昭和６２年４月の分割民営化に向けた余剰人員対策により、国鉄では大量の配置転換が行われた。異動か残留か、その選択に悩む職員の心情を伝える。

作者・早坂暁は、昭和２０年最後の海軍兵学校生として四国から九州に渡り、終戦を迎えた。夏がくるたびに彼が思い出すのは、混乱の中で出会った人々の運命に翻弄されながら必死に生きる姿だ。作：早坂暁、音楽：北爪道夫。出演：林隆三、島本須美、中村明美ほか。

映画づくりに捧げる巨匠のこだわり、それは映像、役者、セットなど多岐にわたるが、音楽など音へのこだわりもまた、計り知れないものがある。黒澤監督は言う。「映画にいちばん近い芸術は、音楽である」。この番組では、黒澤映画に秘められた音楽や効果音との関係について、黒澤監督本人をはじめ、それに携わった作曲家の武光徹、佐藤勝、効果音を制作した三縄一郎へのインタビューを通して解き明かす。緻密に設計された音は映像と絡み合い、みごとな相乗効果をあげた。「酔いどれ天使」から「乱」に至るまでの９作品を題材に、映画のサウンドトラックを交えながら、黒澤作品の音の世界を分析していく。

１９８６年４月２９日、名古屋で１３年ぶりに走ったＳＬ一世紀号に国鉄職員や沿線住民は熱狂した。しかし近づく国鉄民営化による人員整理が始まろうとしていた。

上山草人は明治１７年宮城県仙台市の生まれ、戦前にハリウッドで成功した数少ない東洋人俳優である。草創期の新劇運動の渦中で活躍、挫折した渡米前の草人の姿を描くドラマ。脚本：津川泉、音楽：鳥養潮。出演：すまけい、松本典子、藤本孝ほか。

近代化の規範をドイツに求めた日本の「悲劇」に立ちあった人々が、戦火の異郷で何をよりどころに、何を求め、戦後をどのように生きてきたかを現地に取材し、フィクションのドラマとして描く。作：岩間芳樹。出演：岸田今日子、大滝秀治、滝沢修ほか。

原因不明の痛みを訴える人が増えている。「痛み」研究の現状、それぞれの痛みの表現から診断を下す医師の苦労などを聞く。

オノマトペとは擬態語・擬声語のことで、日本語で特に発達しているとされる。その生き生きとした表現力を見直す。解説は名古屋大学総合言語センターの水谷修教授。企画・構成：川崎洋。