銀行員の橋本は、医療ミスから記憶を蓄積できない“ウェルニッケ脳症”を煩ってしまった。彼は新しい記憶を蓄積できない。自分の存在を確認できない夫のために妻は、消えて行く二人の時間をノートに記す。◆ある日、橋本は勤務先の銀行のミニコンサートを大成功に導く。彼は大学時代、オーケストラに所属していたのだった。たとえ自分の中に記憶が残らなくても、いっしょに過ごした人の心に思い出を残す生き方もあるのだと、希望を見出していく。平成１０年度ＮＨＫ札幌放送局オーディオドラマ脚本募集・入選作。脚本：今井雅子。出演：木藤玲子、斎藤歩、岡田雅夫ほか。

平日昼下がりのワイド番組。パーソナリティはテリー伊藤と上柳昌彦アナウンサー。◆この日の放送は夏休みの最終週ということで、子供たちからの電話相談を募集する。意表をついた子供の難問・奇問に、伊藤が名答・珍答でアドバイスする。ゲストは野球評論家のデーブ大久保。

息子の自殺の原因を「いじめ」だと主張する家族とそれを認めようとしない学校・行政側との、意見の相違を取材したドキュメンタリー。◆１９９７年１月、長野県内に住む中学１年生の少年がいじめを訴えた遺書を残して自殺した。家族はいじめの真相解明を学校に委ねたが、一向に進展しない。社会に情報を求めもしたが、保護者や世間からは家族に誹謗中傷の声が向けられた。事件から２年あまりが経ち、同級生は卒業した。しかし、学校・行政は少年の自殺の原因を「いじめ」と認めていない。

喫煙所を舞台に、上司との交流によっていやされていく主人公の心模様を描く。◆３年前、最愛の父を亡くし、同時に失恋も経験した尚子。妻の看病で疲れ切っている高木。職場の唯一の喫煙所である非常階段で、二人の会話が進んでいく。第１４回ＮＨＫ名古屋放送局創作ラジオドラマ脚本募集・佳作。作：土肥陽子。出演：片岡礼子、小木茂光、薮下貴子ほか。

感染力が弱く完治するにもかかわらず、過剰に恐れられていたハンセン病。「らい予防法」は廃止されたが、元患者や家族への偏見と差別は今なお続いている。虐げられてきた元患者らが国を相手に人権侵害訴訟に踏み切るまで描き、その憤りと悲しみを伝える。

京都の身近な話題をテーマに、それにまつわる情報を心地よい音楽の合間に伝える生放送。ＤＪは横井くにえ。◆ヘッドラインニュース、交通情報、イベント情報はもとより、「フェアリー・キャッスル」と「カルチャー・パレット」の二つのコーナーでは、衣食住に関する話題を流行感覚の視点でとらえ、提供する。「キョウト・クエスト」コーナーは京都の神社仏閣、街道や通りなど、身近にあるものから新たな京都を発見するのがねらい。時間や天候の移り変わりを、音楽とともに演出していく。

月～金曜日の午後４時１５分～５時１５分放送。株式を中心とする経済情報・投資相談番組。コンセプトは「個人投資家向けに、わかりやすく」。この回の放送では、人間の性格別に投資信託という金融商品の選び方を専門家が解説。また、投資信託の運用を担当するファンドマネージャーの良し悪しの見分け方を紹介する。

病気と闘いながら作品を残した作家の自伝的ドラマ。◆６０歳で咽頭ガンのため声を失い、以後、己の生と死を見つめた小説を書きつづけた石和鷹。壮絶な闘病生活を通して、近づいてくる死を意識しながら生の証を克明に記した彼が、ついには死をも許容できる「人間の底知れぬしたたかさ」を体得するまでを描く。原作：石和鷹、脚本：ミラーカク子、音楽：栗山和樹。出演：夏八木勲、左時枝、香川京子ほか。