シングルになった母娘の、三世代にわたって守ってきた“家”への愛惜の情と、それぞれの幸福のあり方を温かく描くドラマ。◆３９歳の香奈子は卵巣腫瘍の手術後の静養のため、母・節子が住む実家に身を寄せることになった。この家で苦労してきた母の後ろ姿を見て、香奈子も同情する気持ちはあるが、一人娘の自分に対し何かと干渉してくるため、母との心の距離は縮まらない。かつては大家族だったこの家で、母と娘の二人きりの生活をするようになってはじめて今までのわだかまりを二人はぶつけ合うこととなる。作：井出真理、音楽：川崎真弘。出演：若村麻由美、吉村実子ほか。

沖縄本島の南、人口数十人の小さな島。島にある只一つの小学校が危機に瀕している。生徒が全員島を離れてしまうのだ。島の小学校を守るため、東京から一人の少年が島にやってきた。小学校１年生の光君。親元を離れながら、ガラリと環境の違う島の中でたくましく育っていく姿をヒューマニティ豊かに描く。◆第８回：光君はユミちゃんに「１週間したら必ず帰ってくるから」と約束をして東京に戻った。５ヵ月ぶりの自分の部屋は元のままで何も変わっていない。マンガもいっぱいある。お母さんは光君の好きな食べ物を食べきれないほど作るなど大喜びである。そして光君を一時も離さない。光君が島に帰るとお母さんは病気になるという。光君はお兄ちゃんたちとプールに行くが、帽子をかぶれ潜水は禁止など、島では考えられないルールがあって戸惑ってしまう。島ではユミちゃんが光君の帰りを待っていた。◆原案：森口豁「子乞い　沖縄　孤島の歳月」。原作：尾瀬あきら、脚色：原田裕文。出演：上村祐翔、新納敏正ほか。語り：中島陽典。（全１０回）

シリアスな一人芝居からミュージカルまで、２００本近い舞台作品に出演してきた市村正親。芸能生活３０年を迎えた市村が、母校である舞台芸術学院で後輩学生を前にして、彼の役作りの極意を語る。舞台「エレファントマン」「リチャード三世」「海の上のピアニスト」が再現される。

若手・中堅落語家が巧みな話芸で聴きどころたっぷりに送る番組。夏休みスペシャルとして、レギュラーパーソナリティの立川志らく、柳家花緑、林家彦いちが勢揃い。◆スタジオにゲストを招き、「当世出来事ウォッチング」「創作ミニ落語」などの特別企画を生放送。近頃のメール・電話・コミュニケーション事情についてや、流行の格闘技などについても噺家の目線で語り合う。映画のストーリーを落語版にした「シネマ落語」も。

２００３年４月の岩手県議会議員選挙で、覆面プロレスラーのザ・グレート・サスケ氏が盛岡選挙区トップ当選を果たした。しかしマスクを被ったままでの議員活動をめぐって意見が分かれ、県議会で２ヶ月以上にわたり論争が繰り広げられた。遂に有権者も長引く論争に冷ややかな目を向け始める。番組では覆面騒動がもたらしたものについて考える。

１９９８年に埼玉医大で国内初の性別適合手術が行われた。しかしその後、性同一性障害への医療・法制備は期待されたほどには進まなかった。そんな中、鳥取市の「梨沙さん」は自らが性同一性障害であることを告白する。家族と別れ、新しいパートナーと巡り会った彼女だが、法制備の遅れから結婚もままならない。彼女は性同一性障害者の人権を訴える活動を始め、２００３年４月に鳥取市では公的書類から不必要な性別記載を削除するなど一定の成果をあげる。２００３年７月、海外の流れからは大きく遅れたものの、国会で障害を持つ人の戸籍の性別を変更できる特例法が成立。当事者の期待を集めた法律だが、「子供がいない事」などいくつかの条件があり問題も残った。彼女はこの条件の撤廃を求め、性的少数者の人権を訴える活動を続けている。

ジャズ評論家・寺島靖国氏の日常を追う音楽ドキュメンタリー。寺島さんは６５歳。ジャズに惚れ込み、ジャズ喫茶のオーナーとなり、自室に大スピーカーを導入、さらに楽器演奏に挑戦するなど、常に音楽への愛はさめることがない。◆寺島さんの日常を日記コラムの朗読とインタビューで構成。老若男女のジャズ・ファンに圧倒的に支持される人気の秘密を探る。インタビュー出演は日枝久、広畑照一、大西米博、岩波洋三、マイルス小林、西田幹の各氏ほか。

２００３年の春、全国ツアーを目前に控えながらも、肺腫瘍の発見により緊急入院した吉田拓郎。手術後にガンであったことを告白した拓郎の、退院後の第一声となる番組。◆入院中の自分を“世界一の弱虫野郎”と称して、その“弱虫”がガンと直面し、病床で何をし、考え、感じたのかが赤裸々に告白される。「人生を語らず」と歌ってきた拓郎が、これまでの人生について大いに語る。聞き手は田家秀樹と森本さやか。友人の瀬尾一三もコメントを寄せる。