鶴屋南北（四世）とシーボルトが出会い、『東海道四谷怪談』とシェークスピア『マクベス』の名場面を競演するという荒唐無稽な設定で、東西の演劇、歌舞伎とシェークスピアを大胆にクロスさせながら、人間の業を描きつくした大南北の最晩年の孤独な姿と、老境にあっても演劇にかける若々しい情熱を描く。歌舞伎の下座音楽とヨーロッパ・ロココ音楽との競演も楽しみな“東西混交”ドラマである。◆文政９年（１８２６）、江戸・中村座。下座音楽が鳴り、舞台に登場した棺桶が開いて飛び出したのは、齢７０を超えた南北その人。当代の人気作家南北が自分の葬式用の台本『寂光松後万歳（しでのかどまつごまんざい）』を上演するという。そこに、将軍の前で西洋音楽を演奏してきたばかりのオランダ人医者シーボルトが登場し、驚愕の一日の幕が開く。作：大久保昌一良、音楽：山口?也、出演：平幹二朗、近藤正臣、藤木孝、立川三貴、ほか

福井県内にある天台聲明研究会では、定期的に聲明の練習を行っている。聲明とは仏教儀式に用いられる音楽のことで、インドから中国を経て飛鳥時代に日本に入ってきた。そして日本独自のものへと発展していく。日本の聲明を組織的に伝承しているのは、天台聲明と真言聲明だと言われている。研究会の聲明の指導者は、西徳寺住職内藤さんだ。内藤さんは師の片岡義道さんから、西洋音楽と聲明は同じ所から生まれて西と東に分かれたのだから、一緒に演奏すれば合うはずだと聞いた。そこで、聲明と、ジャズ・雅楽・クラシックなど他ジャンルとのセッションを試みる。その融合の中から、時空を越えた音楽の素晴らしさと、天台聲明の芸術性の高さが再発見されていく。

青森県の民謡に大きな貢献をしてきた有名無名の先達たちに光を当て、伝統文化の継承の大切さを伝える、生ワイド番組内のコーナー。今回は、津軽民謡の名手の一人で、生前は青森県無形文化財「嘉瀬の奴踊り」の保存会会長でもあった鎌田稲一を紹介する。鎌田は歌手・吉幾三の実父である。吉が歌謡界で脚光を浴びてきたのとは逆に、父・鎌田稲一を知る人は、一般に青森県内でも少ない。実力がありながら民謡家としては不遇だった鎌田に光を当て、吉幾三の存在も紛れもなく鎌田家の芸の系譜の中にあることを、様々な音源、証言から浮き彫りにする。

毎週金曜の番組「Ｓｕｐｅｒ　Ｆｒｉｄａｙ　ＤＪ　ＰＯＣＫＹ’ｓ　Ｒａｄｉｏ　Ｓｈｏｗ！　ＷＥＥＫＥＮＤ　ＪＡＭ」の人気コーナー「４小節のラブストーリー」を元にしたスペシャル番組。このコーナーは、ストーリータイトルと物語の最初の部分を発表し、リスナーに続きをリレー形式で考えてもらうもの。これまでに放送した５０作品の中から厳選した２作品「夢であえたら」「嫌われ親父の一日」をラジオドラマ化した。また、男女が名前を呼び合うだけで物語を表現するショートストーリーも収録。パーソナリティ：ＤＪ　ＰＯＣＫＹ、富永千香、出演：鬼束雄人、下水流いつみ、金丸智子、蛯原達朗

２００７年７月に起きた新潟県中越沖地震。新潟の復興の現状を、そして応援をもらった東京の方々へのお礼をと、１０月１３日、東京表参道の「新潟館ネスパス」（新潟県のアンテナショップ）に特設ステージを設けて公開生放送を行った。ＴＢＳラジオ「永六輔その新世界」と結び、泉田裕彦新潟県知事が永さんと対談。被災地の現況とさらなる支援を訴えた。新潟各地を訪れ、復興を支援してきた永さんは、「三波春夫さんがいたらどうされただろうと考えた」と語る。出演：近藤丈靖、石塚かおり、永六輔

ＦＭ鹿児島月曜から木曜まで夕方３時間の生ワイド番組（２００１年５月放送開始）。鹿児島中央駅にあるサテライトスタジオ「アミュスタジオ」から、鹿児島の元気を発信している。今回は、ＣＤをリリースした小学生ジャズバンドを紹介する。◆「ＪＡＺＺＹ　ＫＩＤＳ　ＢＡＮＤ　すたんでぃんぐおべーしょんず」は、８歳の子ども達によるジャズバンドだ。音楽の授業で「かえるのうた」をジャズのリズムで吹きこなしたのをきっかけに、路上ライブ、イベント出演などを経て、ついにＣＤリリースした。子どもたちの奏でるの鍵盤ハーモニカジャズは、子ども達に無限の可能性を説くと同時に、自分自身の可能性を狭めていた「自分自身」に気づかせる。元担任の東さんと子ども達を招き、「池田学園池田小学校元２年２組他」のＣＤが出来るまでの経緯を聞く。パーソナリティ：ＤＪ　ＰＯＣＫＹ、浜崎美保

広島で生まれた実在の兄弟を描くドキュメンタリードラマ。◆弟・片山?は１３歳で被爆する。一方、１３歳年上の兄・日出雄は元海軍大尉。戦時中にオーストラリア人捕虜を殺害したＢＣ級戦犯として、冤罪にもかかわらず死刑判決を受ける。日出雄は収容所で聖書の教えを支えに仲間の減刑運動に力を尽くす。そんな彼を助けようと仲間が日出雄の減刑を訴えるが、運動も空しく刑は執行された。日出雄は「愛する祖国の罪科のために死ぬ」と言葉を遺す。戦争の加害者として処刑された兄、原爆の被害者として戦後を生きた弟、対照的な兄弟の悲劇を描き、戦争の愚かさと平和の尊さを訴える。◆作：毛利恒之。出演：久米明、綱島郷太郎、左時枝、ほか

お鯉さんこと多田小餘綾（こゆるぎ）さんは、阿波踊りに欠かすことのできない「よしこの」の名手。よしこのを昭和６年（１９３１）に初めてレコーディングしたのが、お鯉さんである。彼女は明治４０年（１９０７）生まれ。徳島県民であれば彼女を知らない人はいないほどだ。年齢を重ねる度に、艶やかで素晴らしい歌声を披露してきた。そのお鯉さんの百歳を記念してライブが行われた。演奏された歌と三味線を紹介するとともに、生い立ち、健康の秘訣について聞く。「好きだから続けてこられた」と語るお鯉さん。コンサートのアンコールでは「阿波に花咲くよしこの囃子、お鯉いのちの踊り唄」と唄う。