文化放送の最長寿番組は、１９５３年５月に放送が始まった「朝の小鳥」だ。その収録・構成を担当していた蒲谷鶴彦氏がこの年、８０歳で亡くなった。彼の足跡を４回のシリーズでたどる。蒲谷氏は文化放送開局翌年から２００６年６月まで、半世紀にわたてこの番組を担当し、放送回数は１万４０００回を超えた。彼が野鳥の声の録音に打ち込む姿に影響を受けた人々の声、また彼が遺したもの、伝えたかったことを、彼自身の言葉を通して浮き彫りにする。第１回「蒲谷さんと朝の小鳥」、第２回「蒲谷さんと仲間たち」、第３回「蒲谷さんの録音秘話」、第４回「蒲谷さんの遺したかったもの」（２００７年４月８日～２９日放送）。

２００７年３月、財政再建団体に認定された夕張市。多数の媒体に取り上げられ、破綻という言葉ばかりがクローズアップされる中、夕張の人々はどのような思いで暮らしているのだろうか。２００７年４月から１年間、毎週金曜日のワイド番組内に１０分コーナーを作り、丹念な取材を重ね、様々な年代、職業の方の、それでも頑張る夕張市民の本当の声を伝えた。これは１０月までの半年間に取り上げた人々や活動のその後を取材し、統廃合などで消えようとしている小学校校歌を収録したものを交えた特別番組である。スタート時の「市は破綻したけれど私たちの暮らしが破綻したわけではない」という声に代表されるように、頑張る市民の本当の声、そして夕張の今を通して、まちづくり、自分たちのまち、そして北海道の未来の姿を考える。

詩人桜井哲夫さん（８３歳）は、１７歳の時ハンセン病と診断され、青森県鶴田町から群馬県草津町にあるハンセン病療養所に入所。これまで６冊の詩集を出版し、「らい文学の最後を告げる詩人の一人」と評されている。彼には心の孫がいる。在日コリアン三世の金正美（キム・チョンミ）さんだ。彼女は１９歳の時、学内掲示板で知った「らい療養所詩話会」に参加したのがきっかけで桜井さんに出会った。詩人桜井さんの魅力に惹かれていき、１９９６年２月、おじいさんと孫の約束をする詩「二人の条約」が誕生。「哲ちゃん」「ちょんみ」と呼び合う仲になり、韓国や津軽などへ二人三脚の旅が始まり、この年（２００７年）２月、哲ちゃんの長年の夢だったローマ法王との謁見が叶った。療養所生活の軌跡と、法王との謁見の意味を探る。

第二次世界大戦中の硫黄島の激戦を描いた映画「硫黄島からの手紙」が大きな話題となった。硫黄島からの生還者、遺族に話を聞き、平和への思いを訴える。◆日米合わせて５万人が死傷した硫黄島。奇跡的に生還した男性は壮絶な経験を語る。この闘いを指揮した司令官・栗林忠道は、長野県長野市松代町の出身である。栗林の生家は今も残り、現在の当主が遺品を大切に保管している。この年５月、親族の家から、栗林がアメリカ留学の際に購入したというレコードが発見された。遺品から彼の実像に迫る。また、映画をきっかけに学習を始めた高校生の心の変化を追う。

ナレーター宇野ひろみは妊娠中で、親になることに不安を感じている。２００６年８月、奈良県の町立病院で妊婦が分娩時重体となり、１９もの病院に搬送を断られた後、搬送先の病院で死亡した。この事件の背景には、地域の中核をなす公立病院での医者不足、特に産婦人科や小児科の脆弱な体制があったと言われている。大阪近郊の公立病院の小児科、産婦人科等で勤務する診療責任者が語る現場の証言を集め、医者不足の原因が複合的で、新しく導入された医療政策や近年の医者気質、患者側の問題など様々な要因があることを浮き彫りにする。また、国が今後、少子化対策として、医療問題の解決策を持っているかを追求する。

２００３年の鹿児島県議選挙を巡り、志布志市懐集落で現金買収の会合が開かれたとされた「志布志事件」。わずか７世帯の集落から突然逮捕者が続出した。起訴された１３人のうち６人が容疑を自白。しかし皆口々に「ひどい取り調べで自白を強要された」と訴えた。裁判は３年７ヶ月に及んだが、鹿児島地裁は「ありもしない事実が自白させられている」として全員無罪を言い渡し、判決は確定した。でたらめな事件の背景にあった杜撰な暴走捜査の実態が明らかになっても、捜査当局から元被告らへの直接の謝罪や説明はまだ一切ない。被告とされた住民達は、取り調べを録画・録音する取り調べの「可視化」の必要性を全国で訴えながら、人生と心に“空白”を作った事件の真相解明を求めて、国家賠償請求訴訟を起こす方針だ。

「中四国ライブネット」は、中国・四国の８局がそれぞれのエリアの様々な情報を発信する番組で、今回の制作は四国放送。徳島県小松島市出身の堀尾和孝さんをスタジオに迎え、彼のプロギタリストとしての人生を紐解きながら、即興演奏を楽しむ。アコギとはアコースティックギターのこと。堀尾さんは高校時代にハードロックに心酔し、大学時代にギタリストとしてのキャリアをスタート。卓越した技術で高い評価を受け、数多くのアーティストのレコーディングに参加してきた。ビートルズやレッドツェッペリンなど影響を受けた音楽を生演奏するほか、「ギター大喜利」では「夕日」「吉野川の流れ」などリスナーからのお題に対して間髪を入れず次々と即興演奏をくりひろげる。

この日はラジオ日本の開局４９周年記念日で、「横浜まるごと放送局」と題して、朝から５つのワイド番組をすべて横浜本社から生放送した。そんな一日のまとめとして、この番組ではクリスマスの横浜のレポートを交えながら、ラジオ関東時代からの人気番組を振り返る。パーソナリティは女優の五大路子と、横浜ブリキのおもちゃ博物館館長の北原照久。前田武彦と富田恵子が「昨日の続き」の思い出を語り、「ジャズを作った人々」を放送当時の台本から再現。ミック・ボンドと影山聖子による現在の「ポートジョッキー」、ダ・カーポのクリスマスライブも送る。番組内で午前零時を迎え、ラジオ日本開局５０周年の１年が始まる。