浪曲師の家に生まれながら浪曲が好きではなかった天龍さん、青春時代はジャズミュージシャンに憧れるモダン青年だった。その影響か、浪曲の伴奏にギターを取り入れている。天龍さんが浪曲師としての人生を歩むことを決定付けたのは戦争だった。慰問団が来ることのない中国の戦地で兵隊生活を経験する中、彼の浪曲は生死の境目で生きる兵士たちの心を慰め、大人気となった。自分の演じる浪曲に涙する兵士たちに、天龍さんは浪曲師としての生きがいを感じる。戦後浪曲は浮き沈みするが、天龍さんは浪曲と共に歩んできた。天寿に恵まれ、彼の浪曲芸は枯れた味を醸し出す。多くのレパートリーの中から「陸奥間違い」を聞く。９３歳の年齢を感じさせないしっかりした浪曲である。

源氏物語が書かれて１０００年を記念して、田辺聖子訳「新源氏物語」をＮＨＫ関西の各アナウンサーが朗読するシリーズ。今回は「君がため若菜つむ恋のくるしみの巻」全４回の第３回。◆六条の御休所の物の怪に取り付かれた紫の上は、命を取り留めた。一方、源氏の正妻である女三宮は、幼い心のまま忍んでくる柏木の衛門督を拒めない。女三宮と柏木の二人の声が、次第に源氏を追い詰めていく。朗読：上田早苗。（朗読部分のみを公開）

ＪＲＴ航空１２６９便、機長保岡栄二、ＣＡ（キャビン“アベ”ンダント）安部敏恵、搭乗者はゲストとリスナーと見立てた月曜夜の生ワイド番組。今回は前日に徳島県で初めて行われた市民マラソン「徳島マラソン」を受けて、初マラソンに挑んだ安部アナウンサー、準備と運営に当たった県にぎわいづくり課の新居さん、コース設計から当日はペースメーカーとしても尽力した田中俊夫教授、テレビでレポートした保岡アナウンサーの４人が、それぞれの立場でエピソードや苦労話を語り合う。安部アナウンサーは不安の中のスタートだったが、完走した達成感と周囲の人々への感謝を語る。前日に行われたばかりで興奮覚めやらぬ４人の話は尽きない。

かぐや姫や吉田拓郎、井上陽水に代表される７０年代フォークは今も輝きを失うことはない。現在４５歳の道本晋一はギター講師をしながらフォークグループ「かぐら姫」を結成し、宮崎での音楽イベントに参加している。彼の宮崎弁を交えた音楽話と生演奏でフォーク音楽を楽しむ。（２００５年１０月放送開始）◆今回は伊勢正三特集。道本が憧れの伊勢さんに直接電話インタビューをするほか、伊勢さんの名曲「なごり雪」のモチーフとなった大分県の津久見駅で、「なごり雪」との関係を実証する。

将来を期待されながら戦火に散ったプロ野球投手・石丸進一の半生を描くラジオドラマ。この日５月１１日は石丸が特攻隊員として出撃した日である。◆今年もペナントレースが開幕し、ドラゴンズに連覇の期待が高まる。そんなドラゴンズの前身「名古屋軍」のエースとして活躍した石丸進一。彼は佐賀商業を卒業し、家の莫大な借金を返すために職業野球の道を選んだ。ノーヒットノーランなど輝かしい成績を残すが、時代は石丸に野球を続けさせなかった。徴兵逃れのために日大に籍を置くも、学生の徴兵免除が解かれ、彼も航空兵へ。予備学生と呼ばれた学徒出陣組に対する執拗な体罰などの不条理に耐え、ただひたすら再び野球ができる日を夢見るが、ついに出撃の命が下り、名古屋軍球団代表から贈られた真っさらなボールで最後のキャッチボールをした後、沖縄へ向けて出撃していった。原作：牛島秀彦、脚本：芳賀倫子、出演：伊藤一成、青山高志、生島織部、松田つぎ子、ほか

２００７年８月１日に亡くなった阿久悠氏が、１９９８年の作詞家生活３０周年記念特別番組で語った言葉を再構成した番組。阿久さんは１９６７年にデビューし、演歌、アイドル歌謡からアニメソングまで、多くのヒット曲を生み出してきた。「勝手にしやがれ」「ジョニーへの伝言」「時代おくれ」「北の宿から」「青春時代」など代表作に込められた思い、音楽の社会性について聞く。「常に社会とどうリンクするかを考えてきた」と語る阿久さん。歌が消費物となり、連帯感を失い仲間内だけで楽しまれるようになったこの時代に、彼の言葉はどう響くだろうか。

戒田さんは、千葉県でニート、ひきこもりの人達を支援するＮＰＯを運営した経験を生かし、故郷愛媛で悩む若者達を応援するＮＰＯ法人「ヒューマンチェーン」を設立した。戒田さんが愛媛で最初に関わったのは、ひきこもりを続けていた１６歳の少年だった。彼は戒田さんから地元ミュージカル劇団に誘われたのをきっかけに、社会への第一歩を踏み出す。戒田さんは、ひきこもりから脱出したいのに出られない若者、彼らの将来を心配しながら何も出来ない親達に、「心を閉ざし、家族を閉ざしていては何も動かない」、「勇気を出して一歩踏み出そう」と呼びかける。

この年１月に就任した橋下徹知事が打ち出した財政再建計画には、府職員の賃金カットのほか、府の施設の廃止・売却を含めた大幅な見直しが含まれていた。知事は「子どもが笑う大阪に」と選挙で訴えたが、ドーンセンター（府立女性総合センター）、児童館ビッグバンなど、弱者のための施設も対象となった。ワッハ上方（府立上方演芸資料館）の見直しにはベテラン芸人たちも署名活動に立ち上がった。一方、５兆円の負債を放置できないのも事実である。これまでの府政が遺した負の遺産のために府民の暮らしが犠牲になっても良いのか。改革を進める知事と、その改革によって見直しの対象となる施設に携わる人々の苦闘を追う。