他国に比べて、日本では音楽教科書の掲載曲に国が強く関与してきた。明治時代初期に日本の近代学校制度が始まるが、音楽は教科書すらなかった。井沢修二がアメリカに留学後、恩師メイソンを日本に招いて教科書を作ったのが、日本の音楽教育の始まりである。井沢らはアメリカの教科書に日本語の歌詞をつけた。国主導の子どもの「唱歌」である。文語調で親しみにくい唱歌への反動として、大正時代に口語体の「童謡」が生まれた。「七つの子」「赤い靴」などを生んだ当時の代表的作家・本居長世は、レコードを聞けない子らのために、娘たちと全国を回って童謡を広めた。唱歌の中には、「春の小川」「村の鍛冶屋」「われは海の子」など、様々な思惑で歌詞が変えられたものもある。

全国各地の語り部による民話の語りを聴く番組。ゲストに山梨むかしがたりの会代表の藤巻愛子さんを迎え、各地に伝えられ、方言で語られる民話の数々を味わう。司会：斎藤季夫。（３回シリーズ）◆第３回は「伊勢参り」「座敷童子」「ヤスリと仁王様」「木の精の話」。「伊勢参り」は鳥取市佐治に伝わるユーモラスな話。「座敷童子」は「どんどはれ」で終わる遠野の民話である。

日曜日の午後、佐賀県の観光名所を音で伝える５分間の番組。懐かしく、また心を和ませてくれる“ふるさと佐賀の音”を集め、地元の人も知っているようで知らないその土地の魅力を紹介する。登場するのは、「有田皿山節」「伊万里トンテントン祭」「磁器太鼓と碗琴」「佐賀城本丸歴史館」「漁船」「古伊万里からくり時計」「ジェットエンジン」「祐徳稲荷神社」。（全３９作の中から８回分を３６分にまとめたもの）

陸上競技が趣味の山川文康さんは長寿の島・沖縄を代表するスーパーおじーちゃん。十種競技（デカスロン）のアスリートとして数々の大会に参加し、たくさんの賞メダルを獲得してきた。◆２００６年１１月、８５歳の誕生日に山川さんはいくつかの決意表明をした。そのひとつが翌年９月の世界マスターズ陸上競技イタリア大会に出場することだった。番組ではその後の日々の生活やトレーニング風景、怪我によるハプニング、そして見事な結果を残した世界マスターズ大会の本番を追う。◆さらに妻の視点から山川さんの元気の源を描きつつ、「健康のために運動をしている」のではなく、「健康だから運動ができる」という山川さんの人間味溢れる人生観も追求する。子や孫たち、アーティストのしゃかり、仲田かおり、下地勇が協力して山川おじーちゃんにおくった楽曲も紹介。第６２回文化庁芸術祭賞参加番組。

「ランチタイムの栄養補給プログラム」をコンセプトに２０代、３０代女性をターゲットとした平日昼の生ワイド番組。◆今回は、４月２２日の「良い夫婦の日」に向けてのスペシャル企画「ラジオのむこうから愛を叫ぶ」の最終日。普段直接伝えにくい夫婦間の感謝の気持ち、愛の言葉を、ラジオを通じて伝えてもらう。この日は結婚９年目２９歳の専業主婦と、結婚２３年目４８歳の働く主婦が夫へのメッセージを伝え、放送を聞いた夫からもメッセージが届く。パーソナリティ：山口雅美

平日午後の生ワイド番組（２０００年６月放送開始）。今回は公開生放送で、ＡＥＤ（突然心肺停止になった人に電気ショックを与える機械）の使い方をリスナーと共に学ぶ。◆公共施設などを中心にＡＥＤの設置は増えているが、課題は緊急事態に居合わせた人がＡＥＤを使えるかどうかである。救命救急医療の専門家と救命救急士をゲストに招き、適切な救急措置について指導を受ける。現場にＡＥＤが到着するまでに行う胸骨圧迫（心臓マッサージ）と、ＡＥＤが着いた時にどう取り扱うかを、会場のリスナーも全員ＡＥＤに触れて体験する。また、愛・地球博の時に倒れてＡＥＤで一命を取りとめた方にも話を聞く。

第１部は「進まぬ現実」。１９９７年、国会で臓器移植法が成立し、日本でも脳死による臓器移植が可能となった。しかし、この１０年間に行われた脳死移植手術はわずか５０例。さらに、現行法では小児の脳死移植は行えないため、募金を集め海外で手術を受けるケースが後を絶たない。そんな中で病気腎移植問題が発覚。臓器不足やドナーカードの有効性、法律の不備など、国内の移植医療の問題点が明らかになる。◆第２部は「アメリカの医療現場から」。アメリカでは年間７０００例の脳死臓器移植手術が行われ、脳死を人の死として受け入れる体制が医療現場で確立されていた。フロリダ州マイアミ大学ジャクソン記念病院で日本人の小児患者を受け入れ、数々の手術を成功させている加藤医師をはじめ、アメリカの移植医療関係者や患者家族などを取材。日本ではなぜ脳死臓器移植が進まないのか、アメリカの移植医療現場は日本とどう違うのかを検証しながら、臓器移植法施行から丸１０年を迎えた日本の抱える問題点や、今後の移植医療のあり方、命のとらえ方について考える。（２００７年２月１８日、３月１１日放送）

２００７年は、西郷隆盛の生誕１８０年・没後１３０年の年である。明治維新を成し遂げた西郷・大久保や東郷平八郎らを育てた薩摩の国には、寺子屋がない代わりに郷中（ごじゅう）教育という教育システムがあった。１００年余りの時を越えて、今でも地域で子育てや郷中教育の流れを汲む活動が続けられている。この郷中教育がどのようなシステムだったのか、薩摩のいろは歌（日進公いろは歌）がどのようなものだったのかを探ると共に、あいご会活動（子供会、保護者会の地域自主組織）、セゴドンのえんこ、山坂達者の活動、１００キロ徒歩、示源流の伝承など、鹿児島で行われている今の取り組みを紹介する。そして、現在の日本の地域環境や教育について考える。