懸命。夏の賑わいと共にますます忙しくなった山のパトロールである。

歌で知られた水郷、潮来は今あやめの花盛り、日曜日にはどっと観光客が押し寄せて花より人の花盛り。潮来廻りの船着場も賑わって、女船頭さんの稼ぎ時。岸辺の茶屋も大繁盛。狭い水路は２００隻の船で超満員、お巡りさんもでる騒ぎ。船頭さんに任せておけないと、お客さんも竿さし、船をひき大奮闘。潮来出島の真菰の中で立ち往生とは情けなや。

４才馬の日本一を決める第３３回日本ダービーに、１２万と記録破りの人が東京競馬場に押しかけた。馬券売り場は交通整理まで飛び出す大変なラッシュ。ダービーの売上だけで１８億円とこれも新記録。注目のレースは、スタートと同時にシバハヤがトップ、人気を集めたショーグン、ナスノコトブキらは苦戦。第３コーナーでは、２頭が接触して落馬という珍しい事故が起った。各馬最後の追込みで、直線に入って伏兵テイトオーが飛び出し、２位を大きく引き離してゴールイン。殊勲のテイトオーはシンザン、キーストンについで関西馬の３連勝を樹立、賞金１１９０万円を獲得した。

群馬、新潟の県境、谷川岳の直下に建設中の新清水トンネル。トンネル内に２つの駅が作られるのは日本で初めての試み。１９６６年８月２０日、工事開始以来３年目に全長１３．５キロ、北陸トンネルにつぎ日本で２番目に長いトンネルが貫通した。来年１０月から上越線は全線複線となり、輸送力は３倍となる。

日本原子力研究所が発足してから１０年。１９６６年６月１５日には科学技術界の関係者を集め、盛大に祝賀会が行われた。茨城県東海村の原子力研究所、ここに働く人たちは放射能の危険から身を守るため、フィルムバッチと万年筆型の測定器をつけるなど防御体制がとられている。今では最初の原子の火がともった１号炉から国産炉を含めて４基が完成。ラジオアイソトープの国産も軌道に乗った。また原子燃料など各方面の平和利用の研究も行われている。日本最初の原子力発電にも成功、夜には一般家庭にも送られている。近くの大洗町には材料試験炉の建設が急がれ４３年完成の予定。一方海に捨てられる廃液からの海水汚染を調べる観測も定期的に行われている。日本に原子の火がともって１０年。原子力の開発は基礎段階を終り、いよいよ実用化の時代に入ろうとしている。