幅広い分野から講師を迎え、日本語をユニークな視点から捉える「私の日本語辞典」。３回シリーズで国語学者の松井栄一さんに、祖父から三代にわたる辞書作りについて聞く。第２回は前回に引き続き、祖父、父から引き継いだ辞典の増補作業について、その細やかな手順と、辞書作りの喜び、苦心を聞く。「用例は辞書の生命である」という信念で進められる辞書作り。用例を採取し、カードを作成し、見出しとする語を選んでいく。５０万語という膨大な言葉との格闘である。その成果は「日本国語大辞典」として結実する。

西田敏行と竹下景子による二人芝居の文芸ドラマシリーズ。◆３７歳の月子は、７０代となった高校時代の国語の教師と飲み屋で再会する。月子と“センセイ”は、それから何度か一緒に飲むうちに、飲み仲間としての付き合いが途切れずに続いた。同じ時を過ごすうちに、“センセイ”に対する月子の気持ちは徐々に変化してゆく。年の離れた月子と“センセイ”の面白おかしく、時に歯がゆく切ない日々を描いた物語。（５回シリーズの第４回）◆原作：川上弘美、脚色：佐藤ひろみ

平澤さんは、全国で数少ないフリーで在宅ケアを行う言語聴覚士だ。患者の家一軒一軒を訪問して訓練を行っている。失語症は脳の中にある言葉を司る部分が障害を受けて起こる病気で、現在全国に約５０万人の患者がいると言われている。実は平澤さん自身も大学時代に交通事故で脳に障害を負い、失語症になった経験を持つ。自分の言いたいことが他人や家族にさえ伝えられない孤独に陥る失語症を経験した平澤さん。「かつて自分が経験した苦悩を患者達は感じているはずだ」という思いで全国に先駆け、フリーの言語聴覚士として訪問ケアをスタートさせた。平澤さんとの出会いで患者達は次々と明るさを取り戻し、再び生きる気力に火を灯す。平澤さんの活動を通して、失語症の苦しさ、患者に必要なものは何かを考える。

岐阜県に住む小学１年生の少女は、生まれつきの難病「混合型血管奇形」と闘っている。動脈、静脈、毛細血管、リンパ管の４種類の血管のうち、複数種類の異常を伴う、先天的な血管系統の形成不全の病気だ。病気のため、彼女のおなかは血液やリンパ液が溜まって妊婦のように膨らんでいて、ぶつけたりすると大量出血の恐れや感染症の心配がある。母親は出産後、腹部が大きく膨らんだ娘の姿にショックを受けたが、できる限りの治療を試みてきた。生後１４日から繰り返した手術も効果がなかった。原因不明で治療法もない。しかし、何とかして治療法の研究が進まないだろうか。母親は現在、この病気の国による難病指定を求めて、活動を続けている。

「楽しくオシャレに無理せず長続きするエコ活動」をテーマに、前半は東京を中心に全国で活躍中の環境ナビゲーター井手道義和氏を迎えて、取材風景などを交えながら、一風変わった切り口のエコロジーを紹介する。後半は山口県地球温暖化防止活動推進センターの大森一世氏が加わり、山口県を地方の一都市のモデルとして考える。全国に設置されている地球温暖化防止活動推進センターの活動内容や、地方都市における家庭での大きなＣＯ２排出の要因である自動車について、エコドライブや自転車の奨めなどを紹介する。パーソナリティ：高橋裕、青木京子。

日本の歌謡曲を木村淳寛が独自の観点で分析解説する。（２００８年４月放送開始）◆「乱れ髪」は、大病から復帰した美空ひばりのために星野哲郎が作詞した曲。この歌詞には星野氏の実体験が込められているという。◆最近の流行歌は直接的な歌詞が多いと批判する木村氏。「悲しい」「切ない」と言わなくても感情が伝わることを「山の吊り橋」が示しているという。◆「時代おくれ」は団塊世代を歌ったもの。その時代背景を解説する。◆井上陽水の「傘がない」。木村氏はこの曲を聞くと阿部定事件をテーマにした映画「愛のコリーダ」を連想するという。（２００８年４月から５月放送の４回分）

理想の医療を目指すアフガニスタン人医師のひたむきに活動する姿を描く。◆静岡県中部を流れる大井川沿いにある島田市。山や田んぼに囲まれた静かなこの町に、アフガニスタン人医師レシャード・カレッドさんの病院がある。１９５０年にアフガニスタンのカンダハル郊外で生まれたレシャードさんは、子供の頃から日本に憧れ、また感染症予防を学ぶために日本に留学したが、母国の政情混乱のため帰国できず、１９９３年にレシャード医院を開いた。診察室と待合室が一つずつの質素な診療所だ。彼は診療の合間を縫い、昼夜を問わず、家庭も省みず、在宅医療の必要な患者の診療に出かける。長期の休日には母国で医療活動も行っている。

作家、小川洋子が毎週１冊未来に残したい「文学遺産」を紹介する番組。作品や作家からイメージされる音楽も合わせて楽しむ。（２００７年７月放送開始）◆今回取り上げるのは、全米公共ラジオのある番組から生まれた一冊、『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』。１９９９年、作家ポール・オースターの呼びかけでリスナーから寄せられた４０００通以上の物語（実話）の中から、１７９編が収められている。小川さんは、この本によって自分もラジオで文学を語る決心をしたことや、収録されているある投稿から作家として奇跡的な体験をしたことなどを語る。