胃ガンの手術後、日本列島を歩いて縦断した落語家・笑福亭小松さんの実話を基にしたドラマ。◆１９９７年１月、笑福亭小松は９時間もの手術を受け、胃とひ臓の全部とすい臓を半分摘出した。進行性の胃ガンだった。ガンであることを告げられ死の恐怖と闘ううち、限られた人生を精一杯生きることを決意した小松は、手術後間もなく、日本列島縦断の旅に出る。たった一人で１日３０キロを歩くという過酷な旅の途中、様々な人々と出会った。やがて、「ガン克服落語会」でガン患者を励ましていく。原作：笑福亭小松「日本列島徒歩縦断！がん克服落語会」、脚本：林千代。出演：笑福亭小松、松谷令子、山下弘美ほか。

病気と闘いながら作品を残した作家の自伝的ドラマ。◆６０歳で咽頭ガンのため声を失い、以後、己の生と死を見つめた小説を書きつづけた石和鷹。壮絶な闘病生活を通して、近づいてくる死を意識しながら生の証を克明に記した彼が、ついには死をも許容できる「人間の底知れぬしたたかさ」を体得するまでを描く。原作：石和鷹、脚本：ミラーカク子、音楽：栗山和樹。出演：夏八木勲、左時枝、香川京子ほか。

喫煙所を舞台に、上司との交流によっていやされていく主人公の心模様を描く。◆３年前、最愛の父を亡くし、同時に失恋も経験した尚子。妻の看病で疲れ切っている高木。職場の唯一の喫煙所である非常階段で、二人の会話が進んでいく。第１４回ＮＨＫ名古屋放送局創作ラジオドラマ脚本募集・佳作。作：土肥陽子。出演：片岡礼子、小木茂光、薮下貴子ほか。

ある「便利屋さん」を取材。便利屋へのこだわり、誇りを描く。◆便利屋「猫の手サービス」を経営している男性“たかちゃん”。料金は１時間三千円。さまざまな依頼が舞い込むが、準備の手間や時間、交通費などがばかにならない。しかし「可能な依頼はすべて受ける」の意気で、便利屋さんは今日も依頼をこなしていく。

銀行員の橋本は、医療ミスから記憶を蓄積できない“ウェルニッケ脳症”を煩ってしまった。彼は新しい記憶を蓄積できない。自分の存在を確認できない夫のために妻は、消えて行く二人の時間をノートに記す。◆ある日、橋本は勤務先の銀行のミニコンサートを大成功に導く。彼は大学時代、オーケストラに所属していたのだった。たとえ自分の中に記憶が残らなくても、いっしょに過ごした人の心に思い出を残す生き方もあるのだと、希望を見出していく。平成１０年度ＮＨＫ札幌放送局オーディオドラマ脚本募集・入選作。脚本：今井雅子。出演：木藤玲子、斎藤歩、岡田雅夫ほか。

全国から寄せられた心温まるエピソードを短編のドラマに仕立てて紹介する。◆この回は山梨県に住む細島さんの作品「風船飛んだ」。細島さんが小学校５年生の時、開校記念に飛ばした風船が埼玉県の山口さんに拾われ、それが縁で今でも文通を続けているという話。出演はＹＢＳ放送劇団。作者の細島さんをスタジオに迎える。

国内の原子力事故としては過去最悪の被害となったＪＣＯ臨界事故について、住民の安全に直結する「情報伝達」に焦点を当てて検証する。「ＪＣＯから自治体への情報伝達」「地域住民への情報伝達」「国と県、市町村の間の役割分担」の３点について、それぞれ問題点を探っていく。

１９９８年に７０歳で亡くなった映画監督スタンリー・キューブリック。彼の音楽分野での功績を称え、その軌跡を映画音楽でつづっていく“キューブリック・音楽の旅”。紹介する主な作品は「２００１年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」「シャイニング」「博士の異常な愛情」。