アナウンサーが文学作品を朗読し、ゲストに作家や作品にまつわる興味深い話を聞く、正月三が日恒例の番組。この年は、明治から昭和にかけて多くの作品を生み出し、日本人の精神にも大きな影響を与えた夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介の作品世界を味わう。◆第一夜は夏目漱石。彼は落語を愛し、口語のリズムを大胆に取りいれた。その持ち味を朗読で再確認する。ゲストは漱石の孫でマンガ・コラムニストの夏目房之介氏。朗読する作品は、「吾輩は猫である」「倫敦塔」「硝子戸の中」「坊っちゃん」「こころ」。聞き手：榊寿之、朗読：青沼郁夫、秋山隆、山本哲也、和田源二

２００６年に愛媛県宇和島市で起きた臓器売買事件から発覚した病気腎臓の移植問題は、移植医療の現場に大きな波紋を広げた。日本移植学会など関係４学会が倫理的な観点から病気腎移植を全面的に否定する一方で、万波誠医師の行っていた病気腎移植を支持する声も多く、病気腎移植の道を残すために活動する団体も出てきている。そこで南海放送は２０日間に渡って「家族に腎臓を提供できるか？」「人工透析になったときに病気の腎臓を望むかどうか？」「万波医師と日本移植学会どちらを支持するか」などを問うアンケート調査を行い、３８９４人の県民の声が寄せられた。万波誠医師へのインタビューやアンケートの結果を交えながら、生放送で「病気腎移植問題」を考える。ゲストの腎移植の経験者からは体験談を、「腎移植最前線」の著者青山淳平氏には取材から得た日本の移植医療の問題点などを語ってもらう。

３０歳のともえは突然、母親から死んだ父が帰ってきたと知らされた。実家に行くと、そこには８年前、５９歳で死んだはずの父がいた。ありえない、これは現実だろうか、それとも家族で見る幻だろうか。奇妙な出来事をきっかけに、夫の浮気への疑い、母や兄夫婦への感情など、日常生活に潜む感情があらわになる。人生の儚さと、変わりなく過ぎ行く現実の無常さの中で、束の間の喜びと「生」への愛おしい思いを描くヒューマンドラマ。原作：藤野千夜、脚色：小松與志子、出演：西尾まり、天野鎮雄、梅沢昌代、ほか。

今や国民の２人に１人が罹ると言われる「がん」。しかし、患者や家族は求める情報も満足に得られず、病気だけでなく不安とも闘わなければならない。患者が本当に知りたい情報を提供しまた不安の相談に乗る組織は、白血病など特定のがん患者に対しては遺族などを中心とした組織が運営しているが、がんの広範さ、さらに患者の多さからいっても不十分だ。今の治療法で良いのか、今の薬で大丈夫か、他に専門的な治療をしている病院はないのか、更にはがんと闘う中で溜まったストレスを黙って聞いてくれるといった、患者、その家族本位の、全てのがんを対象としてコールセンターが必要ではないのか。日々、がん患者と向き合う医師、がんセンターで患者の相談に乗るカウンセラー、白血病でわが子を亡くし、骨髄バンク設立に寄与し、現在はコールセンター設立を目指すＮＰＯ代表、そしてがん患者とその家族。多角的に声を集め、早急な「がんコールセンター」設立を訴える。

第１９回銀の雫文芸賞最優秀を受賞した、シルバーエイジのヒューマンドラマ。◆４０年間理髪店を営んできた夫婦。妻の朋子は高校の同窓会の幹事役をいつもやってきた。ある時、思いがけない女友達から返信葉書をもらう。男性達の憧れの君だった美佐子だ。高校時代の無二の親友だったが、卒業後外科医に嫁ぎ、それ以来音信不通だった。そんな時、夫の康之が倒れる。欠席するつもりでいた朋子だったが、夫は出席して美佐子に会うようにと言う。朋子は同窓会で美佐子から意外な相談を持ちかけられる。原作：今村惠子、脚色：小松與志子、音楽：荻野清子、出演：白川和子、山本學、山口果林、ほか

第二次世界大戦中のドイツで、音楽家のクラウスは、ユダヤ人少女ハンナの一家をナチスの迫害から匿っていた。ある日、ついにハンナ一家はゲシュタポに発見され、強制収容所に送られてしまう。クラウスは責任を感じて一家と共に強制収容所に入所し、生活を共にする。ハンナ一家は楽団の一員として生き延びようとするが、過酷な運命が一家を襲う。そして戦後、生き延びたものの心に傷を負ったハンナを、クラウスは音楽で癒そうと模索する。原作・脚本：香川宜子。出演：渡礼子、佐治幸恵、原中和夫、ほか◆開局５５周年特別番組

男性と同様に赤紙を受け取り戦場に赴いた従軍看護婦たちの“終わらない戦争”を描く。◆看護師の美奈子が担当しているリハビリ入院患者和歌子は、美奈子の祖母・多喜と一緒に戦場を生き抜いた従軍看護婦だった。昭和１９年（１９４４）、看護婦学校を卒業した１９歳の和歌子に赤紙が来た。和歌子は召集先で同期の多喜と再会し、フィリピン・ルソン島の兵站病院に赴任。人命を助けるという使命に誇りを持って看護に当たるが、やがて過酷な運命が二人を待ち受けていた。作：東多江子。出演：香川京子、堀内敬子、水野ゆふ、ほか

２００７年は、西郷隆盛の生誕１８０年・没後１３０年の年である。明治維新を成し遂げた西郷・大久保や東郷平八郎らを育てた薩摩の国には、寺子屋がない代わりに郷中（ごじゅう）教育という教育システムがあった。１００年余りの時を越えて、今でも地域で子育てや郷中教育の流れを汲む活動が続けられている。この郷中教育がどのようなシステムだったのか、薩摩のいろは歌（日進公いろは歌）がどのようなものだったのかを探ると共に、あいご会活動（子供会、保護者会の地域自主組織）、セゴドンのえんこ、山坂達者の活動、１００キロ徒歩、示源流の伝承など、鹿児島で行われている今の取り組みを紹介する。そして、現在の日本の地域環境や教育について考える。