ノンフィクション作家大崎善生氏の短編「優しい子よ」のラジオドラマ化。大崎氏の妻は、女流棋士の高橋和さんである。３年前の春先、高橋さん宛てに不治の病に冒された少年の父親からメールが届く。これをきっかけに大崎夫妻と、一度も会ったことのない少年との心の交流が始まった。闘病中の少年の心の支えとなっていたのは、憧れの女流棋士高橋和さんへの一途な思いだった。自分の身体以上に和さんの足の痛みを気遣う少年。その純粋無垢な思いに、夫妻は次第に自分たちの「生きる」ことを見つめていく。少年との出会いと時を同じくして偶然に我が子を授かる大崎夫妻。そして、自身の父親との確執の解消。少年との出会いが「生きる」の意味を変化させていた。脚本：植松知子、出演：金田一仁志、植山晶子、長谷川京子、ほか

第二次世界大戦中の硫黄島の激戦を描いた映画「硫黄島からの手紙」が大きな話題となった。硫黄島からの生還者、遺族に話を聞き、平和への思いを訴える。◆日米合わせて５万人が死傷した硫黄島。奇跡的に生還した男性は壮絶な経験を語る。この闘いを指揮した司令官・栗林忠道は、長野県長野市松代町の出身である。栗林の生家は今も残り、現在の当主が遺品を大切に保管している。この年５月、親族の家から、栗林がアメリカ留学の際に購入したというレコードが発見された。遺品から彼の実像に迫る。また、映画をきっかけに学習を始めた高校生の心の変化を追う。

この番組のパーソナリティは、ハン・カクサイ。秋田県で活躍する地産地消ヒーロー“超神ネイガー”の敵役で、カメムシの姿をしている。彼が秋田放送の電波を乗っ取り、県民をだじゃく化（悪い方向に導く）するために始めた番組が「電波ダジャック！」である。２００６年に秋田放送のラジオでレギュラー放送され、人気を博したものの、惜しまれながら終了。今回の特別番組放送に至った。ヒーロー超神ネイガー誕生までを描いたラジオドラマ（このドラマではハン・カクサイは“やられ役”）を挟みながら、メール紹介や生電話でリスナーと結ぶ。パーソナリティ：ハン・カクサイ、松井梨絵子

「現代の音楽」放送開始５０周年を記念して、日本の現代音楽の半世紀を振り返る特別番組。日本人作曲家によるこの間の代表作、そしてＮＨＫの電子音楽スタジオで制作された作品などを聞く。司会は作曲家の西田朗、ゲストは音楽学者で１９９６年から一時期この番組のパーソナリティを務めた白石美雪。◆第１部では１９５０年代～１９６０年代を取り上げる。番組開始当初はラジオ第２放送で放送されていた。曲目は、１９５７年４月の第１回放送の１曲目、諸井誠作曲「組曲　稀薄な展開」のほか、松村禎三作曲「阿知女」、黛敏郎作曲「涅槃交響曲」から第５、第６楽章、林光作曲「水ヲ下サイ」、三善晃作曲「交響三章」から第２楽章、武満徹作曲「ノヴェンバー・ステップス」ほか。

上士幌在住の酪農家・荒井登喜子さんの第５０回農民文学賞受賞作をラジオドラマ化。酪農の現状と悲哀をユーモラスに描く。◆年老いた母と酪農を営む池本直道は３９歳。きつい酪農家は女性から敬遠される。４０歳前に何とか結婚相手を見つけようと、高校の１年後輩で床屋の山上洋二とお見合いイベントに参加する。直道は酒屋と偽って参加し、離婚歴のある池田京子と出会い、交際を始める。自分に不利なことも打ち明ける京子に対して、直道は酪農家だと言い出せないまま時が過ぎ、ついに真実が京子にバレてしまう。折り悪く母が倒れ、「嘘をついて大好きな酪農を裏切った」と深く反省する直道。この嫁探しは、やはり失敗に終わるのだろうか。原作：荒井登喜子、脚色：砂川一茂。出演：岩尾亮、渡辺香奈子、武田晋、小島達子、ほか

熟年離婚を防ごうと１日１回のハグを呼びかけてきた「いよ！ＡＭｉ－ｇｏ」のスペシャル版。温かさを感じ、気持ちが落ち着くなど、ハグの効果を体感で認識をしているパーソナリティーの小林真三と新山純子。科学的裏付けを得ようと角南医師を招き脳外科から見るハグの効用を聞く。角南医師によれば、ハグをすれば副交感神経が優位になってリラックスでき、良い脳ホルモンが分泌され、良い脳波が出るのだという。ハグの力を改めて知った小林がスタジオを飛び出し、道後温泉や萱町商店街など県内の各所でハグを促し、出会った親子、夫婦の絆を伝える。またラジオカーリポートＣＡＰＹ窪和久恵は、夫が“ハグ大国”アメリカ出身の夫婦宅を訪ね、正しいハグの仕方を聞く。

全国各地の語り部による民話の語りを聴く番組。ゲストに山梨むかしがたりの会代表の藤巻愛子さんを迎え、各地に伝えられ、方言で語られる民話の数々を味わう。司会：斎藤季夫。（３回シリーズ）◆第１回は「さる地蔵」「河童のとっくり」「きつね女房」。「さる地蔵」は地域によって偽地蔵だとばれるくだりが違うという。「河童のとっくり」は、河童を助けた男が不思議なとっくりをもらう話。「きつね女房」は藤巻さんが地元甲州弁で語る。

東尋坊を望む福井県三国町安島地区に伝わる民謡「なんぼや踊り唄」と、唄を伝える人々を描く。◆「なんぼや」とは江戸時代、南部地方（青森県東部と岩手県北部）から北前船によって伝わったことから、「南部や」が「なんぼや」になったという。男たちが船員としてが出稼ぎに出た間、留守を守り、子どもを育ててきた海女たちによって伝えられてきた。中には夫や恋人の帰りを待つ女心を唄った恋歌も収められている。一時は途絶えたが、保存会と小学校の協力で再び歌い継がれている。◆『録音風物誌』平成１９年８月～平成２０年７月放送分の全国最優秀賞。