他国に比べて、日本では音楽教科書の掲載曲に国が強く関与してきた。明治時代初期に日本の近代学校制度が始まるが、音楽は教科書すらなかった。井沢修二がアメリカに留学後、恩師メイソンを日本に招いて教科書を作ったのが、日本の音楽教育の始まりである。井沢らはアメリカの教科書に日本語の歌詞をつけた。国主導の子どもの「唱歌」である。文語調で親しみにくい唱歌への反動として、大正時代に口語体の「童謡」が生まれた。「七つの子」「赤い靴」などを生んだ当時の代表的作家・本居長世は、レコードを聞けない子らのために、娘たちと全国を回って童謡を広めた。唱歌の中には、「春の小川」「村の鍛冶屋」「われは海の子」など、様々な思惑で歌詞が変えられたものもある。

庄原市の男性は、２０００年にすい臓がんを再発し、余命５ヶ月と宣告されたが、東京の医師の元で抗がん剤「ジェムザール」による治療を受け、２１世紀を迎えることができた。この抗がん剤は、世界のすい臓がん標準治療となっていたが、当時の日本では未承認で、患者達は標準治療を受けることなく亡くなっていた。彼は、誰もがこの治療を保険診療で受けられるようにと患者会を結成し、抗がん剤の早期認可を厚生労働省に求める署名活動を始めるが、仲間も彼自身も志半ばで病に倒れていく。しかし、彼の思いは日本のがん治療を変えたいと運動するメンバーに引き継がれ、やがて国を動かし、「がん対策基本法」の成立に向かう。

楽器産業の街、浜松をベースとした静岡県内で盛んなおやじバンドにスポットを当て、県内のバンドサウンドとイベントを紹介する。（２００８年４月放送開始）◆今回は２組のバンドを紹介する。一組目の「爆音戦隊スンプレンジャー」は、戦隊ヒーローの扮装で演奏する親子で楽しめるロックバンド。曲は童謡とツェッペリンがドッキングした「南の島のハメハメハ大王」。続いて島田市の「レッド・ポイント・ブラザーズ」。島田高校の卒業生のフォークグループで、オリジナル曲「天王山」を紹介する。おやじバンド達に影響を与えたアーティスト「レジェンドオブダディバンド」は、ポール・マッカートニーを取り上げる。

第７５回全国盲学校弁論大会の全国大会で、「悔いのない今日を生きる」と題してスピーチした岡山県立岡山盲学校高等部普通科２年の竹本登久子さんが優勝した。これまでで最高齢、７４歳での優勝だ。戦中・戦後に育った竹本さんは、自立への道として琴を選んだ。当時、視覚障害者が学問を続けるのは難しかったのだ。師匠として６０年近く琴一筋で仕事をしてきた。だが学問への憧れをずっと胸に抱き、７０歳を過ぎて一度は諦めた盲学校高等部に入学した。そして十代の若者と共に学びながら、さらに大学で音楽を学ぶことを目指している。今こそ青春と語る竹本さんの日常と、将来にかける思いを伝える。

放送記者、ノンフィクション作家として生と死を見つめ続けてきた柳田邦男氏が、自らの人生を振り返り、ジャーナリストとして考えてきたことや、若い世代へのメッセージを伝える。（３回シリーズ）◆第２回は生と死に焦点を当てる。柳田さんは幼少期に家族を結核で、親族を戦争で失った。戦争を語る際は何人が死んだかではなく、亡くなった一人一人の人生を追う。また、がんは結核に替わる国民病と考えて取材を続けてきた。柳田さんは、次男が自ら命を絶つというつらい体験もした。気付いた時の思い、立ち直るまでの心の変化を振り返り、死とは無になることではなく、生きる者に永遠に語りかけ、自分を鍛えてくれるのだと語る。

「昭和わんぱく遊び図鑑」という１冊の本を通じて、昭和時代の子供達の遊びと現在の遊びを比較し、何がどう変化したか、また子供達の意識や意欲がどう変わっているのかをレポートする。案内役は黒田治。◆この本の著者佐伯俊男氏に、執筆した理由や自身の子供の頃の遊びについて話を聞く。さらに街に出て、駄菓子屋に集まる子供達、神社の境内で遊ぶ子供達、また一緒にいたお母さんにもインタビューし、昔と今の遊びの違いを語ってもらう。ＮＡＣＫ５を代表するパーソナリティからのコメントも紹介するほか、昭和の風景を切り取った様なラジオドラマで「懐かしきあの頃」のほのぼのとしたイメージを表現する。

毎回日本と世界２つの昔話を、道上洋三と夏木マリが芝居仕立てで語る。（２００７年４月～９月放送）第１回は「牛方と山んば」と「塩の味」。◆「牛方と山んば」：塩サバを牛に積んだ牛方は、峠で現れた山んばにサバと牛を喰われ、自分も喰われそうになる。逃げた牛方はある家に迷い込むが、そこは山んばの家だった。◆「塩の味」：王様が七人の娘に「私のことをどれくらい大切に思うか」と尋ねた。娘たちは「お肉のように」「パンのように」などと答えたが、末の娘は「塩のように」と答えた。怒った王様は末娘を国中で一番貧乏な男と結婚させ城から追い出しまう。

「少年少女が見た戦争」をテーマに、現在７０歳前後の方達が戦争体験を若い世代に語り継ぐ番組。正午の黙とう、この日行われた沖縄全戦没者追悼式のレポートに続いて、当時７歳だった女性の疎開船の記憶、当時７歳だった男性のテニアンでの戦争体験を聞く。そして、一人語り「おろせない荷物」（作：上原直彦、語り：北村三郎）では、沖縄戦を体験した初老の男が、平和学習の宿題をする孫のために、少年の目で見た戦争を語る。また、番組の中で平和を詠んだ短歌、児童・生徒による平和作文も紹介する。出演：狩俣倫太郎、宮城麻里子、比嘉俊次、比嘉真史