横浜の山下公園に係留されている氷川丸は、戦前は太平洋の貴婦人と謳われ、日本と北米を結ぶ定期船として就航していたが、戦時中は病院船として軍に徴用された。従軍看護婦だったロックミュージシャンＰＡＮＴＡの母は、終戦間際に赴任先のペナンから氷川丸で命からがらの帰国を果たした。「もし氷川丸がなかったら、自分は今この世にいないんだよね」と語るＰＡＮＴＡが、氷川丸関係者を訪ね、亡き母への思いとともに、氷川丸の知られざる数奇な歴史に迫る。船内では様々な悲劇があり、また生と死が紙一重の危険な航海だったことが明らかになる。

宮崎県の山間部を走る村のバス、諸塚交通。５年前から宮崎交通に代わり村内４つの路線でバスの運行を始めた。乗客のほとんどは通学の小中学生や病院通いのお年寄り、いわゆる交通弱者と呼ばれる人たちだ。諸塚交通は６人の運転手でバスとタクシーを運行しているが、時には社長の黒木さん自身もハンドルを握る。村は深刻な過疎化が進み、バスの乗客も少なく、毎年自然災害に見舞われる。そんな状況下で、県や村からの補助を得て何とかバスの運行を続けているのが実情だ。経営は楽ではない。なかなな新車を買えず、中古のオンボロ車が急な山坂道を走る。しかし黒木さんたちはそんな逆境にもめげず、今日も村人のためにバスを走らせる。

デジタル放送開始のための本社移転にともない、４３年の歴史を刻んだ南海放送道後局舎が最後の日を迎えた。小原アナウンサーは後輩アナとともに、深夜に奇妙な音がするという地下倉庫に向かい、不思議な人たちに出会う。それは、元報道部員のデンスケ、一期生アナウンサーのベロシチら、七人の幽霊だった。彼らはなぜ幽霊になり、今、何を思うのだろうか。そして局舎が消える明日からどうするのだろうか。◆道後局舎最後の日（２００６年１１月１２日）に、一般公開の生放送ラジオドラマを中心に、かつての関係者の紹介や音楽イベントを交えて放送された２時間番組から、ドラマ部分のみを取り出して２００７年に再放送したもの。ストーリーは南海放送５０年誌を元に、関係者を取材しての実話に基づいている。

架空の２人の医師が医療の裏話や医師仲間の常識など、真面目な話からバカバカしい話まで語り合うという設定で、医療現場の実態を医師の観点から取り上げる。◆２人の医師のおしゃべりは、なぜ麻酔科を選択したのかから始まる。医師不足が問題になっているが、産科医は激務で医療事故裁判も恐いから志望者が少ない。軽い話題として「毛はえ薬」と「若返り注射」。手術中にはＪ・ＰＯＰが流れているという意外な話も。さらに、製薬会社のコスト意識の低さ、ジェネリック医薬品の問題点から、この冬騒動を巻き起こしたインフルエンザ治療薬タミフルへと話題は移り、最後は日本医療労働組合連合会が調査した医師不足問題のアンケートを紹介し、話は振り出しに戻る。

アナウンサーが文学作品を朗読し、ゲストに作家や作品にまつわる興味深い話を聞く、正月三が日恒例の番組。この年は、明治から昭和にかけて多くの作品を生み出し、日本人の精神にも大きな影響を与えた夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介の作品世界を味わう。◆第三夜は芥川龍之介。彼は颯爽と文壇に登場し、駆け抜けていった。緻密な組み立てと文体を特徴とする短編は、今も新鮮だ。ゲストは龍之介の孫で評論家の芥川麻実子氏。朗読する作品は、「鼻」「羅生門」「トロッコ」「蜜柑」。◆聞き手：伊藤健三、朗読：鎌田正幸、杉澤紀美子、大出岳史

大阪に唯一残るチンチン電車・阪堺電気軌道。合併などの紆余曲折を経ながら、１００年以上大阪の街を走り続けている小さな電車だ。路面電車は昭和２０年代に乗客数のピークを迎え、それ以降は乗客が減り続けているところが多いが、一方でその長所を見直す動きもある。海外では、環境にも人間にも優しい次世代型路面電車ＬＲＴが各国に登場している。日本でも、富山県でＬＲＴが開業し、導入を検討する自治体が増加傾向にある。路面電車は、ノスタルジックな乗り物として残っていくのか、それとも省エネルギー時代の乗り物として新たな道を模索するのか、今後の方向性も考える。◆語り：和田麻実子、旭堂南海

戦争体験者の生の声を伝えるインタビューシリーズ。今回は川上喜政氏にシベリア・朝鮮抑留の体験を聞く。◆川上さん達は８月２０日に終戦を知らされ、武装解除された。日本へ帰ると行軍させられたが、汽車で運ばれた先はシベリア。厳寒の地で毎日伐採作業が続き、その日その日を生きていくことしか考えられなかったと言う。食糧もわずかで、体重は３５キロになった。ソ連の医者に見捨てられて日本送りとなるが、再び朝鮮で抑留。赤痢で死線をさまったとき、病床からは先に死んだ日本人の塔婆が何千も見えていた。（インタビューの部分のみを収録）

熟年離婚を防ごうと１日１回のハグを呼びかけてきた「いよ！ＡＭｉ－ｇｏ」のスペシャル版。温かさを感じ、気持ちが落ち着くなど、ハグの効果を体感で認識をしているパーソナリティーの小林真三と新山純子。科学的裏付けを得ようと角南医師を招き脳外科から見るハグの効用を聞く。角南医師によれば、ハグをすれば副交感神経が優位になってリラックスでき、良い脳ホルモンが分泌され、良い脳波が出るのだという。ハグの力を改めて知った小林がスタジオを飛び出し、道後温泉や萱町商店街など県内の各所でハグを促し、出会った親子、夫婦の絆を伝える。またラジオカーリポートＣＡＰＹ窪和久恵は、夫が“ハグ大国”アメリカ出身の夫婦宅を訪ね、正しいハグの仕方を聞く。