能「葵上」に描かれた六条御息所の愛の悲劇を大胆にとらえ直したドラマ。御息所の燃える心をステレオ音響表現で盛りあげ、美しく、哀しく、あやしい女の世界を無限のひろがりをもって描く。作：水尾比呂志、音楽：湯浅譲二。出演：奈良岡朋子、吉田日出子、観世静夫ほか。語り手：宇野重吉。

四方を緑の山に囲まれた典型的な盆地として知られる大分県日田市の三隈川では、鵜飼が行われていた。鵜匠に操られた鵜は、一夜で１５センチの鮎を５０匹近く捕ることがあるという。

池谷すい星の発見と同日に失踪した男との因果関係をもとめ、複雑な社会の中で物質的に恵まれた人々の心が本当に満たされているのかという疑問を、透明な星の世界と対比させながら追及する。作：寺山修司、音楽：湯浅譲二、演出：佐々木昭一郎。◆ステレオ・シリーズ。イタリア賞受賞作品６０分版（初回放送は１９６６年８月３１日「立体放送劇」４５分）。

広島の惨禍を物語る建物として、また平和への証しとして永久に保存することになった原爆ドーム。ドームとその周りをずっと世話してきた老人がその今昔、そして平和への願いを語る。

映画を活動写真といっていた時代の思い出の数々を、弁士たちの名セリフや物真似を交えて安藤鶴夫氏が語る。

２人の息子を戦争で失った母親に焦点を当て阿波踊りと鳴門の渦潮を背景に、忘れられていく戦争の記憶を掘り起こそうとする。作：堀田善衛。出演：津島道子、花菱アチャコ、山口崇、中野慶子ほか。（１９６０年１１月２日ラジオ第１、第２で立体放送、１９６７年８月２３日ＦＭで再放送）

森繁久彌と加藤道子による二人芝居の文芸ドラマシリーズ。音楽は古関裕而。１９５７年４月７日より続く長寿番組。◆「雨月物語　浅茅が宿」：下総の国・葛飾の村里に勝四郎という男が住んでいた。家は田畑も多く、暮らしは豊かであったが、生来の怠け者で財産を無くしてしまう。勝四郎は家を立て直すため、妻に「金を儲けて秋には帰る」と言い残して都へ出発する。◆原作：上田秋成、脚本：若城希伊子。

石川県輪島市の朝市の賑わいを伝える。毎朝８時には市が立ち野菜、魚、花、海藻などおもいおもいの品をならべて客を待つ。馴染みの客と売り手の間には心通った楽しい会話がはずむ。