年間約３万人が自殺すると言われている日本。岩手県はその中でも人口当りの自殺率が全国２番目という、自殺の多い地域だ。年間５００人近くが自ら命を絶つ。うつ、病苦、多重債務、介護疲労など、自殺の原因を特定することは難しい。自殺を予防する取り組みを追う。◆ここ数年で自殺率を大きく減少させた久慈地域では、サロンを開設し、お年寄りの孤立を減らした。年間約２００人の自殺未遂者が搬入される岩手医大高度救命救急センターでは、若き精神科医達が未遂者のケアに尽力していた。そして岩手出身の自死遺族の男性は、東京で自殺予防活動を行うＮＰＯに参加し、自らの経験を語ることで自殺の悲惨さを伝えている。◆「いのち。伝えたい」キャンペーン番組

日本人が南北アメリカへ移住を始めてから１００年。アメリカの南カリフォルニア福岡県人会も創立１００周年を迎えた。県人会の最重要目標は、日本とのコミュニケーションの円滑化と、今の世代への文化の伝承だ。毎年春になると世界中の福岡県人会から留学生が来日し、日本文化を体験する。第二次世界大戦時は不遇な生活を強いられていた日系人だが、その子孫達は海の向こうから絶えず福岡を想ってきた。そんな日系人達から、忘れかけていた日本が見えてくる。南カリフォルニア福岡県人会をはじめ、全米日系人博物館、留学生などへのインタビューを通じて、福岡への想いと日本文化の伝承を追う。

源氏物語が書かれて１０００年を記念して、田辺聖子訳「新源氏物語」をＮＨＫ関西の各アナウンサーが朗読するシリーズ。今回は「君がため若菜つむ恋のくるしみの巻」全４回の第１回。◆幼い頃から源氏が大切に育ててきた紫の上は３７歳。亡き妻葵の上が亡くなった年齢と同じだと、源氏は気にかける。一方、源氏の幼い頃からのライバル頭中将の長男、柏木の衛門督（えもんのかみ）は、源氏の妻、女三宮への恋心を諦めきれず、ついにある一歩を踏み出す。朗読：西堀裕美。（朗読部分のみを収録）

生存率が極めて低いという肺小細胞がんを告知されながらも、奇跡的にそれを克服した、千葉県在住の樋口さん。闘病中に落語に支えられたことから、学生時代にやっていた落語を再開。現在は自分の体験をもとに創作落語や語りの講演会を全国で開き、笑いでがん患者たちに生きる勇気を与えている。彼が講演会を開く機会が最も多いのが岩手県だ。樋口さんは岩手を訪れる度にがん患者たちと交流している。また樋口さんの影響を受けて「一診一笑」を実践する医師もいる。盛岡で行われた落語の公演「病院日記３」を交えながら、がんを告知されても笑いを忘れず、明るく強く生きる人たちを描く。

浪曲師の家に生まれながら浪曲が好きではなかった天龍さん、青春時代はジャズミュージシャンに憧れるモダン青年だった。その影響か、浪曲の伴奏にギターを取り入れている。天龍さんが浪曲師としての人生を歩むことを決定付けたのは戦争だった。慰問団が来ることのない中国の戦地で兵隊生活を経験する中、彼の浪曲は生死の境目で生きる兵士たちの心を慰め、大人気となった。自分の演じる浪曲に涙する兵士たちに、天龍さんは浪曲師としての生きがいを感じる。戦後浪曲は浮き沈みするが、天龍さんは浪曲と共に歩んできた。天寿に恵まれ、彼の浪曲芸は枯れた味を醸し出す。多くのレパートリーの中から「陸奥間違い」を聞く。９３歳の年齢を感じさせないしっかりした浪曲である。

２ストライク１ボールのドキドキ感いっぱいで送る生ワイド番組。ラジオの即時性を活かし、リスナーから寄せられた口コミ情報をもとに人や場所を取材する。◆今回の口コミは「タダでもらえる！湧き水スポット」。水資源豊富な静岡県ならではのテーマで、前日放送終了からたくさんの情報が寄せられた。その中から、家の蛇口から出るのが伊豆・天城の名水というお宅や、湧き水豊富な西富士オートキャンプ場などを紹介する。また、ゲストのシンガーやうこは、前日岐阜県大垣市でもらった「菓生の水を」持参していて、湧き水談義に花が咲く。ほかに、ちょっと勘違いな口コミ「今日のフィルダーズチョイス」、リスナーに代わって花を贈る「愛のピンチヒッター」など。

１９８８年３月１３日、青函連絡船は８０年の歴史を閉じた。あれから２０年、青函連絡船や青函航路のその後と、青函トンネルの歩みを振り返る。最初の青函連絡船は１９０８年就航の比羅夫丸。洞爺丸などの悲劇もあったが、北海道と本州を結び、日本の発展を支えてきた。その役割はトンネルに引き継がれる。平山アナウンサーが「青函トンネル探検ツアー」に参加。建設に携わった先人の歴史、地震や火災への備えを伝える。一方、八甲田丸と摩周丸は地域のＮＰＯ法人によって、歴史の証人として保存の取り組みがなされている。また、新しい高速フェリーが就航し、間もなく東北新幹線も青森に乗り入れられ、津軽海峡は新しい時代を迎えようとしている。

平日午後の報道番組「バイブル」が、長年ＨＩＶの啓発運動を続けているＬｉｖｉｎｇ　Ｔｏｇｅｔｈｅｒ計画と共同で、ＨＩＶ／ＡＩＤＳについて考える。◆５月２８日放送分では、うつ病の妻と彼女を支える夫の１０年間を描いた映画「ぐるりのこと」に主演したリリー・フランキーを迎え、痛みと共に、それでも生き続けることを話し合う。６月９日放送分は、ＨＩＶ陽性者や周囲の人の手記を著名人が朗読したイベント「ポエトリーリーディング」の模様をダイジェストで伝える。リリー氏は、偏見は無知で教養がないことであり、人のつながりと知識が大切と訴える。